3つのこだわりを持ち、「リアルタイムマップ」をつくる|エンジニアインタビュー 前編 -Road to TOHOKU#04
9月18日に本番を迎えるツール・ド・東北 2022では、ゴールドスポンサーであるマップボックス・ジャパンが主体となっておこなう「リアルタイムマップ東北応援企画」が実施されます。人々の東北への思いを可視化するプロジェクトの舞台裏とは。運用に当たっているエンジニアのみなさんにマップのへのこだわりや準備状況、本番に懸ける思いを聞きました。
デジタル地図でライダーを応援
リアルタイムマップはツール・ド・東北 2022のファンライド当日、地図上にコースを走行しているライダーの位置の表示や、車載映像のライブ配信などを行い、大会の様子を伝えるデジタル地図。リアルタイムマップにアクセスすれば、世界中どこからでも東北路を駆けるライダーの応援ができます。
エンジニアのみなさんは主に3つの観点でこだわりを持ち、準備を進めています。まずはITインフラ。システムを動かす基盤であるネットワークや通信回線などの総体を指しますが、今回のツール・ド・東北では多くのアクセスが予想されています。インフラエンジニアの中村祐基さんは「伸縮性・拡張性の高いインフラを構築することで、安定したサービス提供を狙います」。
技術の一つとしてOS環境上で隔離されたエリアをつくり、その上でソフトウエアを動作させる仮想化手段「コンテナ化」を導入。コンテナ化により、容易に迅速なインフラ増強が可能になります。アクセス集中により負荷が高くなった場合には、インフラを自動で増強することで、ユーザーに安定したリアルタイムマップを提供します。
ツール・ド・東北の主役はなんといってもライダーのみなさん。「主役を取らないように、マップを美しく描画できるのがマップボックスの強みです」と、胸を張るのはフロントエンドを担当する林涛さんです。フロントエンドとはweb上でユーザーの目に触れる部分を指し、見やすさや美しさがキーワードとなります。もちろん見た目もこだわります。
「今回は1500人のライダーが走ります。それぞれの走行状況を動的に、そしてスムーズに表現しなくてはいけません」(涛さん)。走行するエリアには山もたくさんあり、それを3Dできれいに、そして滞りなく描画できることがベース。そこにライダーを載せたときに、地図が主張しすぎないかも考え、バランスをとりながらデザインする作業が行われました。その上でユーザーが見たい位置に移動もできるように設定されています。
今回のリアルタイムマップの特徴の一つは、映像配信が行われる点です。担当する桑原宣昭さんは「モバイルを使った映像配信にトライしてみたかったのです。ツール・ド・東北が良い検証の機会になると考えました」。マップボックス社から参加するライダーの車載映像や定点映像をスマートフォンから大容量クラウドサービスに転送し、マップ上に表示させる仕組みを構築しました。
桑原さんはプロジェクトについて、「リアルタイムに誰かが走っている位置情報を共有できるコンセプトが『みんなおもしろい』と共感して参加しています」。その上で「地図の可能性を広げていくのが僕らの仕事。このプロジェクトもそこへのモチベーションになっています」と力を込めました。ツール・ド・東北は新たな地図づくりへのチャレンジにもなっています。
(後編はこちら)
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