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友だち探しのアプリがネットワークビジネスの巣窟だった

私は友だちがいない
いや、いた。というのが正しいかもしれない
女性というのはお互いのライフステージが変わるとこんなにも疎遠になるものなのか

いや、どちらかと言うと、私がライフステージの違いに辟易し避けるようになってしまった、最低だ
その辺りの後悔諸々は別の機会に書くとして、兎にも角にも私は気軽に遊べる友だちがほしくて、友だち探しのアプリをインストールした

そのアプリは女性限定を謳っていて、Twitterみたいなつぶやき機能があって、それに対してイイネをしたり、
婚活アプリのように、友だちになりたい人の条件(年齢とか住んでる地域とか)を入力して検索して、いいなと思った人には個別にメッセージが送れる仕様になっていた

私はとりあえず年齢が近くて、落ち着いた雰囲気の人にメッセージを送りまくった
でもなかなかメッセージが続かない
私みたいなコミュ症とのメッセージの遣り取りは楽しくなかろう
短いメッセージをポンポンとテンポよく交わしたいのだが、わかりやすく丁寧に…誤解のないように…なんてことを考えてしまい、どうしても長文になってしまう。

相手の方はめんどくせぇと思ったことだろう
めんどくせぇし、たのしくねぇ

こんなめんどくせぇし、たのしくねぇ私の相手を健気にしてくれる人が何人かいて、その人たちに会ってお話ししないかと誘われた

もうお気づきの方もいるかもしれないが、健気に私の相手をしてくれた方々は皆ネットワークビジネス関係の人である

まず1人目 A子さん
A子さんは私よりも年上で美魔女だった
プロフィールには小さな会社の役員をしつつ、美容関係の仕事をしていると書いてあった
A子さんから私にメッセージを送ってくれたのだが、プロフィールを見て私の心は踊った
美人で会社の役員で美容関係の仕事をしてる人…一言一句、上から下まで、端から端までキラキラしているじゃないか…!!しかもオシャレなカフェに行くことが好き♡
私は失礼のないよう慎重にメッセージを送り続けた

そしてとうとうA子さんからおススメのカフェがあるから一緒に行かないかと誘われた。もちろん即OKだ

そして当日、指定されたカフェへ行ったのだが、そのカフェはチェーン店でオシャレとは言い難かった
なんというか…地方のショッピングモールにあるフードコートを一部切り取ったような雰囲気であった
オシャレなカフェというのは陰キャコミュ症にとって大変に敷居が高い
店内のオシャレさ、あるいはインスタ映え度と客層のキラキラ加減は比例する
もし私がそんなカフェに入ろうもんなら…というかそもそも入れない
私の中でエマージェンシーが鳴り響く。ここに入ると大怪我するぞと
人の視線を気にしつつ、心がざわざわして落ち着かない中、緊張のせいで味のしないコーヒーを飲み、高いお金を支払う
最後に残るのは羞恥心と罪悪感と無駄な出費をしたことに対する激しい後悔である

しかし指定されたカフェは私でもすんなり入れちゃう
解放感があって誰でも温かく迎え入れ受け入れてくれる
あ、競馬新聞読んでるおじさんいるじゃん…

なんとなく嫌な感じがしたが、ここで帰るのは大変失礼だし、私のためにオシャレ過ぎないところを選んでくれたのかも!?と、ポジティブシンキングに徹した

実物のA子さんは写真より遥かにお綺麗な方で、私はめちゃくちゃ緊張した。緊張してカミカミタジタジだった
チープなプラスチック容器に入ったアイスコーヒーを飲みながらA子さんとお話しした

A子さんはバツイチだった
元旦那さんが投げ銭アプリでそこそこ稼いでる話や、最近ナンパされた話、婚活アプリの話、そしてお互いの仕事の話
仕事の話になって私は気になっていた美容関係の仕事について聞いた
A子さんの大きな瞳がさらに大きく見開いて私を見つめる

デパートで売ってるコスメの原価ってどれくらいだと思う?
A子さんが切り出した
私はわからないので適当に1,000円くらいですかね?と返した
原価なんてものは雀の涙で、大体50円とか100円、あとは広告費なんかに費やしてるのよ。とA子さん
な、なんだってー!でもそもそもデパコスとは縁がないからよくわからないな…
真に価値のある化粧品会社を私は知ってるよと、A子さんは続ける
その会社は広告費にお金をかけず、商品の開発や成分に惜しみなくお金を費やしている
だからこそ、そこの会社の製品は肌によい、価値のあるものだと教えてくれた
近くに支社があるから今度行かない?と誘われてその日は解散した

この時の私は大変に無知であったのでネットワークビジネスを知らなかった
汚肌の私はそんなに良い化粧品があるなら試してみたいなぁ、とも思った。

しかし化粧品の話をするA子さんには引っかかる部分があった
そもそも初対面のよく知らないやつにこんな話を普通するか?
ある程度仲良くなって、そして映えるスイーツなんかを食べながら、くだらない世間話をし、あのコスメが良いとか、話題のコスメは大したことなかったとかが話題になるのではないだろうか?

とりあえず支社に行く前にその会社のことを調べてみることにした、何事もリサーチが大事だ
残念ながらA子さんはその会社の名前を教えてくれなかったので、会話を思い出しつつ重要そうなキーワードを調べに調べ、そして辿り着いたのだ!
ネットワークビジネスというものがこの世に存在することを!

私はショックだった
私はA子さんと友だちになりたかったのに、A子さんは私のことをお客さんとしか見てなかったなんて…
A子さんから、次に会う日○日はどう?美味しいランチを食べて支社に行こう、というメッセージが来たが私はその日は都合が悪いと伝えた

続いてB子さん
A子さんに会う少し前からB子さんともメッセージのやり取りをするようになっていた
こちらもB子さんが私にメッセージを送ってきてくれたことがキッカケだった
アイコンがB子さんのオシャレな後ろ姿でプロフィールにはPRの仕事をしていると書いてあった
キラキラな香りが漂っていた
というよりキラキラそのもの、星のように輝いている
ちなみにB子さんもオシャレなカフェ巡りが好きだと書いてあった

A子さんと会った結果、ショック受けていた私の元にB子さんから会ってお話ししないかとメッセージが来た
傷を癒すためにも即OKした
待ち合わせはオシャレなベーカリーカフェだった
私一人では敷居が高くて入りづらいので安心した
B子さんと仲良くなるぞ!と気合が入った

B子さんはとても綺麗な方だった
後ろ姿から察するに綺麗な方だと思っていたが、予想を超えてきた。ドキドキした
美味しいパンを食べながら話を進めていくと、B子さんの前職が私が今勤めている業界と同じことがわかって、私はますます興奮した。運命を感じる…!
興奮を抑えながら、今やっているPRの仕事について聞いてみた
B子さんはこう言った
デパートに売ってる化粧品の原価ってどれくらいか知ってる?
私は背筋が凍った。ホラーである
それと似たようなセリフを私は一週間ほど前に聞いたのであります、なんてことは言えなかった
もうパンの味もしなくなって適当に相槌を打っていたら、近くに支社があるから今から行こうよ!と誘われた
私は我に返って、必死に、このあと脱毛に行くんです!と言った
ちなみに脱毛に行く予定はない
難を逃れたかと思われたが、じゃあまた今度ね!いつにする?とB子さんは日程を調整し始めた。商魂逞しい…!
私は適当な日付を提示した。あとでメッセージで断ればいいや
とにかくここから離脱したかった

なんとかお開きとなり、私は重い足取りで帰りの電車に乗ろうとしていた
その時、A子さんからメッセージが来た
今日〇〇にいた?
〇〇というのは今日行ったベーカリーカフェのあるビルの名前だ
背筋が凍る。もうほんとにホラーだ…!
私は正直に全て話した
〇〇にいたし、友だち作りのアプリで繋がった人と会ってたし、その人がA子さんと全く同じ話をしてたし…
A子さんから返事がくる
そうなんだ^_^それでいつ支社にいく?

こちらも商魂逞しい!こうやってカモの取り合いをしているのかしら?
丁重にお断りして私はA子さんとの繋がりを断ち、そしてB子さんへも約束をキャンセルしたい旨を伝えて、B子さんともメッセージのやり取りをやめた

続く











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