魔王宿敵世界線【ファンタジー論】
こんばんは。魔王です。
※こちらはかなりひどい奴隷や戦争などの表現があります。
苦手な方は読むのをお止めください。
※これはプロット、というよりも分析からどのような結果があるものかを描いたものであり、今後の更新はありません。
私は知性のある魔王が好きだ。ただひたすらに人間の町で手下たちが暴れまわるような人間の町が襲われる描写はそもそも自分にはできない。
そうして考えたときに「精霊が人間の勇者に力を与える」という従来のファンタジーによくある描写がどうなるのか考えてみた。
エルフなどの異種族より遥かに大きな力を持った精霊たちが人間の勇者に力を貸し希望を託し「魔王を倒して」というタイプのファンタジー
知性があり魔族の王として国を治める優秀な王ならそもそもそんな出来事が起こらなくなってしまったのでそこから考察したい。
そもそもファンタジーってけっこう町もあって人口がそこそこあるイメージ、、がひっかかってさっそく考察がすすまない。まず魔王という宿敵がいなくて人口の多い場合。バカな王が一人いれば異種族がけっこうな割合で弾圧されてしまう。ドワーフにいい武器をつくってもらう描写も好きだからさっそく我が国へそちたちの工房を用意したのでどうぞドワーフのみなさんは我が国へ。と山奥の名工のいるドワーフの集落へわざわざ高圧的に馬上から迫っているのがさっそく浮かんだ。軍隊で取り囲むまで想像できてしまう。そのなかには魔法使いの師団のほかに剣やら弓やら・・・なかなか壮観な図になってしまう。どう考えても力の強い種族を数に物言わせてなんらかの強力な魔法を開発したりなどしてひたすら他者のその力を消費しようとする。
そしてたまにあるドラゴンの卵を盗むという描写。これがいちばんの問題で想像のなかで怒り狂ったドラゴンが近くの人間の町を火の海にしてしまった。盗人がその町の人間かは関係ない。寿命が長ければ卵なんて数十年に一度だろうし絶対に見境なく怒り狂うに決まってる。(なにせドラゴンがポンポン簡単に卵を産んでしまっては人より遥かに強いドラゴンで世界が覆われてしまう)(この想像も怖い)
だから魔王の手下が暴れまわらないのに精霊が人間に力を貸す場合。
魔王という大きな敵がいない場合。
よほどモンスターがいて
環境も厳しくてモンスターに汚染されて困った精霊が人間に力を貸し与えている、だと思う。
一気に環境の厳しさが激化した。してしまった。
他種族と争いごとがないのであるならば次から次へモンスターが沸いて出てくるし汚染も定期的に除去しなければとなりそう。
町と町との人との交易も厳しい。そもそも輸送を考えたら荷馬車だし流通量が少ない。そして開発できる土地が少ないなら生産量も少なそう。大きな国どころか都市国家で固まるような生活だと思う。かつての自然を崇める日本の集落のようなしかし城壁のなかで暮らすような・・・しかし小さな集落で戦闘民族がなんとか暮らしてるならそもそもどうやって町が建設できたんだろう。
巫女とか結界とかの国なんだろうな。
精霊が保護を与えるような。
人口ふえるの大変そうだ、
そこまで考えついてみればむしろこれこそがオーソドックスなファンタジーの人間の集落と定住のはじまりではないだろうか。
精霊との出会い。定住。魔法のある世界独特の穢れを淀みを祓いながら生活圏を広げる。
いつの間にか精霊は街からは去り、山に湖に洞窟に、人間は聖地としてそこを訪れては“人間圏”を拡げていく。
農業と狩猟と手工業。交易には荷馬車隊に護衛の冒険者。これがよく知る勇者が旅をするファンタジー世界ではないだろうか。
さて・・・今まであった淀みや穢れはどうしたのか。
これこそが魔王の称号足るような存在であり精霊の祝福を受けなければ近づくこともできないような汚染域の中核になりうる存在ではないだろうか・・・
魔王が人属の亜種、魔族として存在しなければこれを浄化し続けることこそ勇者の役目だろう。
魔法というものが現実にあれば植物が酸素から二酸化炭素を出すように、生き物が酸素から二酸化炭素をさまざまな物質と交換しながら生きているように魔法要素があれば対になる物質もあるにちがいない。実際のその世界の魔王がその“穢れ”であるのならば生き物言葉など遣わないだろう
【魔王はいつも突然にあらわれ破壊する知能のない話の通じない魔王世界。延々と勇者の戦いは続く。古風な勇者の魔王世界線(ENDクレジットなし】
・・・おや?
私の求める知的な魔王は?
国というシステムを作り上げる高度な知能。RPGゲームでいうところの高レベル帯という困難な地域でなし得たならば城を構える魔王は知的な存在であるに決まっている。
この世界で人間の宿敵として魔族としての王がこの世界に存在したならば、、
をこの世界観で想定してみよう
ルートを二つ用意した。
人間たちが異種族をつぎつぎに狩り、配下に加えて・・・有り体に言ってしまえば奴隷として意のままに優れた能力を酷使しようとする世界で
魔王が知的ならばいったい何が起こるのか。
ありとあらゆる危険を冒しながら逃げ惑うドワーフやエルフたち、突然巣を追われたリザードマン。
当然だが人間の追っ手のこれないような地へと逃げるものもいるだろう。
そうして辿り着いたのが魔王が自らの国と信じる土地だったなら。
魔王の住むような高レベルのモンスターのいる土地に住むには生半可ではないだろう。
ありとあらゆる手段で自らの力や価値観を移民たちが示しながら行き倒れ人として友人として、あるいはなにかしらの理解者として存在を認められていけたなら
大きな多民族国家でなくとも多種属の入り乱れる国家に成長するだろう。
簡単に家をつくれるもの、植物を育てることに長けた種族、工業を発展させるもの、独自の鉱脈を見つけ利用価値を開発する種族、これこそがそもそもそのような荘厳な魔王城を建設できるような国家なのではないだろうか。
そうして、ある時にある種族の長が魔王に陳情するのです。
「子どもたちに子孫たちにこのような国にたどり着き、力を示した我が種族の人間から受けた苦難と放浪とその後の素晴らしい功績をしっかり残したい」
「私には病がある。口伝で伝える時間が残されていない。私はこの国のためにその時間を働き役立てることに使ってしまいました」と。
この功労者を無下になどできない。
時の魔王はそう考え、そうして教育がはじまりました。
はじめは紙芝居などだったのでしょう。
しかし、文字を教えることになるでしょう。
伝令の読み上げなどよりも格段の効果をあげるはずです。
死亡率の高い土地だ。
注意事項は年々変わるはずで突発的な出来事も多いはず。
教育によりいままでは種族ごとに分かれていた職業もやがて優れた頭脳を持つものが現れて交流もさかんになり、
そうして魔王の国は栄えてみえるでしょう。
魔力の多いものは寿命が長い。この設定は譲れない。
長命な魔王はそれをゆるやかに見守ったことでしょう。
しかし、人間たちは嫉妬する。
「そんな厳しい環境でそこまで繁栄できるからにはなにか秘密があるのだろう」
数に物言わせた連合軍。
(本物の作家であればこれこそ見せ所なのでしょうが戦争など描きたくもない、)
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その戦いに人間の連合軍に打ち勝つことのできた魔王は
【異種族移民を受け入れた魔王は人間の連合に打ち勝ち帝国の帝王となった。
おろかな人間に教育と武力を与えるなこうして人はおそれられ支配されたEND】
その戦いに人間の連合軍に負けてしまうなら
【異種族移民を受け入れた魔王の国に人間は打ち勝った
そしてすべての異種族は故郷を失い人間をうらんだ。
こうして人は嫌われたEND】
なぜこのようなENDになったのか。
ここからはさらにひどい話になるので苦手な方は回れ右してほしい。
そもそもなぜ高レベル帯の魔王の軍が負けることがあるのだろうか?
それは異種族でつくった壁、もしくは切り込み隊が先に突入するからである。
魔王はもちろん歴史として各種族の苦難を知っている。怯む作戦があればこれしかない。
長命なものの生き残りは顔形も親族なら似ているに違いない。
魔王などと・・・あんな不毛の土地の向こうではもっとひどい搾取で同族もまた奴隷として暮らしているのだろう・・・人間は魔王と魔王軍を倒したあとであるならばその土地でかつてわかれた同じ同族と暮らしてもいい、
嘘でも希望にすがりたい。
少なくとも今の暮らしよりはましかもしれないじゃないか・・・
我々と同じ種族がつくったとする工芸品、我々にしかつくれないに違いない、よほどひどい環境で働かされている同族をそれでも助けよう
そうして死に物狂いの相手に動揺が過ぎれば魔王軍も圧されるだろう。
勝っても負けても人間は忌み嫌われる。
まあ、魔王の国が理性や知性でその勢力を保てるとは信じがたいような厳しい土地であるがゆえの偏見もあるだろうが、
事実を知らないということは、こういうことだと思う。
2022.08.15 終戦記念日に。