オミクロン変異株による新型コロナウイルス感染症 : ピークアウト後の新規感染者数の減少速度
3月16日および17日の報道によれば、政府は現在18都道府県に適用している「まん延防止等重点措置」を期限の3月21日をもって全面解除する方針を表明した。現在計算の対象としている8つの区域では東京都、愛知県、大阪府、熊本県が該当する。なお、沖縄県と広島県については1月9日に適用が開始され、沖縄県は2月20日に、広島県は3月6日に解除された。また福岡県と鹿児島県は1月27日に適用が開始され3月6日に解除された。そこでこの機会に、3月13日現在の8都府県の新規感染者数の減少傾向を調べてみることにした。
東京都、大阪府など多くの区域では2月5日ごろ削減率約65%でピークアウトしたが、その後67%程度まで上昇したのち次第に低下し、最近では62%ぐらいまで減少している。3月13日の時点で、ワクチンの有効接種率は29.8%、削減率の閾値は60.3%であるので新規感染者数の減少速度は著しく低く、どの都府県も削減率がこの閾値を下回って感染再拡大に至る危険性を孕んでいる。
愛知県は平坦なピークを示しているが、新規感染者数の減少速度は相対的に大きく、ピークから26日で新規感染者数は半減している。一方熊本県は早くピークアウトしたが、2月末に感染が再拡大した。したがって3月13日現在、新規感染者数はピーク時から未だに半減していない。広島県についてはピークアウト後の新規感染者数の減少速度が遅く、3月5日以降現在まで緩やかな感染再拡大の傾向を示している。沖縄県では初期の感染拡大もピークアウトも早かったが、重点措置解除後に小規模な感染再拡大が起こり、新規感染者数の下げ止まりが続いている。福岡県、鹿児島県も新規感染者数の減少傾向は見られるが、その速度は著しく小さい。
今後ワクチンの接種率が上がっていけば接触削減率の閾値も僅かずつではあるが減少する。しかしこの閾値をさらに下回れば感染再拡大につながる。「まん延防止等重点措置」が解除されてもそうならないよう、個々人の感染予防対策はこれまで通り続けていく必要がある。
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