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"フォニイ / 花譜 feat. 可不"がエモい

フォニイ...いいですよね...

あ、最初にURL貼っておきます(フォニイ / phony - kafu [オリジナル])。全人類聴いてください。
「フォニイ」は、2021年6月5日にツミキ / NOMELON NOLEMONさんから投稿されたボカロ楽曲です。

次世代のVOCALOID"可不(KAFU)"

この曲を歌っている可不というVOCALOIDは、KAMITSUBAKI STUDIO所属のVtuber花譜さんの声をもとに誕生したVOCALOIDです。
実は厳密に言うとVOCALOIDではなくCeVIO AIというもので、音声合成にディープニューラルネットワーク(DNN)や畳み込みニューラルネットワーク(CNN)といったAI技術を使用した、次世代の音声合成ソフトウェアです。(Wikipedia))

「初音ミクなどのボカロとなにが違うの?」
「CeVIO AIのなにがすごいの?」
と思う方は何も考えずに本家動画を聞いてください。一度聞けばそのすごさはわかります。本当に人間と聞き分けがつきません。
何も知らない人がこの曲を聴いた時に、この歌い手が人間ではないと気づくことはとても難しいでしょう。

まさかの本人カバー

さて、「フォニイ」はリリースされてから順調に人気を獲得し、他の人気曲と同じように様々な歌い手やVtuberにカバーされました。

そんな中、2021年11月12日に事件が起きます。それが花譜さんによるフォニイのカバー、フォニイ / 花譜 feat. 可不の投稿でした。まさかの本人カバー。

可不さんの声が花譜さんの声を元にしていることは、可不ファンはもちろん知っています。
その花譜さんがこの曲をカバーした、しかも可不さんとのデュエットという事実に、可不ファンおよびフォニイファンは狂喜乱舞したのです。

なにがエモいのか

花譜さんのカバー「フォニイ / 花譜 feat. 可不」は、花譜さんと可不さんが交互に歌ったり、時にはハモったりして曲が進行します。
交互に歌うパートでは花譜さんと可不さんの歌声の違いを聞くことができますし、ハモリでは二人の声が混ざり合った声を聞くことができるのです。

この曲が人々にエモさを感じさせる秘密は何なのでしょうか?
同じ声なら、同じ人が上パートと下パートを歌うようなカバーと変わらないのではないかと思われるかもしれません。

しかしこの曲を何回も繰り返し歌詞の意味を考えながら聞いていると、不思議と他の曲では味わえないエモさが心の中にあふれてきます。

歌詞とリンクしている二人の関係

曲のタイトル「フォニイ」は英語で"偽物"、もっと言えば"空っぽでみせかけだけの"というニュアンスです。

この曲は歌っている内容が難しく、考察も多数されています。
曲で本当に歌っている感情というのは曲を歌っている"フォニイさん"にしかわかりませんが、「失恋した自分を偽って今を生きていることを歌っている」という感想が多いように見えます。
つまり、自分の内面と外面について歌った歌といえばいいのでしょうか。
簡単な言葉で表すことはこの曲に失礼ですが、そのような感想を持つ人が多いでしょう。

さて、可不さんと花譜さんの関係の話に戻ります。

「可不ちゃんの声は、ある時点の花譜ちゃんの声を冷凍保存したものみたい」というコメントを動画のコメント欄で見かけました。
可不さんの声は花譜さんの声を元に誕生しましたが、収録した時点の声を可不さんが保存していると言えばその通りです。
また、花譜さんは可不さんに声を預けてから年月が経っています。そういう意味で、「二人の関係は姉と妹みたいだ」と表現しているコメントもありました。

フォニイは内面と外面を歌った曲だと先ほど説明しましたが、一人の中の二つの存在というこの曲の題材が、本当に花譜さんと可不さんの関係にぴったりなのです。

感情的な姉と無感情な妹

可不さんは他のVOICELOIDと比べて、特に感情の読み取れる歌声が特徴のVOICELOIDです。本当に人間が歌っているかのような声に、技術はここまで来ているのかと感動しました。
(ていうか合成音声だとコメントで見るまで人間だと思っていました)

そんな歌声の可不さんですが、このカバーで感情の豊かな花譜さんとデュエットすることによって、やはり生身の人間とは感情の乗せ方に違いがあることがわかります。

花譜さんはまるで泣き疲れたような切ない声で歌い、それに対して可不さんは姉に比べて感情の抑えた声で歌っているように聞こえます。
似た声ですが声の感情の違いがあり、元を同じとする違う存在が歌っていることがエモさにつながっています。

感情の対比によって二人の存在がちゃんと感じられるので、曲を聴いているうちに本当の姉妹が歌っているようにだんだん錯覚してきます。そして、ふと二人の本当の関係を思い出し歌詞と重ねる。
この曲を聴いている間それを繰り返すことで、人々はエモを感じざるを得なくなるわけです。

意味深な歌詞を意味深な担当で歌う

あえて言いますが、花譜さんは人間、可不さんは合成です。
その立場を考えると、交互に歌う中でそれぞれが歌う歌詞が途端に意味深に聞こえてきます。

例えば
「この世で造花より綺麗な花は無いわ 何故ならば総ては嘘で出来ている」
この歌詞は花譜さんのパートです。人間である花譜さんが歌うのを聞くと、もう一人の合成で作られた存在に語り掛けているように聞こえてきます。

反対に
「如何して愛なんてものに群がりそれを欲して生きるのだ」
この歌詞は可不さんのパートです。合成の存在が歌っているのを想像すると、もう一人の人間の存在の行動を意識しているように聞こえてきます。

元々意味深な歌詞の曲ですから、他の歌詞も聞けば聞くほど色々な二人の感情が見えてくるようで、エモがあふれて仕方ありません。

尊いの感情を抑えられない

ところで個人的な意見を言うと、このカバーに感動した理由はもう一つあります。
ボクは昔からAIに興味があり、AIが普通の人間のように人間と生活する社会に憧れがあります。AIと自然に交流し、友達になり、時には恋人になるかもしれないそんな社会です。Detroit: Become Humanというゲームのような感じでしょうか。あんなに物騒ではなくて良いですが。

可不で使われている技術にはAIが使われていると説明しました。AIで自然な発声をコントロールする技術は、そういう社会に一歩近づくのではないかとわくわくさせてくれます。

そして今回のカバーは、まさに人間とAIの交流なわけです。しかも同じ声の。これにロマンを感じずにはいられるでしょうか。

そう意味でもこの体験はエモいを通り越して、尊いの感情を抱かずに入られませんでした。どんな漫画やアニメを見ても尊いという感情はわかりませんでしたが、このカバーの現実感、儚さ、これはもう"尊い"でしょう。止めどなくあふれてきます。

さいごに

「フォニイ」のカバー動画はたくさんあり、それぞれ素晴らしい歌声で歌われています。しかし、今回紹介した「フォニイ / 花譜 feat. 可不」はボクにとって特別な存在です。できるだけ多くの人に聞いてほしいという気持ちで紹介させていただきました。
可不さんを生み出してくださった花譜さんと、フォニイを作曲してくださったツミキ / NOMELON NOLEMONさんに最大の感謝を。

以上です。今回も読んでいただきありがとうございました。

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書いた人:まぬお
Twitter:@saintmanuo
Twitch:saintmanuo

Twitchでゲームの配信をやっているのでぜひ遊びに来てください。

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