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気づくと2020年。よろしくおねがいします、アゲイン!

 京都に移住して印刷所を作る、その過程をこのnoteに順次記していく、ということをするつもりだったのだけれど、実際になにかを新たに始めるということは、想像以上に疲弊するもので、想像以上に心躍るものであり、そして想像以上に、時間を費やすものだし、想像通り自分はかなりだらしない人間、ということでした。いや、文字を書く、ということは、自分にとってそれほど苦痛でもないのだけれど、日常のスピードがあまりに速すぎるとき、ちょっと自分の思考能力がついていかないってこと、ある。ありますよね? あるよね、きっと、あなたにも。そして、もちろん私にも!

 そうして、この街に移り住んで早、4ヶ月半、あまりにいろんなことがありすぎて、もはや遡って何をか書くのはそのときそのとき、思い出しながら補足していこうと。そうじゃなけりゃ、また書き始められなくって(笑)。いろんな思うこと、愉しい事実、新しく知り合った面白すぎる人たちのことを書きたくて書きたくてたまらないのだけれど、

 で、今の現状報告2020。スタジオは無事オープンいたしまして、まだ予約のみ、という形なのですが、日々、印刷と印刷実験を繰り広げております。また、印刷機のみならず、断裁機、製本機らも導入されて、一応、本作りの基本構造ができ始めてきております。

 んで、このスタジオをなぜ作ろうとしたのか、という話を少し。すでに近いことは書いてしまっているのだけれど、読み直すのも面倒なので、もう一度。

 僕は、この30年くらい、種々雑多なことをやってきたのですが、自分が何者か、と訊かれたときには、「編集者です」と答えたりします。もちろん、時には「料理人です」と答えることもあるし、「デザインやってます」なぁんてエラソなこと抜かすときもあるんだけれど、自分はずっと「編集者」であると思っています。レーベルを運営してレコード作るのも「音楽を編集(編纂)」しているつもりだし、イベントをやるときも「アーティストやDJ、そして企画自体を編集している」つもりでした。でも、やっぱり心の中では、ずっと「本を編集したい」という気持ちがあったのです。でも、まぁ、自分が作りたい本が、そんなに売れる、とは思わない、というか、売れたらおかしい、ちょっとビビるっていうのもあって(実際、自分が作ったレシピ本「なぎ食堂のベジタブルレシピ」が想像以上に売れたときは、少しビビってました)、それだったら自分で印刷して本を作ろう、と思ったのがリソグラフを買って印刷を始めようと思ったきっかけです。

 でも、実際に買ってみると、思ったよりもコレを使いこなすのは大変、ということに気が付きました。もちろん、デジタルの印刷機、誰にでも使える。もちろん誰にでも使えるのだけれど、それを巧く、綺麗に、思う通りに印刷するには、それでも技術が必要だ、ということが分かってきました。どんな本でもいいんだったら、それで「ぴゃあーー!」って印刷したらいいんだけれど、それだったら家のプリンターで印刷すればいいだけの話。多くの人は、「家のプリンターと同じでしょ!」って思うかもしれないけれど、違う。その違いを未だうまく説明できないのだけれど、精度や印刷コスト云々の問題ではなく、確実に違う、ということだけはお伝えして(この点については、おいおい思いつくことを書いていきたいと思います)。そのために、リソグラフを「いかに使うか?」ってことを真剣に勉強したり、思いのままに印刷するために内部をいじってみたりしているうちに、気付くと東京は武蔵小山にリソグラフスタジオ「hand saw press」が2018年の初頭にスタートしちゃった、ということです。ただ、あまりにこの印刷機が面白すぎて、そして可能性がありすぎて、本来本を作るというための「道具」のはずだったのが、この印刷機と戯れ続けちゃったのがこの2年という時間でした。

 おっさんが「○○しちゃった」という書き方をしていることに違和感を持たれる方もおられると思いますが、これは「自分では意図せずしてなってしまった」ということですので、何卒お許しをば、おばー、おばー(セルジオ・メンデス風に)。

 もちろん、その間も数冊のzineを作ったりもしていたのですが、実際作りたい本が作れたわけじゃない。違う、違う、そうじゃ、そうじゃなーい。もちろんそんなさっくりとしたものもいいんだけれど、そればっかりでは寂しいもの。と、言うことで、2020年の元日の抱負として、今年こそようやく作りたい本作りに入ろう、と思う次第です。そのために、昨年中になんとか断裁機を最低限使いこなすテクニックや要領を手に入れることができたし(簡単なようでコツがいる)、あとは製本機をどのようにして使いこなすか、ということだったりもするのです。これがまた、めっちゃ楽しくて思い通りにいかない部分もあり、故に面白いワンジャンルなんで、これまたここで時間がかかっちゃうかもしれないんですが……。

 「そんなの、製本屋さんに出したらいいやーん」って思われるかもしれません。もちろん、何千冊っていう本を作るんだったら、それが正解だと思います。でも、自分が今作ろうとしている本は、200〜300部程度のもの。とはいえ、それが「一般的な書籍」よりも劣るものを作りたい、簡易的なものが作りたいわけではないのです。僕が作りたいと思っているのは、手作りだけれど、それゆえに魅力を導き出せるような「書籍」を作ろう、と。だから、このような手法を取り、そしてこのようなやり方を進めてきたのでした。で、ようやく分かってきたのは、「たぶん、まだまだ、たぶんだけれど、このやり方で行ける」。

 はてさて、それで何を作るのか? そして、この場所をどうしていくのか? ということについては、また、この先ひとつひとつ。また、場所をどう生かしていくかってことについても、最近いろいろ思うことも多く、書きたいことが山程あって。中でも、大晦日の矢萩多聞さんのネットラジオにゲスト参加させてもらった際にも話題になった、ホホホ座松本さんの語った「店を半開きにする」って話についても、もう少し、いや、もっと深く書きたいなーと思っております。

 と、言うことで、第二章突入ということで、今年もよろしくおねがいします!


 
 

 

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