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【アイナナ4部考察】一織・九条・セト・万理:サポーターの論理(ネタバレ)

【アイナナ考察記事についてのお願い】
・「二次創作」としてお読みください。ストーリーの展開を保証するものではなく、公式やキャラクターを貶めようとするものではありません。
・アイナナに関するすべての情報を把握しているわけではありません。個人の妄想と願望を大いに含む、一解釈であることをご理解ください。

アイナナ4部も折り返しだろうか。10章・11章の更新である。
今回は箱推しのTRIGGERの登場もなかったため、平素とは視点を変えて考察したい。ずばり「サポーターの論理」について。
対象は、一織・九条・セト・万理の四名である。
大変なネタバレと妄想を含むため、あらかじめご容赦願いたい。

アイナナはアイドルもののストーリーである。
もちろん中心は「主役」を目指す人々。ただし、本作は彼らを支える人々が密接にかかわってくる点が特徴でもある。4部になってそれが顕著ではないかと思うのだ。それがどういう意味を持つのか、ひとりひとり考えていこう。

1.セト

4部から急に出てきたナギのお兄様。
彼は少々特殊なサポート趣味を持っている。

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ソルヴァルド(ナギ側近)がほぼ言い当てているが、「他人の名誉を奪って」自分のアクセサリー化するのがご趣味…と。陸もまた、「助けられるナギには優しくできる」と的確な分析をしている。
つまり、セトは「助けを求められる」こと、「助けてあげた人が成功し、自分に感謝すること」で承認欲求を満たすタイプのサポーターである。

結果、彼は「興味を失いやすい(=自分が助ける立場でいられなくなったらポイ)」なのである。それにより、捨てられた方は大いに傷つく。
ナギは兄の助けが不要になるほど頑張ってしまったため、ポイされたのだ。

だからまた助ける必要が発生するように、桜春樹を人質にとった。
拗らせがすごい。


2.大神万理

セトの正反対を生きるのが万理である。
その証拠に、彼はセトを受け付けないと言っている。「サポートは、助けた人の手柄を横取りするためのものじゃない」…と。ド正論である。

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今回は、Re:valeの過去問題が裏で進行するなかでの、万理のセリフだった。
万理は千の成功のために、身を引いた過去がある。当然のド正論だといえよう。そしてその姿勢は未だに変わっていない。だからこそ、Re:vale問題に不穏な空気が立ち込めている今、百は心配してるのだ。彼の「二度目の失踪」を。

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百の言葉通り、万理は「サポートする人のためなら、自己犠牲を厭わない」タイプである。これは決して褒められたものではない。万理はなぜか必要以上に自己評価が低い。どうしてなのか。これが未だによくわからないのである。
万理は未だ「家族」の問題が表に出てこない(メインストーリーにおいてはRe:valeもそうだか)。かといって、音晴を父のように慕っているようにも見えない。このあたり、今後言及されていくといいのだが…


3.九条

最新のストーリーで一番我々をザワつかせたのは九条である。
ゼロにまつわる回想シーンが大変重要である。

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「誰より君が憎いのに、誰より君が恋しい」
「ゼロの名前を消し去るのは僕だ」
僕の名前は消えないよ、鷹匡―僕の変わりなんていちゃいけないんだ」

どういうことなのか。はて…
たしか以前、ゼロを唯一ハッキリおぼえている三月が、九条と容姿が似ている、というようなことを発言していた気がする。そして、この、ゼロ本人と自分とを混同するかのような九条の発言。
九条=ゼロではないと思うのである。そこでふと思い浮かんでくるのは、天と陸の双子関係、あるいは、三月と一織の兄弟関係である(もちろん、今回のメインであるナギとセトの兄弟関係も無関係ではない)

天は陸のために、家を出て、アイドル業を選んだ(三日月狼面接時の発言)
一織は三月のために共に事務所に入りアイドルとなり、そのグループを壊さないようにプロデュースしている

この兄弟への奉仕の姿勢。これは九条に通づるものではないのか。
奉仕してきた兄弟(にも似た強い絆を持つ相手)が消えた。そのあまりあるショックのために、「アイツはおれで、おれはあいつで」状態なのではないかと思うのである。これはナギをアクセサリーのようにするセトの態度にも通じるかもしれない。
ゼロというアクセサリーを欲するあまり、自分がゼロになってしまうという精神状態。なるほど想像以上の拗らせである。

…ということで、いずれにしても九条の場合は、「自分の目指すもの(=ゼロを消すのは自分という思想)のために、人を選別してサポート」するタイプである。
ツクモと似ている気もするが、月雲はサポートする気が毛頭ないので、そこが大きく違う。あの人はアイドル限定かまってちゃんなのだ。


4.和泉一織

大問題の一織である。
マネージャー各位はもちろんご存知だろうが、彼は陰ながらアイナナのプロデュースに携わっている。もちろん兄の三月は知らない。大和だけが感付いているが、黙認している。
そもそも彼がアイドルになったのも、「三月のため」というところがかなり大きい。もちろん兄のプライドのために、それは表面に出さないが…ほぼ間違いなく動機は「兄のため」であろう。

数度のアイナナ消滅の危機でも、三月のためにこのグループを守りたいという部分が大きかったはずである。加えて、彼の場合は七瀬陸という存在も大きく影響している。

これは4部3章あたりにある、いわゆる七瀬陸へのファンサ付近から垣間見える。一織は夢で七瀬陸から
「俺が幸せなら誰が不幸でも、誰をだましても気にするなって、本当に落ち着きながら言ってる?」と問いかけられ、一織のためにスターになってやるとのたまわれた末、「俺も消えちゃうけど」と言われるのである。
この夢のあと一織は、陸を「思い通りにしたいわけじゃない」と言っているが

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「陸の主軸が自分になればいいのに」という、大変危険な思想に走っている。自覚がないのかもしれないが、完全にコントロールしたがっているではないか。しかもその対抗馬として見ているのは天だ。やはり兄弟間の奉仕は、この2組の間に共通している
一織は陸に奉仕することで、彼の主軸になろうとしている。天の代わりに。

「サポートする相手を自分の思い通り(=理想の形で相手を輝かせる)に」という論理は、セト九条万理の誰とも違う。

例えばセトとの違いは、一織は陸に「感謝されること」「頼られること」に価値を見出していない点である。あくまでも、陸が一番輝くようにサポートするという理想の実現が欲望の対象なのだ。ちなみにこの理想に、「陸の意思」は関係ない。ここが大問題である。(三月の場合は昔怒られたから多少配慮している)
これはゼロが現役であったときの九条に近いのかもしれない。その欲望が強すぎて、九条はゼロを潰してしまった。一織が夢で陸が最後に消えると思っているのも、ゾッとする符合だ。

理想のために相手を潰す九条
理想通りにいかなくなった相手を捨てるセト
相手の理想のために自分を捨てる万理


ならば一織はなんだ?というのがいまいち見えてこない。
陸に対しては九条ポジションであろう。夢の陸は「俺は消える」と言っている。ただ陸が一織の理想を逸脱したとき、セトになる可能性は残る。一織は現実の陸を受け入れられず、彼を捨てる(あるいは自分が消える?)という行為にでるかもしれない。

三月に対しては万理ポジションかと思っている。
イベント「星巡りの観測者」でも、三月の犠牲になっていたのは一織だった(考察記事はこちら
今回の更新でも、三月との兄弟仲が不自然なまでに強調されていた(お土産のくだり、一織に乱暴するな!のあたり)。同時に、環は妹への奉仕を拒絶される。ナギは兄に奉仕するが、思い通りにならないと捨てられる。これは、遠からず一織のサポートを三月が拒絶する暗示ではないのか。三月は、一織の理想を拒絶する。陸と違うのはそこだ。

アイドルであることの理由だった三月への奉仕を失った一織は、ますます陸のコントロールにのめり込むだろう。それは一織自滅へのカウントダウンである。あるいは、七瀬陸という理想のアイドルとともに心中するのかもしれない。アイナナならやりかねない。

第4部後半では、この一織の「サポーターの論理」が物語を左右していくだろう。だからこそ、ここにきてサポーターたちの様子にスポットがあたっているのだ。今のところ、先輩サポーターは三人。どれもあまり見本にして欲しくない道をたどっている。
あるいは、九条・セト・万理のありさまを見て、一織は破滅しないサポーター道を見つけるのだろうか。それならば良いのだが…どうなることやら。


以上、四名のキャラクターの「サポーターの論理」について考えてみた。
おそらく直近で解決するのはセトにまつわることだろう。その後、Re:vale問題で万理、最後に桜春樹問題で九条、という順番でいろいろと明らかになるのではないか。それをアイナナの一員として目の当たりにする一織が、どんな結末を選んでいくのか…不安だが楽しみである。

それにしても、TRIGGERにはグループ内にこういうサポーター論理を持っているメンバーがいないのだな……と改めて思った。龍がそうなりかけていたが、なんとか大丈夫そうである。天の情が深すぎるところが、サポート理論に転じなければいいのだが。楽と龍に踏ん張ってもらいたい。

長文にお付き合いいただきありがとうございました!

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