想像力で、優しくなれる。
送別されたとき、「あなたはいつも優しくしてくれた」と言われた。
書き記されたメッセージの中にも「優しい」という文字を見つける。
お世辞なのかもしれないけど、
私は素直にその言葉を受け取った。
そこで知るのは、私って優しいって思われる人間なんだということ。
私は優しい人間だからと思い込んで、誰かと接している訳ではない。
優しいから話を聴いているのでもないし、
優しいから助けようとしているのではない。
ただ、想像することが他の人よりきっと多い気がする。
だからこそ、あえて少数派の意見を持つことだってある。
そして、想像における最後の着地点は、
どんな形で相手に寄り添えるかという考えに行き着く。
アルバイト時代の話。
毎週土曜日の11時になると必ずと言っていいほど、
立ち寄ってくださる1人のお客さんがいた。
その方は70代くらいだろうか、
白い髪と花柄のスカーフがとても似合う女性だった。
と、私に話してくださった。
常に誰かのために自分の時間を使っている人がいる。
それが当たり前だと思っていても、
せめてここに来たときだけは、
自分の時間を大切にしてほしいと強く願ってしまう。
「ケーキのお供に、是非楽しんでください」と伝えて、
コーヒーパックを袋へ一緒に入れた。
こうして、店員としてできることは何かあるかな… と、
考えて表現する接客がとても好きだった。
想像力があるのって、きっと良いことなんだと思うけど、
時に自分を苦しめることも多くある。
優しいと言われる人は想像力がある。
だからこそ、きっとこういう苦悩があるはずだ。
そういうときこそ、想像力のせいにして自分のことを受け入れておきたい。
誰かの為に深く考えれるからこそ、
自分のときは感覚のままに動くのだ。
優しさに見返りなんて求めてはいないけど、これまでの想像が何らかの形で、人生の中で良い影響をもたらしてくれると信じている。