花百物語-12 百日紅
夏といえば、多くの人は向日葵を思い浮かべる。もう一つ夏に咲き、名も知られる花がある。
猿が滑るほど、幹がツルツルした百日紅だ。
細い幹が何本も伸び樹となっていたり、何の加減か松の様にぐにゃりと曲がっているものもある。
幹も栄養のバランスか年をとったのか、ささくれを起こしているものもある。
パッと、目が醒める様なヒマワリと違い、百日紅の花は緑の葉の中にピンクや白、マゼンタの様な色をポンポンの様に咲かせる姿は
さながら、チアガールのよう。
それら以外の色を見た事はない。
旅立つ王子と100日後に再会出来ると信じ、待ち続けた恋人の思いが色に変わったかもしれない。