見出し画像

音程について② 完全5度、完全4度とは? 安定感のあるニュートラルなサウンド

みなさんこんにちは。音楽の理論を少しでも一般の人たちにわかってもらいたいと書いているこのシリーズ。前回の記事で音程についてと完全1度&8度についてまとめましたので、今回は完全5度そして完全4度について書いていこうと思います。前回の復習が必要な方はこちらの「音程について① 音程とは? 完全1度、完全8度とは?」をあわせて読んでください。

今回からは数回に分けて、完全8度を細分化して、色々な音程を見ていこうと思います。まずは、完全1度、8度の次に安定感のあるサウンドを得られる音程、完全5度についてお話しします。

完全5度 Perfect 5th

まず完全8度とは、下の音と、下の音から数えて8番目の音が作る隔たりのことです。例えば基準となる下の音が「ド」だとすると、「①ド」「②レ」「③ミ」「④ファ」「⑤ソ」「⑥ラ」「⑦シ」「⑧ド」なので、「①ド」の完全8度上の音は1オクターブ上の「⑧ド」になりますね。

画像1

では同じように完全5度も考えて見ましょう。「ド」の完全5度上は、「①ド」「②レ」「③ミ」「④ファ」「⑤ソ」なので、「⑤ソ」になります。

画像2

完全5度の例

画像3

完全5度は安定感のあるニュートラルなサウンド

完全5度は、和音の基礎となりうるパーツなので、2音だけでトーナル・センター(調の中心)を明確にします。しかし、サウンドの性格(例えば明るいサウンド、暗いサウンドなどのハーモニーのカラー)は、これだけでは基本的には表現できません。完全5度を更に細分化して音を足していくことでサウンドの性格が聞こえてきます。なので完全5度はニュートラルなサウンドと言えるでしょう。下の譜面は完全5度の間に更に細分化した音程を足して、サウンドのカラーがどのように変化するか表しています。ぜひピアノで弾いてみてください。

画像4

なぜ完全5度が作るサウンドが安定するサウンドかというと、この2音は親戚同士のようなものだからです。これを説明するにはもう少し複雑な音楽の理論を説明しないといけないので、今の所はそういうものだと認識してください。そのうち書いていきたいです。

完全4度 Perfect 4th

完全4度と完全5度はとても似ています。下の譜面を見てみましょう。

画像5

構成音は同じですが、2音の配置が入れ替わると作られる音程が変わります。わかりやすく「ド」の完全4度上の音を考えましょう。「①ド」の完全4度上は、「①ド」「②レ」「③ミ」「④ファ」などで、「④ファ」になります。しかし「ファ」の完全5度上は「①ファ」「②ソ」「③ラ」「④シ」「⑤ド」とでオクターブ上の「ド」となりますね。このように同じ構成音の順番を入れ替えるだけで完全5度の音程を形成したり、完全4度の音程を形成したりします。

このように完全4度と完全5度はとても似ているサウンドなのです。したがって完全4度も完全5度と並んで安定した、ニュートラルなサウンドだと言えます。強いて言えば、5度の方がオープンなサウンド、4度の方がよりクローズなサウンドです。

余談ですが...連続5度というのがある

連続5度(parallel 5ths)というのがあり、和声学上、連続して完全5度が出現することはタブーとされています。音大受験をする人は覚えておきましょう!しかし、ロマン派以降の作曲家やジャズやロック、現代クラシック音楽では連続5度は頻繁に登場していて、逆に効果的なサウンドを狙うための手法の一つになっています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?