note_眠れない深夜

見つからないとわかっているのに。--眠れない深夜--


「今日はあまりいい日ではなかった」


朝、目が覚めた時から気分は冴えなかった。昨晩から降りしきる雨は止むことを知らず、曇天と湿気が世界を包む。「気圧が低いから、頭が痛い...」を言い訳にして、仕事を休むことができたらどれだけ楽だろう。


ただでさえ気分が晴れないのに、こんな時に限って「あ、やり忘れてた仕事があった....」「今日めちゃ忙しい日やん.....辛い...」と起こってほしくないことが続く。そういうものだ。


いざ仕事がはじまっても、なんか気分が上がらない。どこか集中力に欠け、纏う自分のオーラも自然と暗くなる。普段しないようなミスをして、周りに迷惑をかけてしまった。自分だけならまだしも、周りも巻き込んでしまうなんて。また今日も自己嫌悪が募る。偏頭痛はまだなおらない。




1日に意味を探して


うまくいかなかった1日くらいは、自分をなぐさめてあげようとご褒美を買おうとする。こんな日は デパ地下のケーキというよりかは、コンビニの100円ちょっとのスナックと ほろ酔い1缶で十分だ。


普段なら「もったいないから」「ダイエットしているから」というのを口実にして我慢するのに、こんな時は財布の紐がついゆるくなってしまう。ストレス発散のはけ口に、「買う」という行為を正当化して、今日も買わなくてもいいものを買った。


いつもはしない、ちょっとした贅沢をして、今日という1日に満足した何かを感じたかった。そうでもしないと、何も思い通りにできなくなってしまった自分に おかしくなってしまいそうで。



虚しさに支配される夜、そして。


わかっている。そんなことをしたって、心に何かぽっかりと空いたような穴が、簡単に埋まらないことを。必要以上に糖分を摂取し、それでも飽き足らず ポテチを口に運ぶ。もうお腹は何も求めていないはずなのに、口に何かを運んでいないと落ち着かない。


「こんな時くらいは、読書をしよう」と、何か生産的なことをしてみようとする。心のどこかではわかってる、集中できるはずないのに。頭だけは冷静を装うとして、結局 本を手に取ることはなく、スマホを片手に体をベッドに横たえる。


「どうして、自分はいつもこうなんだろう」


わかっているけど、つらい。やらなきゃと思っているのに、できない。今夜は スマホから離れようと思っているのに、結局いま見ているのはtwitterだ。


卑小な自分を、その日の天気や社会のせいにしたくて。自分と向き合うことから逃れたって、虚しさが積み重なるばかり。足りない何かを埋めようとして、目の前の小さな長方形の世界に目を移す。通知のきていない数種類のSNSを、無意味に何度もいったりきたりする。


途方もない虚しさを満たそうと思って スマホを開いても、そこに求めているものはなにもない。はけ口先のない後悔だけが積み重なっていく。それでも人は、スマホに望みを託す。



眠れない深夜



どうしてなんだろう。いつもより気分が沈んでいて、うまくいかなくて、疲れた。それでも なんか寝たくない。こんな1日を終わらせたくない。


明日を迎えたくなくて、寝てしまうことで 今日という1日が終わってしまいそうで、目を閉じまいとスマホを手に取る。


「今日はまじでなにもうまくいかなかった」


思い返すと、体調が悪いのを天気のせいにして、仕事がうまくいかないのを 自分の気分のせいにして、足りないものの埋め合わせを、デジタル世界に委ねようとする。


でもなんか、まじで何もうまくいかなかった1日を、ちょっぴり愛おしく思っている自分に気付く。たまには、自暴自棄になる1日くらい、あってもいいのではないかと。


タイムラインを見つめると、同じように眠れない人たちの投稿で並ぶ。「あぁ、自分だけじゃないんだ」と、どこの誰かも分からない人に共感して 自分を安堵させる。



不毛な時間をしばらく過ごして、結局いつも我に返る。眠れない深夜にそろそろ終止符を打ち、明日こそはこんな思いをしなくていいように 良い1日を過ごしてやろう。


眠れない深夜に、足りないものを埋めるために、この虚しさから逃れるために、スマホに自分を託すのはもうやめたい。



見つからないとわかっているのに。




#日記 #エッセイ #共同マガジン #交換日記 #眠れない深夜 #私の仕事 #コラム #人生 #言葉 #ひとりごと #ライター #とは #noteのつづけ方

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集