厨房作業見直したいムロの「未来厨房への歩み(もがき)」エピソード6
「人は変化を嫌う生き物」
こんにちは。厨房作業見直し隊 、隊長のムロです。
月に一回ペースで、介護施設厨房を未来型に変える歩み(もがき)をみなさんにお伝えしていきます!応援してもらえると嬉しいです。
突然ですが、
「大野耐一」という人物をご存知でしょうか?
この方は、トヨタ自動車で長年工場長を努め、徹底的に生産管理を追求し、
生産管理のあり方として世界的に有名となった“トヨタ生産方式”を体系化した偉大な人物です。
その大野さんにまつわる『トヨタ物語』という本を読んで、私の考え方は大きく変わりました。
前号でお伝えした通り、
厨房にパソコンを入れて情報をシステム管理するという一歩を踏み出しました。
もちろん私も厨房に入って作業をしていたのですが、その際、常に何か違和感を感じていました。
その違和感は、
「自分の当たり前は他のスタッフの当たり前でなかった」ということです。
外食産業にいた頃から、効率的にスピーディーに動くため2つ3つ先の工程まで意識する癖がついていた私と、その場その場で作業をする現場のスタッフ。そこには作業時間に大きな開きがありました。
年齢差による手を動かすスピードも関係するとは思いますが、決定的な要因は……
ここでひとつ、面白い実験結果があります。
私とスタッフの腰に万歩計を取り付け、盛付け作業を行いました。作業中の歩数を測るためです。
◆盛付け開始から終了までの歩数
私 :48歩
スタッフ:202歩
身長差を考慮しても、その差は歴然でした。
私は物を置く位置やその角度にまでこだわる性格で、例えば盛り付けの際、必要なものはすぐ手の届く範囲内に置きます。
一方、スタッフの動きを定点カメラで撮影し作業をよく見てみると、食数を確認しに行き、食器を取りに行き、食材を取りに行き、包丁やまな板を取りに行き、後で使うラップを取りに行き、一緒に持って来ればよかった手袋を取りに行き、食器を載せるお盆を取りに行き……
盛り付け始めてからの移動時間が、15分もかかっていたのです。
15分ですよ!
1日8品盛付けがあることを考えると、「何かを取りに行く」という作業に合計2時間も使っている計算になります。
「人は変化を嫌う生き物」と誰かが言っていましたがまさにその通り。
良かれと思って物の位置を変えても、次の日には元に戻っている。
「私らはずっとこれでやってきたからこれで慣れてる」とスタッフは言います。
また腰の負担を考え重たいものは台車を使って運べるようにしたのですが、後でそっと厨房を覗いてみると、そこには食器の入った重たいカゴを一生懸命両手で持って運んでいるスタッフの姿がありました。
それを指摘すると、「これくらいの距離パッパで済むわ」と言いながら、さっきは両手が塞がっていて閉められなかった食器棚の扉を、閉めに戻っていきました。
システム化を進めるより先に、これをなんとかしなければならない……!
大野耐一さんに感銘を受け、生産性を高めることを意識していた私はそう思いました。
ここから、わたくしムロとおばちゃんたちの壮絶な闘いが始まります。
──次回は、「退職者続出!?ムロ vs 対抗勢力」についてお伝えします!
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【ムロ(岩室匠)プロフィール】
兵庫県尼崎市出身30歳のムロ。
大学を卒業後、英語教師、調理師を経て、介護業界に入る。
4年前島根県松江市に移り住み、始めた家庭菜園にどハマり中。
今年こそは大玉スイカを収穫したい。
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