見出し画像

どちらが正しいか?の先へ*宗教二世の私

この本のサブタイトル
「どちらが正しいかの先へ」という言葉に心の底からうなずいてしまいます。
そう思ってしまうのは、私の幼少期の環境が影響していると思います。私はいわゆる宗教二世で、家庭の中に複数の宗教が存在していました。具体的にいうと、私が年中さんの頃に母がエホバの証人に入信。同居の伯母(父の姉)が創価学会、家には先祖代々の仏壇あり。父は元カトリックのクリスチャンで、母方の祖母は天理教。宗教のデパートかいって感じです。みんな仲はいいのですよ。ケンカもしないし、父と母が夫婦喧嘩してるところなんか一度も見たことなかったし。
しかーしですね、子どもながらに、母と伯母は相手の宗教を悪だと思ってるのがわかるのです。ええ、それはそれはものすごい否定のエネルギーなのです。(天理教の祖母と無宗教の父からはそんな気配は一切かんじませんでしたが)で、私はというと年少さんから母にエホバの集会に連れて行かれ、聖書を叩き込まれてますから小学生の間はこっちが正しくてあっちが間違っていると思ってました。でも高学年くらいからでしょうか、なんかよくわからない違和感というか疑問のようなものがじわじわ燻ってきたのです。神を信仰するクリスチャンだけが正しくて、それ以外は偶像崇拝しているのでサタンだという発想ってどうなんやろ?お父ちゃんもじいちゃんもばあちゃんもサタンなんか???(←子どもの発想ですが、そう思ってました)だけど、年少から教え込まれているので、やめるという勇気はないし、そんなこと考えることがサタンの誘惑だということに思いが至るのです。教育って怖いですよね。それでもたくさん自分なりに考えて高校生になる頃には、そこから離れていました。ただ時々ふっと湧いてくる罪悪感は拭い去れずにいたのです。
大学生になって一人暮らしをし始めたある時、白昼夢というかヴィジョンを見ました。目を開けたまま頭の中にパッと映像が見えたのです。それは天空にあるギリシャ神殿のような場所でたくさんの神様が仲良く集まって話しているというものでした。私は、そうか神さまは1人じゃなくていっぱいいて、人は自分の神様だけが正しいとか言って揉めてるけど神様同士は仲いいんや!って腑に落ちたのです。一瞬で心が軽くなりました。それ以降、罪悪感がふっと湧いてくることは無くなりました。ここで重要なのはヴィジョンを見たことでもないし、ヴィジョンの内容の真偽でもないのです。そのヴィジョンは呼び水のようなもので、それがとっかかりとなって知りたいとずっと願っていたことを、そういうことか!と気づけたということなのです。
ある世界から見ると正しいことが、別の世界から見ると間違っている。ということは、すべてが正しくてすべてが間違っている。どっちでもいいと言えば誤解を生みそうですが、どっちでもそれぞれが選べばいいだけのこと、そう気づけて楽になったのです。何回も言いますが、これは私の世界の中でよかったということです。
エホバの証人の教えを否定する気はないのです。私の奥にある芯の部分がその教えをどうしても信じ切ることが出来なかっただけなのです。シロクマがハワイで生きていけないのと似たようなものです。
宗教のレパートリーに富んだ環境で育ったおかげで小さい頃から宗教とか信仰とか神様とかが身近にあって、そういうものと半強制的に(笑)向き合ってきたおかげで今の自分があるのですから感謝しかないのです。頭でわかったと思っても罪悪感が拭えなかった経験から、ハッと気づくことと頭で理解することの違いもわかりました。

先日、娘が職場でのこんな出来事を話してくれました。
店長と同僚の社員さんは、娘が「これこれこうした方がいいと思う」と考えを伝えると、まず「でもな」と否定してくるというのです。何を言ってもまず全否定、そんなのが何回かあって、娘は言っても無駄だと諦めて相手の言うことをはいはいと聞いていたら、店長も同僚もマウントを取り出し目に余るほどの横柄な態度になってきたらしく、これはあかんと思って自分の意見をハッキリ言ったら、店長も同僚も手のひら返したように焦って態度を変えてきたそうなんです。子どもの頃から正義感の強い娘はその手のひら返したような2人の態度に対しても腹を立てていました。(娘は本来、母の目から見ても目力の強い、迫力のある子なんです。なので笑顔を忘れるなと教えてきました笑その教えを守ってやんわり人当たりよくしてたのでしょう)
そんな話の後で、娘がポツリとこんなことを言いました。
「こういう、相手を否定して自分が正しいって主張するのってあかんよな?これって国に当てはめたら戦争になるやん。そりゃ戦争って無くならへんはずやわ。」と。
「その通り!」
この話を愚痴で終わらせずに、こんな考えに至った娘の成長を母は本当にうれしくて、褒めちゃいました♪
違う価値観の人も国も、お互い尊厳を守り守られながら共存できる世界…うーん🤔「なかよくしましょう」たったこれだけなのに…。
(私も心の中で悪役を何人も殺してますので簡単ではないと自覚しております)
「どちらが正しいか」の先へ
行きたいです。

いいなと思ったら応援しよう!