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逆キツネ

マガジンをはじめて早々ですが、ちょっと予定を変更して最近きになるトピックに触れたいと思います。
しかしSTとしては、自分たちの専門性が実はこういった場面にも関わるのだと新たに認識するものでもあります。


わたしは今の職場で働く前、回復期リハビリテーション病棟で働いていました。
その病棟は、病気を発症して救急搬送された近隣の救急病院から
状態が落ち着き、家族や本人がリハビリの継続を望み、また一定の基準を満たした方が送られてきて集中的にリハビリをする病棟です。

一定の基準というのはいろいろありますが、リハビリを受けられる病気が限定されていて、
当時その病院では脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)と運動器疾患(大腿骨頸部骨折、圧迫骨折など)でした。
(とてもアバウトなので、関係者の方はすみません)

わたしは専門柄、脳血管疾患の方を対象としてリハビリをしていました。
その当時、常々感じていたことがありました。

比較的若い患者さんは、退院後の自動車運転を希望されることが多いのです。
しかし若いと言っても脳血管疾患の経験者ですから、
リハビリ専門職からすると、ちょっとした不注意や物忘れ、判断の遅さなど、車の運転をするには危険ではないかなぁと思うことが多々ありました。

もちろん生活のために、車がないと食事の買い出しもできない方もいます。
田舎なので、家からバス停まで歩いて30分なんて珍しくないし、そのバスだって1時間に1本あるかないか・・・
運転にこだわる気持ちは、わたしだって本当によくわかるのです。

ドクターからもちろんやめたほうがいいと説明はしてもらいますが、結局は本人が免許の更新を続ければ乗ることが出来てしまいます。
ただし、わたしの担当していた方は返納せずとも運転もしない人がほとんどでしたが。

なぜ水際で運転を阻止できたかというと、それはひとえにご家族達からの理解あってこそです。
運転をして、もし事故をしてしまったら。
その方が怪我をするだけでなく、もし誰かを轢いてしまったら。。。

本人、相手方だけではなく、その家族の生活も変貌してしまいます。
とにもかくにもそれを理解していただいて、運転しないで生活をしていく環境を作っていただくのです。
文章にすると簡単ですがこれはとても大変なことで、ご本人にもご家族にも本当に頭が下がります。


最近、逆キツネのポーズというのが広まっているそうです。
某有名大学の先生が提唱されているということですが、
運転に必要なさまざまな認知機能のなかでも「空間認知能力」を見るのだとか。

文字で説明されているのを読んだのですが、ピンとこなかったのでサムネにしてみました。

「逆キツネのポーズ」
左右の手それぞれでキツネを作り、片手を返して、右手の小指と左手の人差し指、右手の人差し指と左手の小指をくっつけます。
実施方法としては、検査者(というのかな?この場合)がこのポーズをして見せて、被検者(なのかな?)に真似をしてもらいます。

運転をするのには、いろいろ必要な能力があります。
見た「つもり」、行ける「だろう」、というのが危険なのは言うまでもありません。
「空間認識能力」というのは、自分を囲む空間の中での距離感や方向、自分自身がある状況を把握して理解する能力です。
対向車、歩行者、信号、駐車場の白線、車線の幅、前後の車、、、
運転中はありとあらゆる空間情報を得て、判断し続けなくてはいけません。

逆キツネポーズ。
やってみるのはとても簡単です。話のネタ程度からでも試してみてはいかがでしょう。

(この記事は自分のブログから抜粋・修正したものです)


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