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【まほやく2周年イベ考察】カインとオーエンの「見ること」(ネタバレ)

「魔法使いの約束」2周年おめでとうございます。

2部配信も来春に決定したとのこと、ますます盛り上がりを見せるコンテンツになっていきそうで、とても楽しみである。

毎年恒例になりそうな周年アニバーサリーイベストが今年も配信された。1周年のときもかなり盛りだくさんだったが、2周年はさらに、第2部に向けて重要な情報が詰まったストーリーだったように思う。


今回もいつも通り、私が気になったキャラクターのことを掘り下げつつ、考察を書き散らしていきたいと思う。まずはカインとオーエン、続いてネロとブラッドリー、最後にフィガロとファウストについて書く予定である。テーマは「見ること」だ(筆者の性癖丸出しである)。


はじめに言い訳をしておきたい。

1周年、2周年のイベストを読み、「本作はオズとアーサー、そしてムルと月がメイン2組なんだろうな」ということを実感した(重要説明はムルがし、ストーリーの締めくくりはオズとアーサーが担うのがデフォルトである)

しかし、彼らのことを、彼らの情報や言動だけで理解するのは非常に難しい。だから私は、そのほかの魔法使いたちを経由することにより、自ずと上記2組のことがわかってくるのだろうな…という理解をしている。

まあ、ただただ上記2組の考察は難しいから逃げているといえばそれまでなのだが。

前置きが長くなったが、そんな観点で3つの記事を読んでいただけたら幸いである。

いつも通り、大変なネタバレをする予定であり、妄想も多く含まれる。カードストーリーは全く読んでおらず、ゲーム以外の媒体の情報はほとんどチェックしていない上での、二次創作だと思っていただきたい。
また、記事中の画像は全てゲーム内からの引用である。


【これまでのカイン・オーエン考察記事】
【まほやく〜21章考察】身のつながり、魂のつながり①(ネタバレ)
【まほやく~21章考察】愛すべき「傷」①(ネタバレ)
【まほやく 南訓練イベ考察】愛すべき「傷」④(ネタバレ)
【まほやく 中央バラッドイベスト考察】自分の在り処(ネタバレ)
【まほやく1周年イベ考察】愛すべき「傷」⑦(ネタバレ・カイン/オーエン編)

1.オーエンを「見ること」

賢者の皆様には周知の事実だと思うが、まずはここから確認していきたい。

メインストーリーで一貫して他の魔法使いから語られていたことだ。


「オーエンと目を合わせてはいけない(目を逸らせ)」


それはなぜか。

カインによれば、「しっかり自我を保っていないと闇に引き摺られる」のだという。
特にカインはメインストーリー中、2回もこれを言っている。目を抉られるという実害があったのだから、実感のこもった忠告だといえよう。

これを踏まえて2周年イベストを確認してみよう。

まずは魔法舎でのケンカの場面。
フィガロに加勢しようと現れたオーエンを、真っ先に見つけているのはカインだ
少し前に、カップケーキを選ばないオーエンに対して、身を乗り出して顔を覗き込んでいたりもする。

ストーリー終盤、怪我を負って姿を消してしまったオーエンを、ただひとり発見するのはカインだ。その距離はかなり遠いことがわかる。「イヤイヤ目に入ってしまった」たぐいのものではない。意識していなければ、オーエンだと視認するのは難しいだろう。

しかもその後、バーベキューを作りながらも、まだ夜空を気にしている。

「オーエンを積極的に見ている」のである。

これはメインストーリー1部から考えれば、かなり大きな変化であるといえる。オーエンしか見えないから、という不可抗力だけが、カインが変化した理由だとは考えにくい。

以下、カインがどうしてこのように変容したのか、そして、それによってオーエンにどんな影響があるのか、を考えていきたい。

これ以降、1周年イベストの考察を前提に進めていくので、未読の方は読んでいただくといくらか分かりやすいかもしれない。


2.「祈る」オーエン―その本質へ

メインストーリー1部から、カインはオーエンの傷人格を目の当たりにしている。

1周年イベストでは、危機的な状況下で傷人格が優勢になってしまった。その時カインは

「オーエン、戻ってこれないか?頼むよ、オーエン!」

と懇願していた。

ここからわかるのは、カインがこの時点ではまだ「傷人格=オーエン」だと思いきれていないということである。

負傷したカインははじめて、傷人格を「小さいおまえ」と呼称した。
そして2周年イベストでは、通常人格を「小さくないおまえ」と呼称したのだ。

カインの中で「どちらもオーエンを構成するものだ」という認識が定着したと考えていいだろう。

もう少し踏み込んでみよう。ふたつのオーエンを目撃したカインだが、まだ「オーエンがカインの回復を祈るところ」だけは見ていない。

祈るオーエンとはなんだろう。

オーエンは「どうして祈ったりしたんだ…」と言っている。

「カインのために祈った」のは、まるで無意識であったかのような言い方である。しかし、カインのために祈るオーエンは「傷人格」ではなかった。そして、カインが「お前のせいじゃない」と言ったせいで、「悪い魔法使い」のポーズも無効化されていた。

祈ったのはそのどちらでもないオーエン……オーエンすらも知らない「オーエンの本質」であったのではないか。
言い換えれば、オーエンは「本当の自分がわからない」。だから祈ると言う自分の行動が、不可解極まりないのだ。

「またケルベロスに食わせてやる」と言い放つオーエンに対して、カインは「俺のために祈ってるオーエンを見逃さない」と宣言していた(1周年イベスト最終盤)。

カインは「小さいおまえ」でも「小さくないおまえ」でもない、そのふたつの人格の奥底に眠る「オーエン」本体―言うなれば「心」を「見よう」としているのである。

だから、2周年イベストでは、カインは本能的にオーエンから目を背けるのではなく、恣意的にオーエンを見ているのだと思う。


3.魔法―オーエンの「心」


オーエンの内面を知る、という意味で、もうひとつ忘れてはならないのは「魔法」の存在である。くどいほど確認してきたが、本作の魔法使いは「心で魔法を使う」からである。

1周年イベストの核心部分であったのは、「オーエンがカインに魔法を教える」というエピソードだろう。
これには本当に驚いたものだが、2周年イベストにもこの影響が強く残っているように思う。

なぜなら、魔法を教わるということは、同時に、その魔法使いの「心」に触れることに他ならないからである。

もちろん、オーエンから目玉を取り戻すという目標のために、カインは強くなりたいのだろう。だから「俺も早く、あいつみたいに強くならないと」と決意しているのだ。

しかし、強くなるためだけなら、オーエンを凌駕しているオズに魔法を教わればいいではないか(奇しくも同じ国だ)。やはりここには、カインの、「オーエンと同等になる」=「オーエンを理解する」という意識が潜在的にあるように思われるのである。

では一方のオーエンはどう思っているのだろうか。

4.カインに「見られること」―存在不安

2周年イベスト終盤、怪我を負ったオーエンは「誰かに魔法を教えるなんて、あれが最初で最後だよ」と言っている。

それは彼が、一人で完結しているからだという。誰の心にも接続しない、という意味だろう。
私はこのオーエンの認識は、少し歪んでいるように思う。

確かに、獣の中でだけ生きていくのであれば、一人で生きられる。
しかし、ひとたび「人や魔法使いの中」に入ったとたん、オーエンは一人では生きられなくなると思うのである。

1部メインストーリー、ニコラスの飛び降り事件付近の事を思い出してみよう。彼を突き落としたのはオーエンではないのに、「悪い魔法使いとして見られている」ことを察知したとたん、「悪事のすべては僕のせい」とした。

カインをケルベロスが襲ったのも、故意にやったわけでもなく記憶もないのに、「悪いことはすべて僕のせい」として片づけようとする。周囲がオーエンを「悪い魔法使い」として扱うから、こういう行動に出るのである。

この延長にあるのが主にエチュードイベストで匂わされていた、「意志決定できない」オーエンである。

2周年イベストでもそれは繰り返されている。カップケーキを選べなかった。ところが、ブラッドリーが選んだケーキなら、「それを奪う悪い魔法使いオーエン」という設定のもと、実行することができるのだ。

他の誰かに見られることなくして、オーエンは自己や自分の意思を捉えることが出来ない。


カインのことに話題を戻そう。

オーエンが「悪い魔法使い」として行った行動の最たるものは、「カインの眼球を奪う」だと言えよう。そして被害者は、誠実で信頼に足る騎士様として生存している。オーエンを「悪い魔法使い」にしてくれる、確たる存在がカインなのだ。

したがって、カインに「見られなくなる」ということは、「悪い魔法使い」でいられなくなるということど同義だ。カイン消失により、オーエンは完全に自己を見失うと思われる。
(※彼自身が自我を保てていないから、交わる人も自我を見失い、惑わされるのだろう)

もちろん、この世での居方がわからない(自己認識がぐらぐらなので)オーエンは、カインとの肉体的なつながりによって、かろうじて地上に踏みとどまっているという側面もある。

いずれにしても、カインの存在が、オーエンの居場所を作り出すものであるのは間違いない。それゆえに彼の回復を祈ったのだとすれば、オーエンの存在不安はかなり切実なものだと言っていいだろう。

翻れば、オーエンは、他と交わらなければ、「本当の自分を知ることなく生きていける、「心」なんぞ意識せずとも生きていける」ということではないのか。存在不安を感じずに本能のまま生きられる。

ところが、魔法を教えたことで、カインはオーエンの「心」に接触してしまった。

そして2周年イベストでは、さらにその「心」に触れようと、「話をしよう」と言い、オーエンを見つめてくる。オーエンが「悪い魔法使い」として応答すれば、「嘘だ」と見抜き、「幻聴だ」と煙に巻こうとしても信じない。

そのやりとりの中でオーエンは感じずにはいられないだろう、「本当に自分」を。
それゆえに、オーエンはカインを避け、不可解の募らせ、祈りや魔法の教授を後悔するのだ。
ほんの少し前までは、カインに「見られること」を求めていたはずなのに

5.名前のない関係性―ともだち


2周年イベストのテーマは、師弟や主従の絆だったと思う。
それに当てはめてみた時、カインとオーエンの関係性に、名前を付けることは難しい。

1部メインストーリーだけを読めば、目玉という「肉体でつながった」関係―「因縁」で片づけられた。だが、1周年&2周年イベストを経て、二人の関係は変容している。

魔法を通じてカインはオーエンの「心」に触れた。カインは少なからずオーエンの「心」を受け取った、と言ってもいいだろう。(継承、とは少し違うだろう)

肉体だけでなく、「心」でもつながりはじめている二人の関係性を、カインは「友達」だと表現している。


ちなみに、カインがオーエンを「友達」だと言ったのは、私の記憶のかぎりこれが初めてだと思う。

名前のない関係性と言えば、2周年イベストではオズとアーサーがあてはまる。結局、アーサーが望んだ「師弟関係」は明確には認められなかった。ふたりの関係に名前はまだない。
ムルとシャイロックだって、よくわからない関係性だ。

そしてもうひとつ、月と魔法使いの関係にも「友達」が使われていたではないか。

カインがオーエンとの関係に見出し始めた「友達」というつながりは、こじれにこじれている「名前のない関係性」に一石を投じるものになるかもしれない。

そのためにも、オーエンはまず、カインから目を背けず、カインと向き合うことで、自分自身に目を向けなければならないだろう。
これまでは双方が目を背けていたが、2周年を経て、カインは完全に「オーエンを見つめている」状態だ。変わるなら今しかない。

それがかなえば、肉体のつながりを越えていけるだろうし、厄災の傷を治す方法もおのずと見えてくるであろう。


ということで、1周年イベストと2周年イベストの間を埋めるような感じで、カインとオーエンの関係性について整理し直してみた。1部メインストーリー当時のことを思えば、びっくりするほどの進展が見えた。

このところのイベントストーリーでは、二人の仲が穏やかだったので油断していたが、オーエンの存在不安は、まったくもって解消されていない。

2部ストーリーでは、「一人でいい」というオーエンを引き留め、カインに「俺がいるだろ!」的なセリフを吐いて欲しいものだ。それでもオーエンはなかなか折れないだろうが、騎士様なら、気長に、しつこく、強烈に、オーエンをこの世に引き留めてくれるはずである。

次の記事では、ネロとブラッドリーについて初めて考察するつもりである。初めて扱う2人なので、色々お目こぼしいただきたい。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

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