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高い調理器具に取手が付いていない理由が分かった小話

イラスト12
最近フライ返しを買い替えた。
理由は取手(持ち手?)の経年劣化である。

そもそも買ったのがいつだか分からない位古い。
100円均一の物である事だけ覚えている。

取手には当初オシャレな印字があったが、それが元々無地であるかのようにツルンと全て剥げてしまっている程にだ。

使い勝手に関しては特に問題なかった。
折れたとか壊れたとか致命傷があったから買い換えるという訳ではない。

使えれば良いじゃないか。
フライ返しの使い心地に良いも悪いも、高いも安いも無いと個人的に思っていた。

メーカーやデザインの好みは人によってあるのかもしれないが、取手の違いか縦に長いかそうで無いか位に態々高いお金を使う必要は自分には無いと。

ある日フライ返しを使おうとして水が付いている事に気付いた。
乾燥機に掛けているのにおかしいな、と使う前に確認したらそれはプラスチックの取っ手と金属の付け根から垂れてきていた。

嫌な予感がして顔を近づけると、その水は洗っていない雑巾の一番搾りみたいな嫌な匂いが凝縮されていた。

フライ返しは厚焼きホットケーキとか重めの食べ物をひっくり返す時に他の調理器具に比べ取手にそれなりの負荷が掛かる。

経年で元々は無かった所に隙間が生まれ、汚水が溜まるようになってしまったらしい。

応急措置も考えたが、食洗機に掛ける物に瞬間接着剤を使ったらどうなるのか分からないので諦めた。

ちょうど無印良品週間だった事もあり、取手が無い物を新調した。
フライ返し以外に、狙っていたアクリルで出来た小物入れも購入する事ができた。

アクリルケースに物を収納する事でほこり避けが出来る上に中のものが見やすくなるというメリットがある。

フライ返しに加えこのケースを使っていて、なるほど高いなりの理由はデザイン性や便利さだけでなく、煩わしさを取り除く理由もあるのだという事が改めて良く分かったのだ。