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「ぼくが生きてる、ふたりの世界」

【ネタバレ注意】
※まだ見てない人は見てからオススメします。

最初に映し出されたのは船の底や船に関わる道具が出てきて、「港」と言う雰囲気が出ている。

そこに大の父が白いペンキを塗っている様子からだんだんズームアウトしていく。

お昼だよ〜と言いながら出てくる聴者。父にも合図して、一旦終了。

家に帰り、大の赤ちゃん時代が映し出される。

そしてどっかの親戚がてんやわんやと。お食い始めを勝手に進めながらよくある風景の中にろう夫婦とあかちゃんがキョトンとしている。大の父はカメラ担当しながらも、周りの様子についていけない。そこには聞こえる人の世界と聞こえない世界が混在していて、聴者の中にろう者がいる家族は当たり前の様子で至って普遍的な生活の中にある。

多分初めて見る人にとっては、それの違和感に気づくだろう。でもそれが当たり前にあって、よくある家族の姿なのだ。

今回、映画の中にいたろう俳優は河合祐三子さん。パチスロしていて、周りの音に気づかない。ずっとパチスロに集中していた。しかし、景品交換の時やりとりしていたところを大が声かけて、チョコレートの1番左のがほしいと通訳した。それ以降のやり取りではろう家族の中の手話と東京での手話が違うことに気づくコーダあるあるシーンだった。なんともない朗らかな様子がとても良かった。

次を紹介するろう俳優は長井恵里さん。前回は映画「月」にも出ていたが、今回は新婚のような若さが映し出され、20代ピチピチ感がよく出ていた。彼女の自然な様子が周りに溶け込み、手話サークルのシーンでも同級生のシーンでもとても良かった。そして重要なことはろう者自身が注文の時は自分でやるから、奪わないでほしい。確かに大事な部分である。通訳してほしいまでもなく、当たり前にろう者が注文する。大事なキーポイントであった。

同級生シーンでもあと3人のろう俳優がいたが、私が知るかぎり、藤田菜々子さん、レオさんがいた。そして日野市の手話サークルメンバーもいた。

次に紹介するろう俳優は、同郷でもある、今井彰人さん。彰人さんが5歳ぐらいの時に、ろう協会と手話サークルの合同イベントで、那須のりんどう湖へ行った際に記念集合写真があった。集まり遅れた家族が今井さん家族だった。私は1番前にいたので、彰人さんを抱いて一緒に撮った記憶がある。彰人さんは今回の父役、本当にお疲れ様でした。まだまだ若いはずなのにもうすでに父という雰囲気が出ていて、最後あたりのシーンでは、本当は60歳ぐらいの設定なのだろうけど、ベッドにいるだけで一気に60歳ぐらいになってしまった。ものすごい変わりようだった。メガネ(老眼鏡のつもりなんだろうけど)それだけでかわるのか。すごいなというのが一番の感想。

最後に紹介するろう俳優は忍足亜希子さん。銀幕デビューから25年ぐらい経つのでしょうか?30年ぐらいの変化を演技にするにあたり、若い頃を戻りつつも、今の年齢で演技した部分はもうプロと言いようがない。大へかける目線と手話の映像が30年分のが一気にブワーッと変わっていくのは大がこれまで気づかなかった愛を感じさせるものだっただろう。

私が一番感じたことは電車とトンネル、ホームの部分。タイトル通りだった。行き来している部分が、人となりそれもまた行き来している。なんとも当たり前であってそうでない部分は視聴者からしたら、どう見えたのだろう。なーんだ、当たり前に思うのか、ものすごい思考を巡らせるのか、見た人は感想を聞きたい。

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