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〖声劇台本〗群れから外れた羊はオオカミに食べられる〖女4〗
「群れから外れた羊はオオカミに食べられる」
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一花(いちか以下表記花):気が弱い押しに弱い女子高生
ナミ:気が強い流行りが好き
ゆり:ナミ同様ナミには弱い
静馬:一匹狼的、クール美人タイプ
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ナミ「やっぱりそう思うよね」
ゆり「うん。絶対、まりり!」
花M「まいて、まいて。」
「ゆるふわウェーブにナチュラルつけまつげ」
「涙目シャドーにつるぷるリップ」
ナミ「この間「まりり」が着てたワンピースでしょ」
ゆり「わかる~アカネがこの間の西高との合コンでユナと被ったってイラついてたもん」
ナミ「ユナも空気読めって感じよね~」
花M「こうなるともう止まらない」
ゆり「一花もそう思うでしょ?」
花「あ~うん」
ナミ「·····てかさ、最近、一花付き合い悪くない?」
ゆり「あ、そう思った~」
花「そう?バイトとか、塾とか·····」
ナミ「この後の朝比奈大との合コン、絶対来てよ?一花の写メ見て先輩が連れてきてってうるさくってさ~」
花「·····あ~う···ん」
ゆり「·····乗り気じゃない?」
ナミ「え、なに?何か用事あったの?連れてくって言っちゃったよーね?お願い!ね?」
花「···あーうん。分かった」
ナミ「良かったよぉー。あ、じゃあ髪、巻いたげるよ!」
ゆり「私この間買ったリップ貸してあげる〜」
ナミ「あ、私も貸して~」
花M「皆同じ。制服の気崩し、髪型も、化粧も、リップも。誰一人、抜ける事は許されない。抜ける事が怖い。ひとりが怖い·····教室で1人でお弁当を食べるのは辛い。「ああ、あの子ボッチ、ワラ」群れから外れた羊は食い殺される·····オオカミに」
ナミ「可愛い~!一花本当に可愛い!まりりみたーい」
ゆり「ほんとだ!良いなぁぱっちり二重!私なんてアイプチしないと誰〜ってかんじー」
ナミ「今日ぜ〜んいん、一花の魔の手にかかっちゃいそー」
ゆり「誑かし~?」
静馬「···手。洗いたいんだけどいい?」
ナミ「···あ、どうぞぉ」
三人「·····」
静馬「ありがとう」
ゆり「···大神さんって、まりりに似てるって言われない?」
静馬「···あんな顔、どこにでもいる顔に皆、同じメイクしてるから、誰でも似てるでしょ」
ナミ「···やなかんじぃー。自分が美人って言ってるみたい」
静馬「気に触ったならごめんなさい」
ゆり「気に触ったらって···触りまくってるっての」
花「あ、あ!ねぇそろそろ行こう!」
ナミ、ゆり「·····」
静馬「···似合ってないと思う···そのリップと巻き髪」
花「え?大神さ·····」
静馬「うん。この色の方が似合ってる。じゃあね」
ナミ「···キッショ。なにあれー」
ゆり「絶対「私は美人」って思ってるよねー」
ナミ「わかるぅー。一花大丈夫ぅ?」
花「あ、うん。大丈夫。行こ」
花M「そう。群れから外れた羊は食い殺される···」
【間】
ナミ「きゃはは。マージキモイんですけど」
ゆり「わかるわぁ~男の前だと態度変わるし、サイテー」
【間】
ゆり「あ、一花ぁ~おはよー」
ナミ「おはよー。一花今日カラオケ行くけど、バイトだよねー?」
花「あ、うん。ごめんね」
ゆり「あ~全然大丈夫だからぁ」
ナミ「そーそ。わかってるし。クスクス」
【間】
静馬「こんな所でどうしたの」
花「···なんでもない」
静馬「最近。彼女達と一緒に井戸端会議はしないのね」
花「···。ぷっ。ふはははっ。井戸端会議って」
静馬「言わない?井戸端会議」
花「いや~オバサンがやる物じゃない。井戸端会議って」
静馬「女子高生もオバサンも生物的には同じだと思うわ」
花「ウワサ好きで、自分以外男性にチヤホヤされたら気に入らない。人より目立ってはいけない。人より劣っては行けない」
静馬「そう。」
花「あはは。私、別に誑かしてる訳じゃなくて。ナミの好きな人だって言われても···しつこくて」
静馬「合コン?」
花「そ。それに···人と話すのが、苦手でさ。初めて会う人とだと、声高くなっちゃうんだ。それが、ぶりっ子してるみたいに見えたみたい。」
静馬「そう」
花「···本当は、2人はいい子だって思ってるけど···でも···私、無理してるんだよね。多分」
静馬「本当にそう思ってる?」
花「ん?うん···合わないのかなって···」
静馬「あなた。本当に2人が「いい子」だと思ってるの?「あの子達はいい子」「私が悪いの」って、私にあなたはいい子。って思わせたいんでしょ?」
花「え?」
静馬「なぜ自分を抑えてまで合わない人と居るの?」
花「···大神さんには···わかんないよ!1人でお弁当食べるつらさ、体育のチーム決め···修学旅行の班決め、全部ぼっちだと···」
静馬「ぼっちだとなに?」
花「···ぼっちだと」
静馬「友達がいない、可哀想って思われる?」
花「皆同じじゃないと···群れてないと···」
静馬「オオカミに食べられちゃう?」
花「·····」
静馬「がおっ」
花「え?」
静馬「はい。群れから外れたあなたは大神に食べられました」
花「え?え?ダジャレ?」
静馬「別に群れから外れたって、白い羊の中に黒い羊がいたっていいじゃない。羊は羊でしょ?どうせ毛を刈られて最後は食べられるか死ぬんだから」
静馬「それに。白い羊だって汚れたらグレーになるじゃない。」
花「とりあえず···一匹狼でもいいって事がいいたい?」
静馬「···そうね」
花「自分が大神だから?」
静馬「それはそうじゃない」
花「大神さん、変わってるって言われない?」
静馬「私に面と向かって言ったのはあなたが初めてよ」
花「そうなんだ」
静馬「ええ」
花「···もしかして、前も助けてくれたの?」
静馬「そのつもりだったけど。上手く伝わらないものね」
花「あはは。アレでは伝わらないよー」
静馬「そうね。ふふ」
花「あはは。そっか。別に···1人でもいっか」
静馬「体育の時は私がペアになってあげるわよ」
花「あははありがとう。でも本当は大神さん、体育憂鬱だった?」
静馬「あなただけだったわ。私に率先して来てくれたの」
花「あ、だって···私達三人だったからひとりあふれちゃうし、あの二人はずっと同じクラスだったから···」
静馬「でも嬉しかったのよ。ふと目に止まった雑貨屋で、あなたに似合いそうなリップを見つけるくらいには」
花「あ···」
静馬「オオカミだって1匹でいたいわけじゃないのよ」
花「···じゃあ。今度、一緒に静馬ちゃんに似合いそうなリップ、探しに行こうよ」
静馬「ええ。出来ればまりりとは違う色がいいわね」
了