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【データ企画!】プレミアリーグの空中戦って実際どうなの?

 こんちは。自分はバリバリの文系なのでデータを比較してとか、統計を取るのは苦手なのですが、以前この山中氏のツイートを目にした暇人はなぜか、「これをやろう!」と決意しました。

 単純に自分も気になったし、自己満だけでなくたまには社会貢献しようと思った次第であります(少しだけ媚びるという気持ちもあります(笑))。そこで今回は、プレミアリーグに移籍してきた選手の移籍前年と移籍初年の成績を比較して、「プレミアリーグの空中戦って実際やばいの?」、「どのリーグの選手が空中戦に長けているの?」といったところを見ていきたいと思います。
 なお、CBやストライカーだけではサンプル数が少なすぎたため、FBrefに成績の記載が残る17-18シーズン以降にプレミアリーグに移籍してきた5大リーグ(西・伊・独・仏)の選手計102名を対象にしました。

1⃣データの集計方法、表の見方について

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①各選手ごとの出場時間・空中戦勝利数・敗北数・勝率(成功率)・勝率の推移
②①における「勝率の推移」の値などを各リーグごとに集計したもの

 これが今回の集計したデータです。①の表のように各選手の移籍初年の空中戦成功率から移籍前年の空中戦成功率の値を引いた値を出身リーグごとに合計し、符号を反転させたものが②の表の「成功率(計)」の値になっています。「1000min」はその中で移籍前後の2つのチームでそれぞれ1000分以上の出場時間がある選手のみをまとめた、いわば「信頼性のある結果」を合計し、平均をとったものですね。「勝利数」に関しては増加している選手も多かったので、参考までに空中戦の回数についても同じようにまとめたものが「空中戦回数」から右の値になります。
 符号を反転させた理由はリーグごとに「プレミアリーグ比」つまり、プレミアリーグを0としたときに、どれくらいプラス・マイナスがあるかというふうに表を作ってしまった(?)からです。「空中戦成功率」の値の符号がプラスで絶対値が大きくなればなるほど、それだけそのリーグの空中戦がプレミアリーグよりも「容易」ということがいえますし、逆に符号がマイナスで絶対値が大きくなればなるほど、そのリーグの空中戦はプレミアリーグよりも「難しい」ということがいえます。
 「空中戦回数」に関連した値に関しても符号を反転させており、プラスであればプレミアリーグよりもそれだけ空中戦回数が多く、マイナスであればそれだけ空中戦回数が少なくなっているということになります。では説明もそこそこに、それぞれの値を見ていきましょう。

③②の表の見方とそのイメージ

2⃣プレミアリーグの空中戦はやはり…

説明が長くなったので、もう一回②を見ながらその結果を見てみます。

②「勝率の推移」の値などを各リーグごとに集計したもの

 この表の最も重要な値といってもいい「空中戦成功率(勝率)」の平均値を見ると、どのリーグも+の値になっていることが真っ先に目につくかと思います。つまり、このデータを見ると「プレミアリーグよりも空中戦が困難なリーグ」は理論上存在しないことがわかります。今回の仮説「プレミアリーグの空中戦って実際どうなの?」って部分は「やはり空中戦が厳しいリーグである」ということができます。
 では、他のリーグの空中戦のレベルはどうなっているのか、2つ目の仮説の確認をしてみます。②の値をもとに各リーグに「空中戦の厳しさ(困難さ)」の順位をつけてみます。順位は①ブンデスリーガ②ラリーガ③リーグ1④セリエAとなりました。
 長身選手が多く、空中戦やデュエルが激しいイメージのあるブンデスリーガは「0.7・0.8」と非常に0に近い値となっており、プレミアリーグとほとんど同じレベルで空中戦が展開されているといえます。
 そして意外にも2位にランクインしたのが、ラリーガ。選手の技術力が高い一方で「激しさ」には欠けるイメージもありますが、選手のインテリジェンスなどが高いために単純に空中戦にも強い選手が多い、空中戦に定評のある選手が比較的多くプレミアリーグに移籍してきているということがここから考えられます。
 集計をした際にブンデスに次ぐ2位かと思っていましたが、リーグ1が3位。「デュエル」「個」「フィジカル」などのイメージもありますが、サンプル数が最も多く極端に値が低い選手なども多いということ、BIG6などの強豪ではなくプレミアリーグ下位チームに選手が多く移籍していること、などがこの値の副次的要因としては考えられます。
 そして4位はセリエA。まあこれはもっとサンプルを集めても有り得ることかもしれませんが、値が他リーグに比べて格段に高くなっており、サンプル数が最も少ないこと、21-22シーズンプレミアリーグ19位のワトフォードに多く選手が移籍していること(ワトフォードディスのつもりはないです…笑)、などが単純な空中戦のレベルとは別の要因として考えられます。

②「勝率の推移」の値などを各リーグごとに集計したもの

 さて、ここで一応集計した「空中戦回数」の値にも注目してみます。これを見ると、ラリーガやセリエAがプレミアリーグよりも空中戦回数が多く、ブンデスやリーグ1は空中戦回数が少なくなっているといえます。またしてもイメージと反して、ブンデスやリーグ1の空中戦試行数が少なく、ラリーガが多いという結果に疑問をもった自分は、「まさかこれって各リーグで集計した選手のポジションに差異があるからこういう結果になっているんじゃ!?」という仮説を立てました。ということで、ポジション別にも集計を行ったので、その結果についても少し見ていきましょう。

3⃣ポジション別に比較すると、結果は変化

 やはりといっては難ですが、「空中戦成功率(勝率)」の各リーグの順位など結果が異なっているものも多かったの④でその辺を確認します。

③ポジション別空中戦データ【DF】

 ③のように②をDFのみに絞ったデータを見ると、各リーグの「空中戦勝率」のレベルの順位は、全体のサンプルにおける場合、①リーグ1②ラリーガ③ブンデスリーガ④セリエAとなっており、それを1000分以上出場選手のみに限ると(サンプル数はカッコ内の数字)、①ブンデスリーガ②リーグ1③ラリーガ④セリエAとなっており、「全体」・「1000分以上出場」の2つの順位の結果が異なっています。

④ポジション別空中戦データ【MF】

 次にMF。全体のサンプルにおける同順位は①ブンデスリーガ②リーグ1③ラリーガ④セリエAで、1000分以上出場選手のみにおける順位は①ブンデスリーガ②リーグ1③ラリーガ④セリエAとこちらは2つのサンプルサイズにおける順位が同一のものとなっています。

⑤ポジション別空中戦データ【MF/FW】(主にトップ下やWGを主戦場とする選手)

 次にいわゆる「1.5列目の選手」のデータ。全体のサンプルサイズでは①セリエA②ブンデスリーガ③ラリーガ④リーグ1、1000分以上出場にサンプルを絞ると、①ブンデスリーガ②ラリーガ③リーグ1となっていて、セリエAの1000分以上出場選手がいないこと、ブンデスリーガの値が非常に低い一方でリーグ1の値が非常に高いことを考慮すると、この部分が全体の順位に最も影響を与えていると考えられます。

⑥ポジション別空中戦データ【FW】(CF、ストライカー)

 最後はFW。CFやストライカー的役割を主に担う選手をここにいれました。ラリーガのサンプルがないため、全体のサンプルでの順位は①セリエA②リーグ1③ブンデスリーガで、1000分以上の選手のみに場合は①セリエA②リーグ1③ブンデスリーガとなっています。
この分野もサンプル数が少ないかつ、セリエAはルカク&ロナウドと「プレミア復帰組」かつ空中戦の強い2人がサンプルとなっているなど、MF/FWの分野と同じく、選手個人の特徴が大きく異なっているといえます。

 うーんなかなかまとめるのは難しいですが、2つのことが言えるのかなと思います。
 まず、サンプル数が少ないとはいえ、ポジション別にサンプルを絞るとリーグによってはマイナスの値が出ているということです。【DF】ではリーグ1(全体のみ)、【MF】ではブンデスリーガ(全体&1000min.)、【MF/FW】ではセリエA(全体のみ)とブンデスリーガ(全体&1000min.)の要素においてマイナスの値が出ている、つまりその分野やポジションに限っては理論上「プレミアリーグよりレベルが高い」ということです。ただ、選手によってはPL移籍初年に出場機会を大きく減らしており、「信用性のあるデータ」である移籍前後の2つのチームで1000分以上の出場時間がある選手のデータにおいてマイナスの値をもつ要素はブンデスリーガのみであるということにも留意したいです。
 そして2つ目が空中戦のデータはやはりポジションによる影響や移籍前後のチームのスタイルの影響を強く受けていると考えられ、絶対的に「このリーグの選手の空中戦のレベルは低い」という考えは避けなければならないということです。

⑦リーグという要素以外の空中戦勝率推移の要因【チーム,出場時間,コンディション,ポジション】

 例えば⑦に抜粋したリーガ出身の選手でも、ボルダラスヘタフェやシメオネアトレティコというチームによる影響を受けたと考えられるククレジャやクチョ、トリッピアー、ロドリ、その正の影響を受けきれずに怪我やコンディション、出場時間によって値が大きく下がったと考えられるパーティ、ミナ、逆にチームによる負の影響を受けたと考えられるヴァラン、そして新チームではIHのポジションを任されることが増え、空中戦の回数も減り、値も少しだけ上がったロドリゴなど、選手個人の背景にある要因は様々かつ複雑であることがわかります。(他にも「成長」っていう大きな要因を忘れてました…)何に関してもそうですが、1つのデータを基に絶対論的な主張をするのはいけないということっすね。

4⃣まとめ

 「結局結論としては、何にもわかってねーじゃねーか」といわれてしまいそうですが、結構自分で調べてても、「この選手がこんなに値下げているのか!」とか「ここは監督変わったから同一チームでも値を下げているんだな」とか、結構面白かったです。結局自己満やん。
 まあ統計的にわかったこととしては、ブンデスリーガ出身選手は初年度でもプレミアリーグでの空中戦にも順応しやすく、セリエA出身選手は少し苦しむ傾向にあるということなんですかね。いかんせんサンプル数が少なく、サンプルの特徴に違いがあり過ぎるので、何とも言えませんが…
 あとは調べていて、なんだかんだ言って「出場時間」と「空中戦勝率」には負の相関があるのかなと思いました。これは文系の自分にはしんどいので誰か知らべて案件になりますが、やっぱり空中戦は不確定の要素や運要素も高く、空中戦を行えば行うほど値は下がってしまうのかなと。
 その辺のことも、見たいなあって思う人は自分の手塩にかけたexcelファイルを載せといたので、それ使って遊んだり、新発見をしていただけるとありがたいです。「チーム別」のファイルに関しては、移籍前後に成績が残ってない選手でも、移籍初年の成績が残っている選手やプレミアリーグ内で移籍した選手、プレミアから他リーグへ移籍した選手、我らがクリス・ウッドさんのデータなど面白そうなデータ含め集めたので良かったら見てみてください!!では。(データの誤りなどあったら、批判してください(笑))

おまけ:セリエクラスタ、ルカクについて教えて!!

なんで19-20,20-21で監督変わってないのにこんな下がってんの?セリエクラスタ教えて!!


タイトル画像の出典
"aerial duel" by brapps is licensed under CC BY-NC 2.0.

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