企業主導型保育事業 専門的財務監査基準の確認
企業主導型保育事業の専門的財務監査基準を基に専門的財務監査の目的や内容を確認してみましょう
令和3年度から企業主導型保育事業者に対して専門的財務監査が実施されています。1年間に約500事業所に監査が行われています。
今回は、専門的財務監査基準を基に監査の目的や内容を確認してみましょう。
専門的財務監査基準は、児童育成協会から2023年06月5日に公表された基準を使用しています。
第3 専門的財務監査の実施
専門的財務監査基準の「第3 専門的財務監査の実施」の文章を引用しながら確認していきます。(専門的財務監査基準は児童育成協会のホームページで確認することができます)
項目 1 (監査の目的)
助成金の不正使用や不適切な会計処理が行われていないかについて重点的に確認することを目的としています
項目 2(監査上の留意事項)
監査は公正に実施し、監査人の一方的な判断を押しつけることがないように留意されています。
また、監査の趣旨や実施内容を明らかにして、事業者の理解や協力を得られるように努めています。
監査実施時には、保育の提供に影響を及ぼすことがないように配慮するとされています。
項目 3 (法令と監査基準の関係)
監査基準は、補助金適正化法の規定や国からの通知の内容を勘案して策定されています。
補助金適正化法ではどのような条文が定められているかを押さえておくことが大切です。
補助金適正化法の条文の理解を進めると監査基準の意図する内容を理解することに繋がるでしょう。
項目 4( 監査の実施方法)
監査は原則として、事業所への立入りによって行われます。(実地調査)
例外的に、遠隔監査が行われることがあります。
項目 5(実施通知と調査の拒否)
監査は、予め実施通知を行った上で実施されます。そのため、事業者は監査を拒否することは認められていません。
実施通知は文書により送付されます。
また、監査の準備資料については、専門的財務監査資料一覧として公表されています。
項目 6(監査人)
監査は、通常、公認会計士が2名以上で行われています。
項目 7(監査人であることの証明)
監査人は、身分を証する証明書を携帯しています。
監査実施の際に、身分等を名乗られたり、名刺交換をすることがも多いでしょう。
項目 8(監査の対応者)
当日の監査人への対応、質問等のと回答は、施設の設置者、責任者が行うことが通例とされています。具体的には、代表者や常勤役員、園長と会計責任者などが質問に応じて回答していきます。
専門的財務監査との表現の通り、財務・会計が中心の監査です。そのため、会計責任者、経理担当者の役割が重要になります。
また、監査に積極的に協力する姿勢が求められています。
項目 9(事前通知期間)
監査の実施は、基本的に1ヶ月前に通知されます。
例外的に、事前通知を短縮、または省略して監査が行われることがあります。これには、事業者側に何らか問題が発生している、または想定される場合などが考えられます。
項目 10(追加資料の提出)
専門的財務監査だけでは財務、経理の状況を十分に把握できない場合には追加の資料の提出が求められます。
項目1にある「助成金の不正使用や不適切な会計処理が行われていないか」について、準備した「専門的財務監査資料」だけでは不十分または不明瞭の場合などです。
そのため「専門的財務監査資料」を、形式的に準備するだけでなく、実質的な内容が整っているものか、監査人の理解が得られるものかを確認しながら、準備していくことが大切になります。
項目 11(専門的財務監査資料の提出義務と未提示)
専門的財務監査資料は、監査の際に必ず提出(準備)する必要があります。
監査において資料が提示されない場合には、補助金の返還等が必要等なることがあります。
マツオカ会計事務所のホームページでは、専門的財務監査評価基準を項目ごとに解説しています。
ご参考
1から学べる社会福祉法人会計勉強会のエッセンスを、
「ふわふわ会計 note版」として会計に興味のある全ての方向けに記載しています。