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グローバル地図テクノロジー企業まとめ

GIS芸人のいりやまです。

日本市場は、世界の地図データ企業にとって非常に重要な戦略的拠点です。特に、自動車産業や物流業界、スマートシティプロジェクトが進行している中、リアルタイムで正確な地図データが求められています。ここでは、日本に進出している主要な海外地図企業の動向を調査し、それぞれの企業がどのような戦略を持ち、日本市場においてどのような役割を果たしているのかを紹介していきます。


1.代表的なグローバル地図テクノロジー企業

(1)HERE Technologies(オランダ)

オランダ・アムステルダムに本社を構え、従業員数は約8,000人、年間収益は約10億ドル規模。グローバルに地図データや位置情報サービスを提供しています。特に自動車産業に強みを持ち、B2B市場を中心に展開しています。
HERE Technologiesは、日本の自動車産業における自動運転技術の発展や、物流業界における効率的な配送のための地図データ需要に応えるために日本市場に進出しています。
また、日本ではスマートシティやインフラプロジェクトが進展しており、位置情報サービスが都市運営や交通管理にとって重要な要素であるため、これらのプロジェクトにも積極的に関与しています。

販売地図データコンテンツ

  • 高精度マップ(HD Maps):自動運転技術や高度なナビゲーションに対応するため、車線レベルの詳細な地図データを提供

  • リアルタイム交通データ:渋滞情報、事故、道路封鎖などをリアルタイムで提供し、ナビゲーションやルート最適化に利用

  • 位置情報ソリューション:ジオフェンシングやリアルタイム追跡など、企業向けに資産や車両管理を支援するソリューション

  • 地図APIおよびSDK:開発者向けに、カスタム地図やリアルタイムデータを統合可能なツールを提供

  • 公共交通データ:世界中の公共交通機関の運行データをリアルタイムで提供し、モバイルアプリや都市運営システムに統合可能

HERE Technologiesは、5GやAI技術との連携を通じて、自動運転技術の推進に注力しており、特に高精度マップの提供をさらに強化し、リアルタイム交通データを活用した次世代のナビゲーションシステムの構築を、進めています。また、スマートシティプロジェクトへの参入を強化し、都市運営の効率化や安全性の向上に向けたソリューション提供を継続する予定。


(2)TomTom(オランダ)

オランダ・アムステルダムに本社を置き、従業員数は約4,500人、年間収益は約7億ユーロ規模。グローバルに事業展開しています。
日本の自動車産業は世界的に重要な市場であり、特に自動運転技術やリアルタイム交通情報に対する高い需要が背景にある。TomTomは、自動車メーカー向けの高精度地図データとナビゲーションソリューションの提供を目的として、日本市場に進出しています。

販売地図データコンテンツ

  • リアルタイム交通データ

  • 高精度マップ(HD Maps)

  • ナビゲーションシステム

  • APIおよびSDK(開発者向けツール)                これらのデータやツールは、特に自動車メーカーや物流企業向けに提供されています。

自動運転やADAS(先進運転支援システム)に必要な高精度マップやリアルタイム交通データの提供を強化し、日本の自動車産業へのさらなる貢献を目指しています。
また、APIやSDKを通じて、開発者がカスタムマップや位置情報サービスを容易に統合できるようにしています。


(3)Google(アメリカ)

カリフォルニアに本社を置くGoogle(親会社はAlphabet)は、従業員数約190,000人、年間収益は約2,820億ドルに達する。世界中でサービスを展開しています。
日本市場においては、Googleはユーザー向けのGoogle Mapsの利用を広めると同時に、企業向けにGoogle Cloudを活用した地図データ提供を行っています。特に、モバイルユーザーや企業向けのロケーションベースのサービス需要に応じて進出しています。

販売地図データコンテンツ

  • Google Maps Platform(APIおよびSDK)

  • リアルタイム交通データ

  • ナビゲーションソリューション

  • ストリートビュー
    企業や開発者向けにAPIを提供し、モバイルアプリやウェブサービスに地図データを統合できます。

AIや5Gとの連携を通じて、さらに高度な地図サービスやナビゲーションを提供するとともに、Waymoを通じて自動運転技術にも注力し、日本の自動車市場でのプレゼンスを拡大する見込みです。


(4)Mapbox(アメリカ)

従業員数は約1,000人未満とされているが、急成長しています。年間収益は非公開ですが、特に開発者向けに強い影響力を持っています。
日本の開発者や企業がカスタマイズ可能な地図プラットフォームを求めていることに応え、Mapboxはカスタムマップやリアルタイムデータの提供を目指して日本市場に進出。特にモバイルアプリやWebサービス向けのソリューションが強みです。

販売地図データコンテンツ

  • カスタムマップ

  • リアルタイムデータ(交通、天気、人口統計など)

  • APIおよびSDK

  • テレメトリデータ
    企業や開発者向けにカスタマイズ可能な地図サービスを提供している。    

企業や開発者向けのカスタマイズ地図プラットフォームを拡大し、スマートシティや物流業界での採用を目指しています。
AIや自動運転との連携も視野に入れており、位置情報の新しい利用法を模索しています。


(5)Garmin(アメリカ)

アメリカ・カンザス州に本社を置き、従業員数は約19,000人、年間収益は約40億ドル。GPS技術を中心とした製品で世界的に有名です。
日本のカーナビ市場やアウトドア向けのGPSデバイス市場への需要を背景に進出。特にフィットネス、航空、海洋産業向けのGPSソリューションを提供し、個人消費者および企業のニーズに応えています。

販売地図データコンテンツ

  • 自動車用ナビゲーションマップ

  • アウトドア用地図(登山、サイクリング、ハイキング向け)

  • 海洋マップ

  • 航空マップ

  • フィットネス用トラッキングデータ
    Garminは、これらの専用GPSデバイスを通じて地図データを提供しています。

アウトドア市場やフィットネス市場での成長を目指すとともに、自動運転技術や商業用航空・海洋分野での拡大も視野に入れています。
特に高度なナビゲーション技術の開発を進め、様々な産業での利用を拡大していく見込みです。


(6)Esri(アメリカ)

カリフォルニアに本社を構え、従業員数は約4,000人、年間収益は非公開だが、地理情報システム(GIS)の分野ではトップクラスの企業です。世界中で事業を展開しています。
Esriは日本の都市計画、インフラ管理、災害対応など、地理情報が重要な分野に強く関わっています。政府機関や自治体、企業がGISデータを使って分析や意思決定を行うことが増えたため、日本市場に進出しています。

販売地図データコンテンツ

  • ArcGISプラットフォーム(GISデータ、分析ツール)

  • 3D地図データ

  • リアルタイムデータ

  • 位置情報分析ツール                            地理空間データを使った分析と可視化のための総合プラットフォームを提供しています。

日本市場では、スマートシティや災害管理におけるGIS利用が拡大すると予想され、Esriはこれらの分野でのリーダーシップを強化しています。
また、AIやIoT技術との連携を進め、より高度な地理空間データ分析を提供していきます。


2.まとめ

(1)企業規模

(2)進出目的・提供サービス

これらのグローバル企業は、日本市場で急速に進化しているテクノロジー、特に自動運転技術、スマートシティプロジェクト、物流の効率化に大きく注力しています。
日本の自動車産業や都市計画の複雑なニーズに対応するため、高精度なリアルタイムデータが求められています。
例えば、HERE TechnologiesやTomTomは自動車産業に特化したソリューションを提供しており、特に自動運転技術向けに高精度なマップとリアルタイム交通情報を強化しています。
一方で、MapboxやEsriは、開発者向けのカスタマイズ可能なプラットフォームを提供し、特にスマートシティやデジタルインフラの整備に関与しています。これらの企業は、日本市場でのさらなる拡大を目指し、AIや5Gなどの技術と連携することで、新たなサービスを展開していくでしょう。
日本市場でのこれらの企業の成長は、技術革新と市場のニーズの融合により、今後も加速していくと考えられます。


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