【まほやく 南バラッドイベスト考察】愛すべき「傷」⑥(ネタバレ・フィガロ特化)
南バラッドイベスト。ルチルがメインのようだったが、裏メインは間違いなくフィガロだったなという印象である(私の願望であるだけかもしれない)。
とにかく南がかかわるイベストやしんどいものが多く、心の消費カロリーが激しいのである…
以下、東訓練イベストの考察の延長で、フィガロの行く末を妄想していきたい。未読の方はお手数だが、前記事をご一読頂きたい。
上記の考察記事で私は、フィガロは、ファウストが理想とした「人間と魔法使いが共存する世界」の礎となる―いわば自己を犠牲にする形で石になるつもりだ、と考えた。
今回のバラッドイベストで、その思いを強くした……というところである。フィガロのことしか言及しない予定であり、さらに厄災の「傷」についても言及しないが、前記事とのリンクを優先したタイトルであることをお許しいただきたい。
メインストーリーはもちろん、イベントストーリーについても盛大なネタバレ記事になる予定である。不快に思われる方はUターンをお願いしたい。また、毎度のことであるが、カード・親愛ストーリーは全く読んでいない上での妄想である。ご容赦願いたい。ほぼ二次創作である。
また、記事中の画像は全てゲームアプリ内の引用である。
1.自己犠牲を厭わない
古代種を1箇所に集めるために、血液が有効だとわかった場面。他の魔法使いが嫌がる中、フィガロは易々と自分を傷つけ、血液を差し出す(呪いつき)。
フィガロが、石になる運命を受け入れているのも、何か目的のためには自己犠牲を厭わない・自分というものにあまり価値を見出していない ……という彼の考え方に根ざしていそうだと感じた。遠くない未来に、フィガロは自分の血液どころか、魔法使いとしての自分の器を易々と差し出しそう―と思わせる場面であった。
また、肉体の傷などなんでもない、というほど、心の傷を負っている―いや、傷を感じられないほどの空虚を抱えているといった雰囲気も感じてしまい、大変しんどくなったのであった(それだけに、東バラッドで南が関係してくるのが怖すぎる。ファウスト……)
2.古代種を封じること
どうも今回の古代宮殿、なにかのメタファーのように思えてならない。
宮殿があったということは、そこに今とは違う文明があったということ。シナリオでは触れられていなかったが、古代宮殿には今とは違う、人と魔法使いの在り方があったのではないか。(可能なら残された壁面の文字など見つけて欲しかったものである)
すると、賢者やフィガロが生きる現在の世界もまた、「古代宮殿になりうる」ということではないのか。人と魔法使いが「共存できない」部分だけを「過去」として、地下に埋めることができれば……「人と魔法使いが共存する世界」が実現できるのではないか、と思うのである。
言い換えれば、現在の世界を葬らなければ、新たな世界は来ないのかもしれない。それはあまり考えたくないが……
もしもルチルとブラッドリーが金髑髏を捕まえられず、封印の魔道具が失われていたら……私はフィガロが自分の肉体の一部や、手持ちの何かを躊躇なく使って、古代種を封印したように思う。幸い今回はそうならなかったが、いざ、フィガロが今の世界を変革しようとする時……そこに不要な何かを道ずれに、心中するかのように地下に自分を封印する可能性はあると思うのである。自分ごと世界を葬るように……
それはある意味、石になるよりも惨い結末かもしれない、、、と思うが、フィガロはそう考えていないような気がする。「世界」に関する発言が手がかりになる。
3.魔法使いよりもながらえるもの
古代宮殿が発見されたと聞いた時、フィガロは以下のように発言している。
「魔法使いは長命だけど、土地や世界は永遠みたいな時間を抱いているからね」
この場面のフィガロの穏やかな表情……非常に印象的である。
やはりフィガロは、世界そのものになる(一部に同化する)ことを望んでいるように思う。それは、ファウストの理想を叶え、彼を癒し、ミチルやルチルたちを守ることにつながる。フィガロは魔法使いであるよりも、確実に彼らと共に生き、彼らを見守ることが出来る方法を、選びとっていくのではないか。
「長い時間を生きる」
のではなく
「長い時間を抱く」
という言葉がとても重要だと思うのだ。
長い時間を生きるのが魔法使いなら、それを抱くのは、魔法使いではない。フィガロは魔法使いの中に、もはや自分を含まないつもりなのではないか。
自分が愛されたい者達と、人として並んで、時間を共有しながら生きることが叶わないから……フィガロは彼らを、彼らがもつ時間ごと抱える存在になろうというのだ。もちろん、抱かれる側には、フィガロの存在も愛も気付かれない。でもだからこそフィガロは拒否されない。一方的な愛だとしても、拒絶されるよりはフィガロは救われるということなのだろう。
……それは、諦めを重ねて肥大化したフィガロの大きすぎる愛であり、飢餓感を通り越した執着であるようにも思う。
確かにそれはフィガロの孤独や苦悩を癒す望みなのかもしれないが……私としては、彼にも「誰かと共に歩む」という経験を、肉体があるうちにさせてあげたい。できる、と思うのだ。そのためにもまず、ファウストにはちゃんとフィガロと向き合ってもらいたいし、フィガロにはミチルやルチルに「本当のフィガロ」を明かせるようになっていってもらいたい。
イベストを読む度にフィガロが不憫で、でも分からなくなって、しんどくて、……ズブズブとフィガロ沼にはまってしまっているように思う。
大いなる厄災がもたらす傷を持たないフィガロだが、彼はそれ以上に傷を得ている……いや、傷を自覚しないほどに空虚だ。つらい。空虚も傷も超えて、フィガロが自分を愛せるようになりますように。
まもなく1周年。メインストーリーの更新を切望したいが……怖い。
ちなみにフィガロSSRは来なかった。
(いつもよりは短めですが)長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!