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31.A Gift From IWAKI いわきからの贈り物(8)

大工さんが来ない!なぜ?どうして??

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館長(右)に我々いわきチームの意向を厳しく伝える呉さん

■2010. 06.09

今日は、廃船の組立ても終わり大工さんがセラミックを乗せるステージを制作する日である。私たちいわきチームは、その進行状態を管理し間違わないようにすれば良いので、昨日までの廃船組立て作業とは違って久しぶりに気楽な気分で美術館に向かう。

朝一番に昨日の夕方我々が貼ったステージの高さと幅を示す紙テープを蔡さんがチェックし、大工さんの作業が始まる手順になっている。美術館へは午前8時半に到着するが、午前9時まで待っても9時半まで待っても蔡さんが来ない。

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館長の奥さん(左端)に連れられて来た
大学生ボランティア

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武美君(左)の指導でステージを作る


蔡さんを待っている間に館長が現場へやって来て、今日と明日は大学生10人が来て手伝ってくれるという。大学生の男子3名、女子7名が館長の奥さんに連れられてやって来る。菅野さんの指導で一緒に作業前の朝の体操をする。昨日、美術館の女性スタッフが「大工は何人必要ですか?」と2回も聞きに来たのだが、どうして大工さんも来ないのか気になり始まる。

午前11時過ぎ、ようやく蔡さんが現れる。まずテープの高さと幅をチェックしセラミックを載せる為のステージ寸法のOKがでる。さて、いざ作業にかかろうと思うが、大工さんがまだ来ない。蔡さんが館長と話をしていると突然「志賀さん、彼らは全然何をしたらよいかわかっていないですよ」と言う。私は唖然とする。

結局大工さんは来ないようだ。

どうして来ないのかはわからない。我々だけでやるしかない。いわきチームの作業リーダーの武美君が、昨日まで船の組立てに携わっていたフランス人のスタッフに木材の切断や取り付けの方法を一つ一つ指示して作業を進め、船の内側のステージ4分の1を作り上げた。武美君の手際はかなりいい。今有る材料と限られた機材でどうやったら上手く作り上げるかを判断し適切に決めていく。信頼できるリーダーだ。

始まったのが遅く、専門の大工でないフランス人スタッフに教えながらの作業なので、なかなか思うように進まない。そのうえまだまだ仕事が残っているというのに、フランス人スタッフの一人は午後5時過ぎにはサッと帰ってしまう。残りの3人も午後5時半近くになると「では帰ります」と我々を残して帰ってしまう。「明日はどうなってしまうのだろう」と悩まずにはいられない。

我々いわきチームの考えを美術館側へ伝える役目をしてくれている蔡さんの奥さん・呉さんに「明日大工の技術を持っている作業者を5人準備してほしい」と強く頼んでくれるよう話す。呉さんは館長に強く要望すると言ってくれた。

ステージの組み立ての手順が伝わっていないし、必要な機材や材料の準備がされていない。なぜなのか原因がわからない。前の日に美術館のスタッフが「大工は何人必要ですか?」「パネルは何枚必要ですか?」とわざわざ聞きに来たのに大工は来ないし、要望している必要最小限度の材料も揃わない。私たちの担当した廃船の組立て作業はスムーズに終わったのに、次の段階はゴタゴタ続きである。呉さんに明日の手配を任せて我々はホテルに戻ることにする。

夕食後、真木さん・小野君・武美君が買い物に行った際、蔡さん・呉さん達と偶然出会った話を聞く。呉さんの話では館長から、「いつも来るスタッフ以外に2名の大工を作業に来させるとの約束を取り付けた」という。

しかし、それを聞いても私はうのみにはできず、もし大工さんが来ない時はどうしたらよいかを考え始める。「いわきチームだけでも明日中にステージ作りを終わらせよう」と心に決める。オープニングは明後日11日の夕方。最悪、明日と明後日の日中を合わせると2日近くある。絶対大丈夫だと自分を納得させて眠りについた。

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