家族の思い出アルバム『ペーパームービー』
週刊文春womanで読んだ内田也哉子さんの連載「BLANK PAGE」が面白かったので、「ペーパームービー」という1996年に出版されたエッセイを読んでみることにした。
旦那さんとの出会いや馴れ初めのお話が気になって読みたかったのだけど、読んでみて一番印象に残ったのは子供の頃のお話。なぜどんどん古くなっていくのに、鮮明に覚えているのだろう?という記憶が誰にでもあって、環境や境遇は全く違うけれど、まるで私が経験してきたかのような懐かしさと愛おしさのあるエピソード、さらっとしている文章なのにグッと胸に詰まる瞬間があり、誰にも見せず大切しまっておいた宝物を見せてもらっているように感じた。小学校で初めて友達になった子の家に、初めて遊びに行った日の気持ち。
このエッセイを書いたのはまだ十代の頃ということに非常に驚いたけれど、時折見えるティーンな一面が可愛らしく、ふふふと一人で笑ってしまう。
私が経験したことのない素晴らしいこと、思わず憧れてしまうことが沢山あったけれど、それ以上に大変なことが沢山あっただろう…、と察する場面の描写がいくつかあり(けれどそれはクドくない)、環境が個性を作ると私は昔から思っているけれど、人間が生れながらに持っている本質というものも絶対にある、と読んでいて感じた。
そして家族という不思議な?運命共同体?についても、少し考えてしまう。私たちはみんな個人なのにどうして…など。
最後の写真がとっても可愛くて綺麗!それも含めて、家族の思い出アルバムを覗き見たような気分になれて良い刺激を受けました。しばらく本を読んでない人もサラッと読めるのでは。
小学生の頃、読書感想文という宿題をした覚えがないので、これは私の春休みの宿題かな。
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