うつむく

まんぷく書房の庭で
ヒヤシンスと共に見頃なのは
クリスマスローズ達

ニュアンスカラーというのだろうか
どの種類も抑えられた色味で
皆うつむいて咲く

地味ではなくシック
あまり花屋では見かけないが
他の花とブーケにしても
単体で花卉に生けても映える
香りがないところがまた渋く

かわいい顔を長い前髪で隠しがちな
シャイな子供を思わせる

出来の悪い子程かわいいともよく言うが
このいつもうつむいて
姿をわざとかくしてしまうような
要領の悪さが愛しく
古い葉をカットして顔を見えやすくしたり
世話を焼いてしまう
人の後ろに隠れてしまう子を前に押し出すように

まんぷく書房の庭に春がやって来た

今日の一冊
『デイリーガイダンス』ドリーンバーチュー

店主はスピリチュアリストではない
だが引き寄せてしまう日がある
生きている事に前向きになれなかった日
偶然手元にやってきた
花には天使や妖精が宿ると
かの世界ではまことしやかに伝えられていて
だから花は病んだ人の心を慰めるのだと言われる

だとしたら本にも天使や妖精が宿っていて
本人があえて求めていなくても
すっと心の隙間に入り込む様な言葉を
必要としている人のところへ
届けているのではないかと
店主は推理している