lakeと児玉奈央、というバンドがあります。
lakeと児玉奈央、というバンドがあります。恐ろしく素晴らしいバンドです。児玉奈央さんの歌が素晴らしいのは言うまでもなく、そんな彼女をlakeが包み込んで異化作用が生まれるライブが、10月15日に代官山・晴れたら空に豆まいて、であります。年に1度、あるかないかなので、本当に見てほしいのです。まずは見ていただきたいです。
lakeと知り合ったのは、今から20年近く前、小田島等くんから手渡された1本のデモCDからでした。そこには、どこまでも音数少ない配置の中で、とにかく丁寧に歌と楽器の演奏と、そして今だ解けない謎の薄皮が1枚覆われているものでした。
彼らの音を「ジャズっぽい」とか「巧者のスタンダードなポップス」と話す人もいました。たしかに表層はそうかもしれない。でも、そうじゃない。自分が彼らの音に惹かれているのはそこじゃないのです。それが何かわからないまま、極めて少ないライブのたびに、彼らは数人のヴォーカル(それぞれ優れた人たちです)やメンバー(もちろん彼らも特徴的な個性を持った人たちです)を変えながら、1枚のアルバムをリリースし、多くの人に知られぬまま、気づくと20年以上の年を重ねていました。
古くから彼らを知る友人は、lakeのことを「不親切な音楽」と呼びます。確かにその通りだと思う。例えば何かのジャンルに寄って「こういう音楽です!」と説明できれば話は早い。もちろん、アバンギャルドなものでもないし、利己的なものでもない。でも、何かしらの冠詞をつけることが憚れるような、そんな音楽。自分は、そんな「説明がつかない、何か曖昧で、でも確実に違うもの」に惹かれ続けているのです。音楽の魅力って、そんな「わからないけれどグッと来る」って部分じゃないかしらん、と。
まずはlakeのファースト・アルバムから1曲聞いていただければ。
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ベースの伊賀航は、今やポップスの世界では知らぬ人はいないトップ・ベーシストです。細野晴臣のバンドで長らくボトムとバンドのムードを支えつつ、星野源、曽我部恵一やおおはた雄一、寺尾紗穂、ハナレグミといった音に強いこだわりを持つアーティストのサポートを行なってきました。
ドラムの北山ゆう子も、THE LAKE MATTHEWS(掘込泰行、杉瀬陽子ら)や流線型のようなポップから、桜井芳樹率いるホープ&マッカラーズのようなフリーキーなバンドのメンバーとして、心のツボを付きまくる妙なる個性を光らせてきました。
サックスの加藤雄一郎も同様。サックス奏者としては珍しいソロ・アルバムを数枚発表しながら、CALMのオーガニックな電子音の中をたゆたう旋律から、矢沢永吉や木村カエラ、Superflyのゴージャスなサウンドの中で凛とした響きを聞かせてくれています。
そして、ギターの長久保寛之は、曽我部恵一ランデブーバンドや小池龍平とのデュオを始め、自身のロックステディバンドEXIOTICA DE LAGOでも活動。今のこのバンドにおいて唯一専業ミュージシャンではないものの、lakeの核とも言える存在なのです。彼の心の一挙手一投足や、馬鹿みたいな音楽への愛情のような曖昧なものが、lakeの音楽を何故かわからないけれど特別なものにしているのではないか、とぼんやりと感じています。
lakeの音楽自体に共鳴したシンガー・ソングライターの児玉奈央さんが、バンドのいちメンバーとして活動しているのが、このlakeと児玉奈央、です。懐かしさと先鋭性を兼ね備えたヴォーカリストとして確固とした場所に立つ彼女ですが、ここでの演奏はそれとは少し異なる色彩を持っています。ときにヤンチャで、ときに透明で、それぞれのメンバーが奏でる音に対峙して音を発しています。
そして、今、1枚のアナログ・レコードが作られています。『last summer』と題されたこのアルバムには、4ピースの楽曲が収められています。耳に飛び込んでくるのはポップな響き、しかしところどころに配置されたダビーなエッセンスやスチャラカな音頭感で聴かせる破天荒なトラック、たおやかなインストゥルメンタル、謎のシーケンス……あくまでもポップでありながら、粗野かつ切れ味鋭く、そして永遠に耳に残り続ける作品に仕上がっています。この日にはその全貌が現れると思いますのでお楽しみください。
何よりも彼らの音を生で聞いて感じてほしいと思っています。
メンバーそれぞれが多忙ゆえ、ほとんどライブをしない彼ら。次の演奏がいつかまだ見えていませんので、今回の機会をお見逃しなく。
共演は、彼らを知る若きマエストロ 井手健介+北山ゆう子、ゆう子さんは、出突っ張りの一日になりますが、ぜひその両方をお楽しみいただければうれしいです。
◆代官山・晴れたら空に豆まいて
◆日時:10月15日(日) open 18:00 / start 18:30
◆出演
lakeと児玉奈央
井手健介+北山ゆう子
◆料金:前売り 3,000円/当日3,500円
予約は、晴れたら空に豆まいて まで
詳細は、map までご連絡ください。
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