体重増・出力アップで球を強く! 前期後半の勢いを後期にも継続へ
VOL33 投手 立本颯(たちもと・はやて)背番号13 2年目
随分と逞しい体つきに変わった。それもそのはずで、1年前75㎏だった体重は現在90㎏。昨年1年間リーグの打者と対戦し、球の強さや速さ、出力アップの大切さを実感し、「オフに体重を増やし、軽い力で速い球を投げられるようにしました」と開口一番話す。
小学4年生から投手をやり、鹿実高では時に先発、時にはリリーフを務め、地元紙で注目される投手になった。2018年夏の甲子園に出場し、旋風を巻き起こしていた金石農業の吉田輝星選手とも投げ合った。駒大では故障もあり出場機会が減ったが、一昨年のドラフトで同期の左腕投手がDeNAに、高校時代のライバル打者がソフトバンクホークスからドラフト指名されたことに刺激を受け、昨年パイレーツに入団した。
1年目・今年前期の反省を生かす
クセのある左サイドスローだ。ストレートは最速140㌔超で、武器のチェンジアップはスピードにより2種類、スライダーも曲がり具合の強弱から2種類をそれぞれ使い分ける。1年目はリリーフで29試合に登板(28回と3分の2)し1勝1敗、防御率2.83・奪三振25(奪三振率7.85)・与四球9の成績を残し、勝ち試合の一角を担った。そして2年目の今年前期は、17試合に登板(15回と3分の2)し2勝2敗で、防御率5.74・奪三振19(奪三振率10.91)・与四球6。「今年は前期の前半に失点した」ことが防御率悪化の原因で、「ピッチングの入りがよくなくて痛打されたことが多かった」という。また、「2年目になりコンディション作りは慣れたつもりでしたが、知らない間に(1年目の)疲れがたまっていたんだと思います。ボールが重くなったり、呼吸が浅くなっていたりして、それがコントロールの乱れ、ボール球が多さに繋がっていたように思います」。
彼は前半の反省から疲労回復に努めた。「しっかりと疲労をとって、朝起きた時に疲労ゼロにできるようにしました」。寮での自炊による料理も工夫し、「ビタミンや糖質をしっかり摂らないと疲労回復が遅くなります。それを甘い菓子なんかで摂るのじゃなくて野菜や果物で摂るようにしています。しっかりと自炊していますよ」。
今年は3球種で勝負、4つ目も特訓中
「試合ではできるだけ少ない球種で勝負する。通用しにくくなったら1つ増やした方がいい」、これが彼独自のポリシーだ。「球種が多すぎてもピッチングのバランスが崩れる」とも付け加える。「昨年は2球種でやりました。今年はそこにスライダーを加えて3つでやっています」とし、「今後のことを想定して今4つ目を練習中です」と、〝企業秘密〟を覗かせる。
彼は前期後半、前半の不振を払しょくした。首脳陣の信頼も取り戻し、主に勝ち試合のリリーフ陣の1人として機能した。このほど始まった後期を見通して「徳島ISとどう戦っていくかが大事で、ひと工夫もふた工夫もしないと簡単には勝てないでしょう。徳島の打者をどう抑え、1イニングの大量失点をどう防ぐか。徳島との差はリリーフ陣の層の厚さだと思います。(その中心の1人として)頑張ります」。ドラフトを指し「まっすぐを強くして最速150㌔が出るようにしないと(スカウトから)見て貰えませんよ」と、やや自嘲気味に自らにゲキを飛ばしている。