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向日葵の笑顔

< 2021.06.20 farther’s days 記念 >

めっちゃif世界なので(初めて書いた位)苦手な人は回れ右ですよ〜サヨナラ〜

ぶんだー爆散の後、加持くんの元に行けた…ことになってるミサトの父の日バナシ。捏造多すぎ。自分でも酷いと思う💧


古い、あり合わせの木材で作られた、切妻屋根の家。
延々と続く耕作地の中に、ポツンと建っているその家は、森のように白樺や桜の大きな木が移植され、日差しが強い季節になっても涼しい風が窓のカーテンを揺らす。
その家に続く農道を、年期の入った軽トラックが、軽快な音を立てて、夕日を背に走ってくる。
その運転手は、自身の好みのターボエンジンに改造し、ブルーに塗装されたその愛車を、納屋の中にある、いつもの定位置に滑り込ませた。
エンジン音が消えると、運転席からは真っ赤なつなぎの作業服を着て、助手席の荷物を手にした彼女が降りてきた。
被っていた麦わら帽子を取ると、縛っていたゴムが取れたのか、長い髪が肩に流れる。

キッチンの窓からその様子を見ていた彼は、弱火にしていた炭火の火力を上げる為に、炭を転がし火吹竹で空気を送り込む。かまどにはポトフが入った鍋がかけられていた。

荷台の荷物を納屋に下ろそうとすると、彼も外に出てきた。

「おかえり、手伝うよ」
「疲れただろ」

彼女を労る彼の声は、いつも優しく、ぬくもりがある。
穏やかで、ゆっくり流れる時間。

恋愛ごっこから恋人…そして今は家族になったのか、ただの同居なのか。

相変わらず「加持」「葛城」と呼び合い、衣食住を共にし、日々の糧に感謝し、季節を肌で感じながら、思うままに触れ合う日々…二人とも誰よりも近くにいる、この関係が居心地が良かった。
そして何より、一緒にいることが必然だと思えた。

そう、葛城ミサトと加持リョウジが長い年月を経て、再び一緒に住み始めてから、一年と少しになる。

加持が、今の家の材料を探して出してきて、それから一緒に家を建てて、彼の夢だった何かを育てる仕事、いわゆる農業を始めた。

昔のジオフロントではないかと思われる場所。あの頃一面広がったスイカ畑を世話していた彼らしく、色々な作物を育てている。夏が続きすぎて多少ずれてはいるが、四季が戻ってきたこの場所で、夏のメインはやはりスイカ。これからはジャガイモ、玉ねぎ、キャベツも控えている。今のところ順調に育っているようで、ここに居を構えて初めての収穫になるはずだ。
ミサトも農作業を張り切って手伝い始めたのだが、タネをひっくり返したり、せっかく植えた苗を雑草と間違えて引っこ抜いたり、足を取られて堆肥の中に落ちたりと、どうやら繊細な作業は苦手らしく、水やりや荷物運びばかりしていた。

そんな中、Euroから短波無線という、昔ながらの通信方法で、連絡が入った。主に物資のことで協力を求める内容だった。

以来、ミサトに殆ど機能していない政府の、手伝いのような仕事が来るようになる。
WILLEの最高責任者として14年間組織を引っ張ってきて、人の上に立つことに疲れ切っていた彼女は、加持との生活が全てで、最初は断った。加持とゆったり作物を育てる生活だけで良かったのだ。
しかし、自分が加持の役に立たないこと、他のクルーと別れて自分だけ幸せな日々を送っていることに、彼女自身は何も悪いことはしていないというのに、良心の呵責を感じた。また、持ち前の正義感も手伝って、結局アドバイザー的な形で協力することになったのだが、何ヶ国語か出来ることと、今までの仕事の経験を買われて気がつけば、つなぎなど着ながら、防衛と農林水産と外務の大臣もどきみたいな立ち位置にいる。

加持も誘われたが、彼は固辞した。その意思は誰にも変えることは出来なかった。
ミサトは、そんな彼の気持ちがよく分かった。彼が、表の顔とは全く違った計画を影の部分でしてきたことは、孤独と苦悩、そして恐怖の連続だったろう。
せめて彼だけでも、好きなことだけをして、のんびりとして欲しかった。

「食べれるって幸せだよなぁ」

加持は収穫された作物を見ると、いつも屈託のない笑顔で同じことを言う。
ここにきた頃は、みんな飢えていた。それでも僅かな食料をみんなで分け合い、協力して生きてきた。

今は人が争うよりも、生きることの方が急務だって分かっている。食べることは生きることであり、アジア圏も第一次産業がメインとなってしまった。
Euroからの通信の後は、アメリカから、オセアニアから、アフリカから…同じような通信が入ってきたことにより、ミサトも忙しくなった。それぞれの地域で特化した分野があるからこそ、協力して生きていくことを…主に世界中と交易することが出来るように動くのが、彼女の仕事となりつつある。

「加持くんこそ、作業おつかれさま」
「あれ、司令は?今日はご飯食べていかなかったんだ」

司令とは、渚カヲルのこと。
加持と一緒に、農作業している美少年。何故か加持とは「リョウちゃん」「司令」と呼び合い、いいおじさんと少年が、気が合うのか仲はとってもいい。

「今日はピアノ教えに行く日だから、公民館に行ったよ」
「そっか」

カヲルは加持との農作業の後は、いつも夕飯を一緒に食べているが、月に何回か、子ども達にピアノを教えていた。今日はその日だったらしい。

そう、カヲルはピアノがとても上手で、家にある古いピアノで美しい旋律を響かせてくれる。レパートリーは無限にあったが、彼が弾く『Jesu,Joy of Man's desiring』は、ここに落ち着くまでの長い日々を癒してくれるようで心地よく、ミサトはとても好きだった。

「それにしても、今日は半日って言ってたのに遅かったな、なんか揉めたのか?」

加持はミサトに水の入ったコップを差し出した。
それを一気に飲み干すと、ミサトはふ〜っとため息をついた。

「うん…揉めたっていうか、難題かな」
「なんかEuroの方まで農作物出荷出来ないか、打ち合わせしてたんだけれど、まだ流通手段が海路だけで、冷蔵技術はなんとかなるけれど、船っていうか戦闘艦にしか見えないもひゅうが型なのも、ちょっち…ね」

「そっか、護衛艦は見た目物騒だよな…」

ついこの間まで、NERVとの戦闘で使われていた、ひゅうが型護衛艦は、今はアジア圏内で物資を運ぶ役割を担っていた。

「うん、空路は今手段がないし…ついこないだまで、飛び回っていたのにな」

ミサトは、AAA Wunderで地球上を飛び回っていたことを思い出す。あの艦は本当によく働いてくれた。最期の最期まで。
機関部の責任者だった高尾がよく言っていた、主機は弐番艦以降より上だと。火力は敵わなかったかもしれないが、本当にいい艦だったと思う。
赤い海は青い海へと戻ってきている、AAA Wunderは失われたが、海の変化の様子を空から見てみたいと、ふとそんな思いに駆られた。

「いつか、また飛べるといいな…葛城の艦長姿、見てみたかったよ」
「艦長はもう十分よ…」

ミサトは苦笑する。大学生時代から軍事訓練は受けてたとはいえ、艦隊運用なんてぶっつけ本番だった。地上戦、航空戦術なら多少は経験はあったが、海戦術は全くの未知数で。あんな任務をよくこなしたものだ、と激しい戦闘を思い出しながら、今の争いのない世界を思うと、自分が随分遠くへ来てしまったような気がした。

AAA Wunderが爆散する寸前、マリにWILLEの槍と共にシンジを任せた。
本当によく戦ってくれたマリ。
シンジは今どこにいるのだろう、幸せでいるだろうか…

「さ、暗くなる前に入ろ、お疲れさん」

未だにあの瞬間、加持が目の前にいたことが信じられなかった。どうしてこの世界に辿り着いたのか分からないままだ。

今この瞬間も夢を見ているだけなのかもしれない。
それでもいい、夢でもずっと醒めずにいてくれれば。

「加持くんこそ、おつかれさま」

ポンと彼女の頭に手を置くと彼はにっこり笑った。

いつも一緒にいるのに、その笑顔にドキっとする。いい歳した自分が、未だに目の前の彼のことを、好きで堪らないと再確認するこんな胸の高鳴りを、彼のふとした愛情表現で、毎日感じてしまう。恥ずかしさと、嬉しさと混じったようなそんな気持ち…こんな幸せを感じた時、いつものように心の中で、自制心が働く。それは、昔のように、自分が幸せになってはいけないと思う気持ちとは違っていたが、どうしても、素直に自分の気持ちを受け入れられなかった。

彼女には、恐らく彼にも、心に残っていることがただ一つだけあったから。

「あ…今日は頂き物多くって…それ持っていってくれる?」

荷台には大根や、ピーマン、にんじんなどがぎっしり入ったカゴが積まれている。玄米の袋も重そうに存在感を示していた。
加持は玄米袋を納屋の収納場所に置き、野菜の入ったカゴを、ヒョイっと持ち上げると、家の中に運んでいった。

彼女は彼を追いかけようとして、思い出したように足を止める。
トラックのドアを開け、助手席に残したままの、それを見つめる。

ミサトは少しだけ迷いながら、手を伸ばした。

***

中に入り、靴を脱ぐといい匂いがする。
加持は毎日料理を作って、ミサトを待っている。
料理が出来ない、というレベルを超えている彼女がキッチン担当になるはずもなく、掃除を含めて彼に任せっぱなしだ。

ただ、以前と違うのは、彼女が休みだったり、時間がある時は一緒に料理を作ること。
殆どの課程を加持が手を掛けてるとはいえ、いつも黒焦げか生焼けか…表現しきれない程に不思議な物体を生み出してきたミサトにとって、美味しそうに出来上がった時は、子どものようにはしゃいで喜んだ。

食卓テーブルには既に皿がセッティングされていて、盛り付けされるのを待っていた。

「先、シャワー浴びてくるだろ」

彼は、料理の仕上げをしていた。レタスをちぎりながらざるに入れ、また、鍋のポトフを、おたまでかき混ぜ、彼女に声をかける。

「うん」

手を洗い終えたミサトは返事をしたものの、その場を動かなかった。彼は不思議そうに彼女のいる方向に目を移した。

「どした…」

俯く彼女に、仕事が大変だったのか、それとも調子が悪いのか…気遣う言葉をかけようとした瞬間、目の前に黄色の花、花、花

「これ…」

ミサトは後ろ手に持っていた花束を、加持の目の前に押し付けるように差し出していた。
視点が合うと、黄色い花は、少し小ぶりな…しかし、お日様に向かってその花びらをすーっと伸ばし、花開いたひまわりだった。
20本程だろうか。無造作に束にして、紐で結ばれている。

「一応…ね」
「今日…父の日だから」
「帰りに、いっぱい咲いている場所があって…お願いして、少し分けてもらってきたの」

加持は、息をのむ。

父親になったのは、随分前のことだ。ミサトが妊娠を自分に告げた時、彼女は戸惑いを隠せないようで、寂しく笑った。
けれど、彼女との間に命を授かったことを聞いた瞬間、彼は手放しで喜んだ。それはニアサードインパクト起こった直後だったにも関わらず、自分を取り巻く状況を忘れる程に、湧き上がる幸福感を抑えきれなかったのだ。

しかし、人類補完計画は加速し、人類存亡の危機は目の前に迫っていた。
すぐに現実に引き戻される。

彼女の方が、そのことをよく分かっていた。多くの命が失われたばかりのあの時、加持との子どもを諦めることを許して欲しいと泣きながら訴えてきたことは、昨日のことのように覚えている。
加持、そして二人の友人である、リツコが説き伏せなければ、新しい命は誕生しなかっただろう。

加持は我が子の顔を見ることもなく、全てミサトに任せて去った。彼女はわずかな人達の協力の元で出産し、周りに自分達のことは伏せられ、結局、彼女自身も育てることはなく他人に任せることとなる。
二人とも、一人の子どもの親でありながら、その義務を果たすことは出来なかった。
そしてそれは、今までも、この先も、会うことは叶わない、それはどうしようもないことだった。

加持は一度だけ、出産のことを聞いた。が、この件についてはその後一度も触れたことはない。
二人の中で、息子のことは話してはいけない、タブーなことだと加持は感じていたのだ。

しかし、目の前には彼が見たことないくらいに、慈愛に満ちた、母親の顔をしたミサトがいた。

「…わたしに、リョウジを授けてくれてありがとう」
「あの子が今ここにいなくても、会えなくても、貴方は父親だわ」

ミサトは、静かに言葉を紡ぐ。

「加持くんがお父さんだなんて…ね」

一度だけ、ミサトは自分のわがままで、いつもちゃんと避妊をしてくれる加持のその行為を嫌がった。子どもが欲しい…というより、ただ加持の全てが欲しかった。誰よりも近くにいたかった。わずか0.01mmの避妊具が自分達を隔てることも、嫌だったのだ。

きっと子どもを授かったのはあの時だ。それ以外考えられなかった。

加持は、もし子どもを育てることが出来たら、溺愛しただろうな、と思う。息子なら一緒に何がしてあげられるのか。決してそんな日は来ないのに、想像するだけで、満たされた気持ちになるのは、目の前に愛する女がいるからなのかもしれない。どちらも失っていたら、きっと記憶から封印していた。

でも、今彼女はここにいる、自分の手の届く場所に。

「俺、見たことないからさ、アイツのこと」

「わたしも出産の時以外は、写真しか見てないけれど…貴方にそっくりよ」

決戦直前、相田くんから送られてきた、第三村でのシンちゃんの報告。
その中の一枚の写真。

シンちゃんの横で、日焼けし、顔にも擦り傷を作り、やんちゃそうににっかりと笑う、加持くんにそっくりな、男の子。
わたしにも似ている…と気がつくまでもなく、その二人の姿を見た瞬間、涙が溢れ堪えるのに必死だった。

誰か教えてもらわなくても分かる。

出産後わずかな時間を過ごして手放した、14歳になったリョウジの姿だった。

「写真…見せてあげたかったな…加持くんに」
「相田くんがシンちゃんと一緒に撮ってくれた写真があって」

でも、今はもうないの、きっとどこを探してもないの…ここに来れるのなら、持ってこれたら良かったのに…ひどく、切なげに笑う彼女。
加持はその細い体を黄色の花束ごと引き寄せる。そのまま、彼女の頭を撫でながら、独り言のように呟いた。

「リョウジ…アイツ、リっちゃんに迷惑かけてないかな」

ふたりの友人であるリツコも、もう会えない。
あんなに一緒にいたのに。別れる直前まで、支えてくれたのに。
加持の腕の中で、彼女の金色の髪と、聡明で美しい顔を思い出すと、心がきゅっと締め付けられる。

でも、きっとリョウジをそっと見守ってくれていると思う。

「…わたし達の子だもの、きっと迷惑かけっぱなしよ」
「散々迷惑かけたもん、わたし達だって」

出会ってからいつだって、近くに、遠くにリツコの存在があったこと、厳しく、優しく向きってくれていたことを、ミサトは追慕し、懐かしく思う。

「葛城…ごめん」
「アイツに会えなくて、辛い思いをさせて」

きっと、会いたいだろう。
加持自身は、あの時の選択は間違ってなかったと思う。
でも、全部背負わせてしまった、彼女に。自分が行くことで。

「いいの、あの子には未来があるもの」
「それに一度は、あの子を恨んだ」

加持の腕の中で彼女は、か細く呟いた。

「恨む?」

「あの日、Wunderで立ち去らなくては行けなかったあの時…」
「加持くんを置き去りなんてしたくなかった」
「ホントは一緒にいたかったの…」
「だから、この子さえいなければって…」

加持の顔が強張る。

あの時のことはよく覚えている。
あわよくば、彼女の元に帰ってきたかった、それは儚い願望だったとしても…
しかし、仮に彼女が身重じゃなかったとしても、一緒に残ることを選択させる気は無かった。でも、罵られても、恨まれても、彼女には絶対に生き残って欲しかったから、何一つ後悔していない。

ミサトも自分が酷いことを言っているのは分かっていた。

でも、加持くんだって自分勝手に行くって言ったのよ、あの時、わたしがどんな気持ちだったか分かる…?

未だにあの時のことを思うと、ミサトは腹立たしく、またやりきれない想いがする。

「バカだなぁ…」

加持はそんなミサトの想いを受けとめるように、柔らかい笑みを浮かべ、彼の可愛い女の顔を覗き込む。

「な、葛城、そんなに俺のこと好きなんだ」
「それに、俺の名前つけるなんてさ」

愛しい女の両頬を彼の大きな手でそっと包み込む。そして口づけが額に、頰に降りてきた。

「…なによ、またそんなこと言って」

顔を朱に染めたミサトは好きに決まってるじゃない、とは言えなかった。でも加持の背中に腕を回してぎゅっと力を込める。

「産んでくれてありがとう」

加持も、ミサトをそっと抱きしめ、再び頭を撫でる、ひどく優しく。

「…でも、加持くんに会わせてあげられなかった」

息子に会えない時間が、忘れるどころか、愛しい想いが募るばかりだったことを、誰にも言えなかった。リツコにさえ。彼女にはそんな自分の気持ちを見透かされていたのかもしれないけれど、世界が深刻な状況に追い込まれていく中、ミサトは心の深い所で、ずっと想っていた。

そして、加持に会わせられなかったのも、心残りだった。
今の幸せでも充分くらいなのに、人間とはなんと欲深いのだろう…そのミサトの想いを知ってか知らずか、彼は慈しむように微笑む。

「いいんだ」

「俺は、葛城さえいてくれればいい」

正直で、容赦ない愛の告白でもある言葉が、彼女を包み込む。

確かに、親子三人で暮らせたら、それ以上に嬉しいことはないはずだ。
でも、自分と彼女が歩いてきた道のりを考えると、今、加持はミサトと一緒にいること自体が奇跡のように感じる。
ミサトも、加持の想いを素直に受け止めた。

「…うん」

「加持くん…ありがと」
「わたしを母親にしてくれて…」

「俺も父親になれて嬉しいよ」

屈託なくにっかり笑う加持の顔に、あの写真のリョウジの顔が重なる。
やっぱり彼の面影を受け継いでくれているのだ。

「花、飾ろうか、ありがとな」
「そだね」

加持はミサトの肩を抱きながら、花束を受け取った。
ミサトが花瓶替わりのワインデカンタを出し、加持が水を入れて生ける。

リョウジのことは、生きている限り、いつまでも二人にとって心に残ることだろう。
触れることも、話すことも出来ない、そう、一緒にはいられない…

でも。

ずっと愛してる。

それは紛れもない二人の想いだった。

食卓テーブルの真ん中にどんと置かれたひまわりは、あの写真のリョウジの笑顔のようにほころび、大輪の花を得意そうに咲かせていた。

まるで二人に笑いかけるように。

fin.

***

〈おまけ〉

「ね…加持くん、あたし汗くさいから…そろそろ」
「じゃ、俺も一緒に風呂入ろっかな」
「加持くんはもう汗流したんでしょ」
「お姫様の汗を流させていただこうかと…」
「結構です」

「何恥ずかしがってんの?」
「だって、いい歳してえっちなこと考えてるでしょ」
「だいたい、お姫様って何よ」
「それに、いつもお風呂一緒に入ったら、汗流すだけじゃ済まないじゃない」

「へーわざわざそーゆーこと言うとは…」
「お姫様はフルコースがお望みですか?」

「ち、違うわよ…ばかっ!」

「本当に違うの?」
「…そ…ゆ…わけじゃない…けれど」

「じゃ、遠慮なくご奉仕させていただきますね」

おしまい。

(なんか最後台無しにした気がする💧)

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