「イラストレーター」になるために必要だった、たった1つの事
アイキャッチには専門学校に通って半年後の私の作品と、2024年3月に発表した作品(どちらもオリジナルキャラクター)を並べてみました。いかがでしょうか?上手くなっていると感じていただけると良いのですが。
前回の自己紹介 兼 回顧録では私が「イラストレーター」という仕事に出会ってから、イラストレーターを本気で目指すまでをつらつらと書いてきました。
今回は、その先。私が「イラストレーター」と自己紹介できるようになるために必要だった、「たった1つの事」について紹介します。
まず伝えたいこと
今回の話で伝えたいことは「私がやったことそのもの」ではなく、「何かの目標を達成するための手段は、ちゃんと目的を考えて選ぼうね」と言う事です。
一般的に何かの目標を達成する際、どんな手段をとるかそのものはあまり問題ではありません。
基本的に世の中にその手段が提供されているのであれば、その手段から何かを学ぶことができるのは明らかです。
重要なことは、その手段と目標が一直線に繋がっていることです。
(まぁ、途中まで近づけるからひとまずこれをやる、というのも、自分で分かってやっているのであれば問題ないでしょう。一番不幸なのは、最終的にこれをやりたいのに今やっていることでは達成できない、でもそれをやっている本人が気づかない状態です)
分かりやすく例を挙げるなら、例えばおにぎりを作りたいのに小麦粉を買ってきてしまっては意味が無いですね。パンができてしまいます。
「おにぎりを作る」という目的のために「小麦粉を買う」手段は間違っています。
今回は私が自分を「イラストレーターです」と自己紹介できるまでになった、さまざまにやったことの中から、最も重要だったことについて、どう考えて始めたのか、なぜその道を信じて突き進めたのか、そしてどのようにして自分のことを「イラストレーター」と自己紹介できるようになったのかについてご説明できればと思います。
やったこと:専門学校に通った
「イラストレーターになるためにやったこと」自体はかなりあるのですが、その中で最も重要だったことがあるとするなら、「イラストレーターの専門学校に通った」ことです。
2018年4月から、名古屋駅前にある「ヒューマンアカデミー 名古屋校」の、「週末講座」に通いました。
その後そこで2021年の3月まで学び、追加で技術を習得するために2021年4月に「ヒューマンアカデミー秋葉原校」に転校、半年間(2021年9月まで)着彩の技術を学んで卒業し、今に至ります。
もっとも、ヒューマンアカデミーを卒業した2021年の9月時点ではまだ自信をもって自分自身「イラストレーター」と名乗れませんでした。
ではなぜこの専門学校に通ったのが重要と考えているのか。
その辺りのことも踏まえて紹介していきます。
専門学校に行くと決めるまでに考えたこと
まずは、(前回の回顧録とちょっと重なるのですが)イラストレーターを目指すと決めるちょっと前のところから始めます。
仕事が合わず、軽度のうつ病になり、自分の「やりたいこと」が見えなくなって、ともかくうつ病や仕事を含んだ、その時の状態から何が何でも抜け出したかった時。
最初は会社を辞めて、別の仕事に移ろうかとも考えたのですが、ほかの仕事もその時の仕事と同じようなものにしか見えず、「もう会社員はこりごり」と思っていました。
どの仕事、求人を見ても、「私ができる仕事」は魅力的に見えなかったのです。
また、ともかく精神的に沈み込んでいたので、何か「楽しい」ことをしたいとも思っていました。
それまでの人生で楽しかったことを思い浮かべたときに大学生活は楽しかったので、社会人学生でもやるか?とも考え、調べましたが、どの学部で何を学ぶかというビジョンが見つかりませんでした。
そんな中で、あれは2017年の確か11月か、12月頃でした。
会社で上司から「お前(御倉)の話からは『この会社で何かやりたい』って言葉が1つも出てこない。それが僕は心配なんだ」と言われた後。
「やりたいこと 見つからない」とGoogleで検索していたと思います。そんな中で見つけたとあるホームページ・・・多分ブログだったと思います。
そこに
「本当にやりたいことを隠していませんか」
という文章を見つけ、就活の際に、今の会社に就職する際に面接で話した内容がフラッシュバックしました。
そしてその当時、自分でも気づいていなかった自分に対する小さな嘘、諦めがあったことに気づきました。
「どうせ自分はイラストレーターにはなれない」
そう思っていたから今の会社員の道に進んだのです。
それに気づいたとき、
「イラストレーターだ・・・」
と、心の声を絞り出すように呟き、私自身本当は「イラストレーターになりたい」と考えていることを自覚しました。
なお当時、会社ではひとまず暫定措置として体調が悪くなる原因になったのとは別のチームで仕事をしていたので、(体調は悪いながらも)「ギリまだ仕事をしていられる」状態でした。
なので、まずは私自身が「イラストレーターになれるか検証する」ことから始めることにしました。
いくら「イラストレーターになりたい」と思っても、イラストレーターになれる可能性が無いなら、早急に別の「生きる道」を探さないといけないからです。
当時「32歳からサッカーを始めて、選手になってワールドカップに出場できない」のは考えるまでもなく明らかでしたが、「32歳からイラストレーターを目指してなれるもんなのか?」は正直分かりませんでした。
そこで、まずは「私にもイラストレーターになれる可能性はあるか?」から調べることにしました。
「遺伝する才能」の見地から考える
まずはイラストレーターの仕事の内容や年収、どのような所得層があるかも調べたのですが、当時から副業でイラストレーターをやっている方からプロの第一線で働いている方まで、非常に多くのケースがあって、正直その観点は参考になりませんでした。
ただ1点、「遺伝する才能」については私にとって「いい結果」を示してくれました。
回顧録の最初にも書いたのですが、私が絵を描きだしたのは高校生の頃でしたし、大学も普通の工学部で、全然芸術系ではありません。
両親もごく普通のサラリーマンと主婦ですので、仮に「絵の才能は遺伝による」ものだった場合、私が「イラストレーター」になる可能性はほぼ0だと思ったのです。
「運動」や「体格」に関しては人種の影響や、両親の影響があることは分かっていましたし、逆に経験的に「勉強」は努力次第でどうとでもなる(程度はあれど、地頭(じあたま)がよくて勉強しない人より頭はよくなくても勉強した方が良い成果が出る)ことはそれまでの学生生活で経験的に知っていました。
ただ、「芸術」分野については知りませんでした。
そこで当時調査した結果、イラストや絵に関する才能は大体56%程度、文章に関する才能は80%程度が遺伝要素があることが分かりました。
(↑当時見ていたデータではないのですが、似たようなデータが載っています。「美術」の遺伝影響は大体60%、「執筆」は大体80%です)
私にはこの数値は、「悪くない賭け」に見えました。
才能の影響度が50%強なら、努力すれば(それ一本で食えるかどうかはともかく、副業としてでも)「イラストレーターになれる可能性」自体はまぁまぁ、少なくとも「小説家」よりはあるように見えました。
この時点で、
食えるかどうかまでは未知数
遺伝的には、「イラストレーターになれる確率」は50%前後
と言う事が分かりました。
ここまでで、いったん科学的見地から「私がイラストレーターになれない」仮説は否定されました。
科学的見地から可能性が0ではないことが分かった時点で、その先はもう「実験」してみないと分からない領域です。
ここから先は「私自身が」イラストレーターになれるかどうかを検証しないといけないので、統計学は役に立ちません。
イラストを学ぶ手段を選ぶ
イラストレーターになるためには、何かしら「イラストの仕事に繋がる」ことをしなければなりません。
まぁ実際、この「仕事に繋がる」の部分まではこの記事を執筆している2024年10月時点までほとんどできていないのですが、なんにしても「イラストレーターという職業」に近づく必要がありました。
そこで当時、どのように学ぶ方法があるか、私が調べた限りでは、以下の3つがありました。
書店で「イラストの描き方」の本を買ってきて、独学で学ぶ
通信教育で学ぶ
実際に教室に通って学ぶ
いまでこそYoutube動画でイラストを学ぶスタイルは一般的ですが、この活動のパイオニアである「さいとうなおき」先生の活動がスタートしたのは2018年の頃で、ちょうど私が専門学校に通いだしたのと同じころから始まっています。
なので、この私がイラストの描き方を学ぶこと考えていたタイミングではまだ「Youtubeの無料動画で学ぶ」というスタイルは一般的ではなく、私自身Youtubeでそんなコンテンツがあることを知りませんでした。
そこで、先ほどの3つを検討しました。
書店で「イラストの描き方」の本を買ってきて、独学で学ぶ方法
この方法については大体価格が2000~3000円程度なので一番安く済むのですが、どうしても写真と文書だけで情報を取得する方法になるので、正直「良く分からない」ことがほとんどでした。
当時から何冊も「イラストの描き方」系の本を持っていたのですが、使っているツールが私と違ったり、ツールが同じでもどこにその機能があって、どうやって使ったら作例のように描けるのかが全然わからなかったのです。
最近は動画へのリンクがついていて、Youtube等の動画で見れる本もかなりありますが、当時はほとんどそういう本がありませんでした。
(そういう意味では、2018年以前はまだ企業がYoutubeで動画を共有すること自体あまり一般的ではなかったのかもしれません)
なので、この方法は却下しました。
通信教育で学ぶ方法
こちらは数万円~するので書店で本を買うよりもかなり高額になりますが、本と違い1から順に、基本的に動画で学ぶことができます。
単純に、「初心者が、1からイラストを上手く描けるようになりたい」だけなら、今でもこれで十分だと思います。
Youtubeの無料動画に比べて、「順番に最初から」動画視聴できるので、本当に基礎の基礎から学ぶことができます。
Youtubeの無料動画の場合、1つ1つの動画を見ることは簡単にできるのですが、基礎から順番に学ぶ場合は視聴者自身がYoutubeにアップロードされた大量の動画の中から動画を選び出し、見る順番を視聴者自身が決めなければいけません。
ただ私の場合、これでは駄目な理由がありました。
私の場合、「通信教育が最後まで終えられない」のです。
これは中学生の頃からずーっとこの傾向なのですが、「いつでもできる」と思うとやらなくなるのです。
また、通信教育の場合、通常教材を送ってくるだけで、今回の目的は「イラストレーターという職業になる」、つまり、「イラストを描く仕事を受ける」ことが最終目的でした。
通信教育の場合、「仕事のあっせん」まではサポートしてくれません。
なので、この通信教育で学ぶ方法も却下しました。
実際に教室に通って学ぶ方法
残る手段はこれでした。
実際にどこかの教室に通って学ぶのであれば、その時、その場所まで行かなければ学べないため、通信教育のように「いつでも見れる」安心感は出てきませんし、経験上「通って学ぶ」ことを途中で投げ出したこともありません。
(学生当時も真面目だったので、塾や予備校もサボらずに必ず行ってました)
そのため、この方法が「一番私に合っている」と思いました。
そこでまずは家の近くの「絵画教室」や「イラスト教室」のようなものを探したのですが、おそらく定年退職を迎えた方や主婦が通うであろう平日昼間の教室しか見つかりませんでした。
まだ「どのようにイラストレーターになったらいいのか」すら見えていない状態で、会社を辞めてこういった教室に通ってイラストレーターになるのは無謀(そもそも絵画教室からイラストレーターまでの道が見えない)と思ったのでこの案は却下。
その次にイラスト系の専門学校と、美大の類を調べてみたのですが、美大に関しては学術的に「芸術に関する造詣」を深める場所であり、「イラストレーター」という仕事に直結する場所という訳でもなさそうでした。
(芸術系の大学を出ても結局実力が無ければ仕事が取れない、という文章をいたるところで読みました)
なので、少なくとも美大は「イラストレーターになる」目的のためには「学費が高かったり受験があったりする割にはあまり行く価値が無い」ように見えました。
そこで残るは、「専門学校」でした。
専門学校も様々で、ちゃんと就職までのサポートをしてくれるところから絵の技術だけを学ばせるところまで色々ありました。
この当時はそれらの中で
仕事を続けながら通えるところ(週末講座があるところ)
ちゃんと就職まで面倒を見てくれそうなところ
という観点で、以下の2項まで絞り込みました。
ヒューマンアカデミー
代々木アニメーション学院(代アニ)
次に「実際に通えるか?」を検討しました。
が、残念ながら私が住んでいる地方にはどちらもなく、都心まで特急で数時間かけなければ通えませんでした。
ただ、どちらの学校も同じようなところにあることは分かったので、一方に通えるならもう一方にも通えることも分かりました。
学費交通費合わせて年間100万円超える金額がかかることも分かりました。
(交通費がとんでもなく高かったのです。。。
なお、実際には3年目は一度受けた講義を再受講する形で学費が半額になったのでちょっとだけ安くなりました。)
正直迷いましたが、もう「イラストレーターになりたい」と思っているし、これまでの検証で「専門学校に通う方法が最善」と結論が出ています。
幸いにも貯金はあったので、それだけの金額を失っても食いっぱぐれることはありません。
最後はもう考え方で、
「これだけの金額払って、最後まで続けられないんなら『自分は「イラストレーターにはなれない(その時点で検証終了)』ってことだな」
と思って、通う事にしました。
いったん、まとめ
ここまで、私がどのようにしてイラストの専門学校に通うことにしたか、当時の考えた順番に沿って説明してきました。
この記事を読んでくださっているあなたがこれから何か「特定の目的」に挑戦するとき、「とりあえず始めてしまう」のも方法の一つですが、少なくとも「自分で納得できるまでは手段を調べる」ことをお勧めします。今時ネットにさえ繋がっていれば、ただで情報は手に入りますし。
今回のように自分で理論立てて始められたものは、すぐに結果が出なくても案外信じて続けられると思います。
「これ以上はやってみないとわからないな」と思ってから始めても良いのではないでしょうか?
ただいずれにしても、「結局は始めない事には始まらない」点にだけは注意しましょう。「調べるだけ調べて満足して結局変わらない人がほとんど」というのはネットでよく見る話です。
ヒューマンアカデミーに通いだした理由
いったん、先ほどの
ヒューマンアカデミー
代々木アニメーション学院(代アニ)
から、なぜヒューマンアカデミーに通うことにしたかだけ簡単に記載しておきましょう。
単純に、名古屋の代アニにその当時まだ週末講座が無かったからです。
ぶっちゃけこのどちらの学校も「イラストレーターを育成する」ことに関して、方針は違えどどちらも正しいことをやっていると思っていましたし、正直入ってみない事には自分に合っているかどうかも分からないだろうと思っていました。
一応、どちらの校舎にも話を聞いてみたのですが、その当時はまだ代アニ名古屋校は週末講座は開催していないと言う事だったので、消去法でヒューマンアカデミーに通う事にしました。
実際に専門学校に通ってよかったこと
ここからは実際に専門学校(ヒューマンアカデミー)に通ってよかったことを記載していきます。
(最後の「客観的に自分の絵の実力を見る機会ができた」のが私自身、自分を「イラストレーター」と名乗れるようになった内容ですが、それ以外のポイントも載せています)
誰も私に対して「お前はイラストレーターにはなれない」と言わなかった
まぁ専門学校の講座を開いている側がこれを言ってしまっては商売にならないとは思うのですが、実際のところ私が学校で教わった数名の先生や、スタッフの方々の誰一人として、「御倉くんはイラストレーターはやめた方が良いと思う」という方はいませんでした。
(正直うつ病からの回復のために通っていたのも理由の1つですので、1回でもコレ言われていたら心折れていたかもしれません・・・)
実際、最初に私が入学する前に学校まで面談に行った際、担当した事務スタッフの方に「イラストレーターってそんなになれるもんでしょうか?」と聞いた際には、そのスタッフの方自身は最初の頃は「そうそう簡単にイラストレーターにはなれないだろう」と思っていたそうなのですが、卒業生の方々を見ていくうちに「いや案外なれるな?」とその方自身の意見が変わっていったという話もしていただけました。
先生方は基本的にマンガ家/イラストレーターの方が先生を務めており、逆に「どうすればイラストレーターになれるのか」や、「どうすればイラストレーターとして食べていけるのか」を知っている方々です。
そういう方からすると、基本的に学ばないといけないことはあるものの、そういう事をちゃんと学べばあとはやり方次第で稼げる可能性は十分にある(というか、その方自身が稼いでいる)という感じで、「お前はダメだ」と言う方は一人もおりませんでした。
そういう意味では「ヒューマンアカデミー」の教師の体制自体がしっかりしているのかもしれません。
イラストを上手く描けない時は、「その物を知らない」時だと言う事が分かった。
専門学校に通ってまず最初に先生から教わった一番大事なことは「知らないものは描けない」と言う事です。
たとえば突然「オカピ」を描いてくださいと言われて、ピンとくる人はそういないのではないでしょうか?
(ちなみに「オカピ」は「珍しい 動物」で引いた、あんまり聞いたことのない動物の名前を適当に出してます)
ほとんどの方は「オカピ?なにそれ?」から始まり、Google検索などで「オカピ」を検索、写真に行きついて、「ああ、こういうものか」と分かって、その写真を参考に描き始めるでしょう。
そしてこの現象は、実は我々が「知っていると思い込んでいるもの」にも当てはまる、というのがその内容です。
「知っていると思い込んで書いてみたら、なんか上手く描けない」と思ったら、「あ、これは自分はこのモノを知らないな?」と考え方を切り替えて、資料になる写真を探す。このルーチンを最初に教えてもらえた(というか、それから在学中きっちり叩き込まれた)のは非常に大きな一歩だったと思います。
この辺、あんまりYoutubeで解説している方少ないんですよね。だって本来、Youtubeの動画は「検索される側の資料」ですから。
そういう意味で「本職(イラストレーター)の先生に指導」されるのは、また別の意味合いで受け止められました。
おそらく、この習慣があるからこそ、私自身「スランプを1回も意識したことが無い」んだと思います。
「上手く描けない」と思ったときには「書くための知見が足りてない」と真っ先に考え、資料を漁り始めるので、「困っている時間」がすごく短く、落ち込む暇が無いんですよね。
逆に「難しすぎて出来ない」と思ったことは「まだ私が持っていない技術が集積された作品」として捉えるので、気にもしないというか、「この絵を描くためにはどんな知見が必要だ?」と逆に考え始めてしまうので、その点でも凹まないというか。。。
そういう意味で、絵の技術が足りないという事実に対してはかなりタフになりました。
自分のイラストの技術を、「いい方向」に伸ばしてもらえた
これは専門学校を選ぶ際に見ていた資料から感じたことなのですが、「ヒューマンアカデミー」は校風として、受講生の素養をそのままに、ブラッシュアップする傾向があります。
実際私がイラストを学んでいる間も作風に関して「こう描きなさい」と指導されたことはなく、「何を描きたいのか」を問われ、それを実現するための手段について先生が一緒に考えてくれることが多かったです。
(もちろんデッサンが崩れているときなど、論理的な間違いは指摘されましたが、それに関しては私も言われて納得する部分なのですんなり受け入れられました)
なかなか先生も直接「これをすればいい」とその場で「ドンピシャの答え」を出すことは難しかったですが、先生から「こうしてみたらどうか?」というアドバイスをもらって、そのアドバイスの観点から「どうしたらできるだろう?」と自分で考え、実践する中で、着実に実力を伸ばすことができました。
その意味では、予備校の「使い方」として、「先生に任せて1から10まですべて教わる」のではなく、「自分の実力を伸ばす/やりたいことをやるために先生を利用する」気概で臨むのはとても重要なことです。
私の場合はこの姿勢は大学生の時に既に身に着けていたので、(残念ながら、専門学校では当初の目論見通り直接絵の仕事までは繋がりませんでしたが)「専門学校を有効活用できた」という認識です。
名古屋の美味しいご飯を毎週食べられた
これはもう専門学校は関係なくて、完全に名古屋駅まで毎週通ったことに起因しているだけですが、名古屋の駅ビル(主に高島屋ビル)の12階、13階にあるレストランで、授業前に昼食をとることが日課でした。
帰りの時間に余裕があれば、駅のデパ地下でお惣菜を買って帰ることもしばしば。
交通費と合わせてかなりお金は使いましたが、毎週の楽しみの一つになっていて、学校に通うモチベーションの1つになっていました。
客観的に自分の絵の実力を見る機会ができた
お待たせしました。
この部分が今回、私が自分を「イラストレーター」と名乗るようになった、つまり自分の実力がはっきりと「プロの領域に入った」ことを自覚したポイントになります。
自分の場合、1作品に数カ月(大体3カ月~)かかることがほとんどだったので、作品制作枚数は少なかった半面、着実に1枚ごとに作品のレベルは上がっていました。
ただ、オタマジャクシがカエルになるようなもので、アニメ版NARUTO56話でナルトが口寄せの術の修行をしていた時の「どっからカエルなのかわからない」のと同じ状態、「着実に上手くなっているんだけど果たして自分の絵の技術がプロとして通用するレベルなのか、まだアマチュアの領域なのか分からない」状態が続いていました。
↓どっかにあのシーン無いかなーと探していたら、56話でナルトが絶叫するシーンが映っていました。
毎回絵を描いて、「ここは今回新しくうまくいったけど、ここは反省点だな」という部分が必ずあるのです。
そんな中でも「ああ、自分はもうプロのレベルだ」とはっきりと自覚したのが、実は今年2024年の3月にあった、「シューマツCOTEN」という展覧会です。
「シューマツCOTEN」はヒューマンアカデミーの在校生と卒業生が出展する、名古屋の大須にある「アート空間スカーラ」で毎年3月終わりごろの木曜~日曜4日間で開催される展覧会です。
アート空間スカーラ
私は第1回(ピンナップ左の絵です)から前回の第4回目(ピンナップ右の絵です)まで毎回出展していて、1回目から「印刷~額装の技術は既にプロだ」と言われていました。
本業が印刷関係なので、印刷に関する知識と技術はしっかりあるのです(笑)
(印刷は自分でやって、額装は世界堂さんにお願いしていました)
ちょっと話が脱線しましたが、以下に今年2024年のシューマツCOTENからの帰宅中の特急内でツイートしたものを載せます。
このツイートの内容にもある通り、私と同じヒューマンアカデミーの卒業生の、既にプロレベルになっている絵とその隣の自分の絵を見て、自分の絵が「客観的に見劣りしないな。。。」と思ったことで、「これはもう、イラストレーターって名乗っていいな」と踏ん切りがつきました。
(自分の絵がその隣のプロレベルの絵と比べて見劣りしない=自分の絵もプロレベルになっていると判断しました)
まぁ、直近描いている絵も「これはプロレベル」「これはアマレベル」と、個人的に満足いったりいかなかったりしていますが・・・。その辺はまだ「要修練」、というところですね。
色々「実験」している最中です。
ただ少なくとも、現在の私のイラストの技術はAIイラストに並ぶレベル(「ちゃんと仕上げることができる」意味では、それ以上)と思っています。
直近AIイラストが騒がれている理由も端的に言ってしまえばそれで出来上がったイラストが実用レベルに達したからです。
であれば、AIイラスト同等以上のレベル(と少なくとも自分で判断できる)イラストは、もう「需要があるレベルのクオリティ」と呼んでいい、と考えました。
ということで、今年2024年、私は自信をもって、「イラストレーターの御倉七尾です」と自己紹介するに至りました。
まとめ
ここまで長々と読んでいただきありがとうございました。
(また1万字超えてるし。。。)
今回は私が「イラストレーターを目指すと決めた」過程から、「どうやって自分をイラストレーターと自己紹介できるようになったか」までをぎゅっとまとめて、ダイジェストで紹介いたしました。
さぁ、これでやっとスタート地点です。
これまでは私が「イラストレーターになる過程」でしたが、これからは私が「イラストレーターとして食えるようになるまで何を考え、何をしているのか」をお伝えするつもりです。
ただし、現時点で私はまだ「イラストレーター」としての収入がほぼ0、ぶっちゃけ赤字です。
まぁ、同人活動ばっかりで、仕事を受けてないので当たり前っちゃ当たり前なのですが。。。
(基本、「同人活動は儲からない」ことで有名です)
私の生存戦略のほか、基本的なルーチンワークと、その効果等、紹介できればと思っています。
ではまた。次回の記事でお会いしましょう。