「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」であんまり泣けなかった私の話
※個人の感想です
※一部、粗暴な表現を含む可能性があります
※文章が拙いですがご了承ください
※間延びもご了承ください
※なんでも許してください
※途中からネタバレを含みますが、その前に注意を入れるので、見たくない方はブラウザバックをお願いします
劇場へ
この作品を観てみたいと思ったきっかけは、友達がハマっていたから。
勿論、一部で話題になっていたというのもあるけれど、長年の付き合いのある友達があんなに絶賛するならこれは外れないだろうと思った。
事前情報として、ネタバレ無しのレビューをいくつか読んだ。
「泣けました」「タオル必須」「最高でした」
とても評判がよかった。
なのにどうしてあまり大々的に話題に上がらないんだろうかと疑問には思っていた。
公開された直後こそ、テレビで鑑賞後の人に取材をしていたけれど、それはあの事件があったからなように思う。
純粋なレビューをテレビで見た事は無かった。
Twitterで「観てみたい」と呟くと、友達は近くの映画館を探してくれた。お金も出してくれた。本当にありがとうございます。
そして、体調の調整をしつつ、遂に見に行くことができた。
以下、ネタバレ無しのレビューになります。
映像の美しさ
息を飲むほどに美しかった。
なんて繊細なんだろう。
髪の毛の一本一本。靡く布。微妙な表情の変化。
カットも良かった。
所々でヴァイオレットの一人称視点を描くことで、感情移入をさせる。
「美しいアニメ映画」を初めて観た。
普段映画を観ないからこそ余計にそう感じたのかもしれない(綺麗なのは事実)。
映画館へ足を運んだのは5年ぶりだった。
「泣ける」という数多の感想と、私
タイトルにもある通り、「泣ける」について書きたいと思う。
「この映画は泣ける映画だ」
大抵の人が泣くのだという。
鑑賞後、私が思う事。
「なぜ皆泣けるのか?」
私はボロボロ泣けなかった。
少しは泣いた。かなり前半部分。
けれど、それからは全く涙が出なかった。
「泣ける」評判。「泣けなかった私」。
何故そうなったかは自分でもよく分かっている。
感情の整理が、追いつかない。
目まぐるしく心を揺さぶってくる。
感傷、期待、落胆、希望、諦念、安堵……。
この作品が心理描写に長けすぎているせいで、そして私の感情の処理が下手すぎるせいで、終始私の心はあたふたしていた。
それだけでなく、各キャラクターのディテールがしっかりとしていて、色んな人の気持ちが絡み合っているというストーリーをより色濃くするための土台が出来ていたように感じた。
二次元で、創作。
だけど、キャラクターが「生きて」いた。
営みがあった。生も死もあった。
全てを受け止め、または放棄しながらも、みんなが生きた。懸命に愛した。
映像の美しさは、それを補強する為のものなんじゃないかと、今は感じる。
あそこまで美しい絵だからこそ、どこまでも透明で、真っ直ぐな愛が伝わる。
視覚的アプローチ、のような。
私は、涙を流すより、息を飲んでいた。ずっと。
「泣ける」の、本当の意味
「なぜ皆泣けるのか?」と書いた真意。
「なんで一発目でこれを全部受け止められる人がいるんだよ」
極論、この映画で一番泣ける箇所なんて無い。
どの場所でも泣けてしまう。
何故か?観終わったら答えが出る。
一回目より二回目、二回目より三回目。
何度でも観る事で、感情の咀嚼が上手くいき、より泣ける。これが私なりの真相。
「わかっているから泣ける」作品の存在を、初めて知った。
じゃあ一度目はイマイチなのか?
二度以降じゃないと分からないのか?
全くそんなことは無い。
一度目で全貌が明らかになって、それで終わりの映画じゃない、ということ。
もういいや、と思う人も居るとは思う。
けれど私は、人生で初めて、もう一度劇場で観たい映画だと思った。
チケットの値段にも満足した。(むしろ倍の値段で良いんじゃないか……?)
友達が足げく通う理由がよく分かった。
この映画は、「もう一度観せる映画」であり、「回数を重ねる毎に魅せる映画」だった。
映画「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
私は、映画が好きではない。
1時間半ほどの間に起承転結が短く凝縮されていて、なんだか面食らってしまう。
疲れと同時に、物足りないような、置いていかれたような。
これで全部終わりなのね、みたいな。
でも、続編があったらあったで、それもまた何か違うんだよなぁ、っていうワガママさを持ち合わせてて。我ながら損してるよなぁ。
観終わった後は「終わったなぁ」くらい。
「よかった!拍手!」
「他の人にも薦めたい!」
この類いの感想を抱いたことが無い。
いや、ごめん、
無かった。今までは。
これからは違う。
スタンディング・オベーションをされて然るべきだと純粋に思える映画が、このヴァイオレット・エヴァーガーデンだった。
何もかもが愛おしかった。
痛いくらい純粋で、深くて、透明で、重かった。
驚いたのが、心理描写に長けているのに、全体的にざっくりしている所。
そのざっくりは、決して雑なわけではない。
「あえて」観る側に任せている、と受け取った。
描写をしないことで、より強固にする。
こんな手法は、もはや理解の範疇を超えていて、頭おかしいんじゃないかと思える。
「観る側が想像すればいい」
作者や監督の、よくある答えだ。
それら全てを「深く考えんな」という意味だと捉えてきたし、そうしてきた。
トトロとか本当は何者なのか知らんし。
まあ知らんくてもこんな不思議なことがあったら楽しいねー、で思考停止しておけばそれが一番楽しめる。
なのにこの映画は、真逆だ。
想像に任せているという点は同じなのに、意味がまるで違う。
私達それぞれの中に解釈があって、時には膨らませて、時には寄り添って、いくらでも広げていい。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を、自分なりに脳内でアレンジしていい。
心には響く。
だけど細かく描かない、という手法。
やっぱり頭おかしいんじゃないのか??
現に、ふと、
「あ、もしかしてあのキャラクターは、本当はこう思ってたんじゃないか?」
と頭に過ぎってしまう時がある。
そこからは思案をどんどん巡らせていく。
勝手に頭が考えてしまっている。
たまたま流れてきたメロディー。
タイムラインに流れてくる恋愛話。
綺麗な景色の写真。
日常に、この映画の考察が隠れている。
だから何度でも思い出す。
胸が張り裂けそうになる。
暖かい気持ちになることもある。
私たちの生活に、この作品が生きている。
今も私はこうして、拙いながらも文字を紡いでいる。
ヴァイオレットは、どんな気持ちで、美しい文章を紡ぎ続けたんだろう。
こんな風に、いつでも、どこでも、傍にある。
鑑賞だけでは終わらない、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
私はこれからも思い出すんだろう。
思いを馳せるんだろう。
目を閉じて、脳裏に浮かぶ様々なシーンに考えを巡らせるんだろう。
この作品を愛している人も、もちろん。
これから観る人も、きっとそうだ。
終わりは、始まり
映画を観終わった時から、私の、あなたの、ヴァイオレット・エヴァーガーデンが始まる。
何度も言う。
観て終わりじゃない。
これから始まるんだから、損なんてしない。
こんな感想で「観たい」と思う人が居るかと聞かれたら、まあ居ないだろうと思う。
でも、どうしても、伝えたくなった。
是非、あなたの「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を始めて欲しい。
ネタバレ解禁の感想
ここからはネタバレを含む感想を書きます。
もし、鑑賞予定があるのでしたら、絶対に見ないでください。
ブラウザバック、押してもらえました?
ヴァイオレットちゃんと少佐
私が泣いたのは、最初の方の回想。
少佐がヴァイオレットに「あいしてる」と告げた、あのシーン。
危機的状況で、もう助からない。
そんな中で、目の前の、愛しい人に「あいしてる」なんて。
そしてそれをヴァイオレットちゃんはずっと覚えていて、忘れられなくて、少佐が生きていると信じながら懸命に日々を過ごしていた。
船のシーンなんか特に良かった…。
少佐の面影を一つ一つ慈しむヴァイオレットちゃんが健気で…もう…………。
真っ直ぐすぎるだろ……!!!!
最初、少佐はヴァイオレットちゃんから逃げたんだと思って「何だこの野郎」って思っちゃった。
けどあそこで一生ヴァイオレットちゃんの記憶を抱えて懺悔するように生きるつもりだったのかと思うと…本当に人生の全てだったんだな…。
ヴァイオレットちゃんもヴァイオレットちゃんで、会えなくても、少佐が生きていて、声が聞けて、嬉しかったって。
会いたい気持ちより、少佐の気持ちを優先したんだよ。そんなことできる!?!?
ずっとずっとずっと会いたかったのに。
忘れたことなんて無かったのに。
目の前に、その人がいるのに。
それでも相手の意見を尊重するって、本気と書いてマジの愛じゃん…。
少佐は悔恨からヴァイオレットちゃんを愛しているのかもしれない。
ヴァイオレットちゃんは少佐しか愛情を注いでくれた人を知らないから愛しているのかもしれない。
そんな不器用な二人が愛おしすぎませんか??
無いものを補い合える二人だから、お互いしか知らなくてもそれでいいんだよ…。
お互いの存在が、お互いにとって全てなんだよ…。
あと、泣きじゃくって「あいしてる」って言えないヴァイオレットちゃんを抱き締めた少佐マジありがとう!!!!!!!!!!!!!!
小さくガッツポーズした!!!!!
あの海辺のシーン、間のとり方が神がかってるよ…。
冗長じゃなくて、必要な間だった。
そこでグッと惹き付けられたし。
よかったよ〜…よかった〜…ハッピーだ…。
あの後、二人はどんな人生を歩んだんだろう。
描かれてないけど、幸せだったんだろうな。
誰かーー!!!幸せな二人の二次創作見せてーーーーッッッッッツツ!!!!!!!
まだ全然咀嚼できてないから、他に思った事は唐突にTwitterに投げるかも。ふせったーとか使って。
特典の冊子?もまだ読んでないからそれの感想もそっちで。
この作品×私
映画を観る前、友達に「観てくれるのは嬉しいんだけど…男女の恋愛なんだよね、大丈夫?」と言われたのね。
世の中の作品が誰にどう刺さるかなんて分からないから。
特に私は男女の恋愛が苦手(ビアンなので)。
結果は全然大丈夫だったんですけどね。
で。それで、よ。
ちょっと話は一度脱線するんだけども。
私はfate/stay nightの間桐慎二が好きなんです。
魔術師の家系に生まれながら、魔術が使えない。
誰にも認めて貰えない。
友達も、家族も、愛する人も、全てから拒絶されて。
そんな不遇な間桐慎二の気持ちを想うとやり切れない。
そこが好き。
だからなんですよ。
私は大佐に感情移入してしまう。
ヴァイオレットちゃんを、不器用な形で想っていた。
少佐も不器用だったけど、大佐はもっと不器用だった。
父親には反発心と諦めを。
少佐(弟)に対しては羨望からの腹立たしさを。
いやこれ最終的には一番可哀想だろ!!
でも報われて欲しかったというわけでもなくて…。
大佐ァ…どうやって生きたんだろう…。
二人が愛し合っているのを一生引き摺るのは大佐だよ…。
家を守った。国を守った。
その為には冷徹な判断も厭わなかった。
そんな大佐に残ったのは、自分が堅実に築き上げたレールだけだったんじゃないか。
家も、土地も、全てを捨てて。
それでも愛する人が傍に居てくれる弟。
どんなに羨ましかっただろう。
でもごめん、私は幸せになれないキャラが好きなんだ。大佐すごく好きだ。
あの島の切手をどんな風に眺めたんだろうかと思いを馳せると、胸の奥がチリチリする。
大佐は人生で「あいしてる」を知ることが出来たのかな。
知ってももう遅かったかな。
大佐、リボンひとつくらい黙って貰ったって誰も怒りはしないよ。
それが口実にはなったかもしれないけど、って結果論か…。
結果って残酷だな。戻れやしないのに。
戻れたとして、何も出来ないのに。
結果だけは絶対に出てしまうから。
劇場をあとに
エンドロールは完全に脳のCPU100%で、ぽけ〜っとしてるようなハッキリしてるような、よく分からない感覚だった。
今までの映画とは違うエンドロールの見方だったのは確か。
とか思ってたら最後の!!!
指切りしてる二人はヤバいでしょって!!!!
ズルじゃんて!!!!
あ〜〜〜〜〜ずるいね、仲良しじゃんマジおめでとうじゃん……。
家に帰って「映画どうだった?」って聞かれて
「良かったのは確かだけど感想が言えない」って答えてしまった。
私があの状態で何を言っても薄っぺら過ぎて金箔レベルの延性を持ってたと思う。
いや今も割とペラいけどまだマシ!!
観た直後だと感想が言えない映画ってなんなんだ…凄すぎかよ…。
おわりに
おわりにもクソもなくてもう絞りカスみたいな感想しかねぇよ!って感じではあるんですが…。
「この映画を、自分の中のどういう位置付けにしたらいいか分からないな、私は実はあんまり評価してないのか…?」
これは観終わってからずっとあった疑問なんだけど、答えをズバリ言えば「まだ終わってないから」。
考察する上でまだ好きになるんじゃないかと。
だから位置なんてまだ付けられないんですよ。
4DXってあるじゃん。臨場感出るやつ。
だったらヴァイオレットは5DXですけどね!?
色々超越してるからね!!!
あっさいあっさい感想を随分引き伸ばしてしまった…。
もっとレベルの高いレビューを沢山読みたい…。
みなさんも是非こんなのじゃなくて文章力のある人の感想を読んでみてはいかかでしょうか!
手遅れ?いいえ、道連れです。
あー、あと5年は映画観に行かなくていいな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?