緊急事態宣言が3月7日まで継続されたときの新規感染者数の減少レベルの推定
本年1月8日に発出された緊急事態宣言の期限2月7日がせまる中、まだその効果が十分に得られているとは言えないため、本日1月30日、政府は3月7日まで宣言延長の方針を確定したらしいという報道がなされた。
そこで、最近の東京都の実効再生産数を計算するとともに、今後の新規感染者数の推移について簡単な計算を試みた。
実効再生産数Reの計算は、本日1月30日までの東京都の報告による報告日ベースの新規感染者数を用い、世代時間が指数分布をとると仮定するSIR式とディラックのデルタ関数を仮定するRKI式により行った。
再生産数Reが1に近い場合には、いずれの式で計算してもRe値に大差はない。
緊急事態宣言が発出された1月8日のReは1.2程度であるが、1月12日には約1.5まで増加している。その後はReは減少に転じ、1月18日には0.98と1以下に低下している。さらにその後の本日1月30日に至るまで、緊急事態宣言の効果が徐々に現れ、直近でRe値は約0.75まで減少している。
緊急事態宣言の発出は大方の期待より遥かに遅かったが、現状では何とか感染大爆発に至る寸前で踏み止まったようである。
さて、今後の実効再生産数と新規感染者数の推移であるが、まずは当初の期限2月7日までに政府が宣言解除の目安として公表した新規感染者数500人以下は困難である。
このことと、500人という基準はあまりにも甘すぎるのは自明のことなので、政府ももう少し、おそらく100人程度まで新規感染者数を減らした方が将来において何かと得策であることに気付いたのであろう。
それでは、3月7日まで緊急事態宣言を継続した場合の新規感染者数の推移について計算してみることにした。実効再生産数は現状Re = 0.75を挟んで、Re = 0.7とRe = 0.8、最悪Re = 0.9とした。
SIR式に基づく計算結果を先のグラフの下半分に示す。Re = 0.7~0.8を今後も維持できれば、2月9日〜14日に新規感染者数は500人未満となる。Re = 0.9だと3月1日までかかる。
新規感染者数が100人未満を目標にすれば、Re = 0.9では5月16日までかかるが、Re = 0.8なら3月24日、Re = 0.75なら3月14日、Re = 0.7なら3月7日となる。
Re = 0.7を維持できれば、宣言解除予定日に新規感染者数は100名以下の2桁が達成される。ただし、応答遅れが考えられるので、上記の日付より10日〜2週間ほど長くかかるかも知れない。
いずれにせよ、以上の計算は現状をあと1ヶ月程度がんばって維持すれば新規感染者数を100~200人程度まで減らすことができることを示唆している。
とにかく、あと1ヶ月辛抱しましょう!
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