『ナチュラル』熱量高め楽曲解説-4-
ここからアルバム解説も後半戦!
アルバムの大事な核になる楽曲の回がやってきました。
書くのは書けるけど、今回はちょっと公開ボタンが重い。
まあ、やっていきましょう。
▼いかんせん前回の記事はこちら
今回解説&ご紹介するのは4曲目「Overfeed」です。
原曲はもう歌しか聞こえない!
編曲は平茸氏、作詞はわたくしManoです。
YouTube Official Artist Channel(OAC)にて全編視聴可能です。
どうぞ!
できれば上記の音源を再生しながら、夕方以降の暗くなってきた時間帯にお付き合いください。
*編曲・サウンドについて
ここまで激しい曲が続いたので、Houseくらいまで一気にBPMとテンションを落としてアルバムの空気をガラっと変える役割になっています。
加えてサウンドもかなり現代ポップス寄りに。
前作EP「綺麗」や、東方ダンマクカグラに収録していただいた「Painting The Lips Red」など、ダンスミュージック路線のポップスアレンジも好きだし時々やってきた我々でございます。
ライブだとバンド編成のセトリに寄っちゃうんですけどね。
アルバムの中で一番最初に形になった楽曲で、2023年3月には歌詞ができてヴォーカルレコーディングまで終わっていました。
初の試みとしてREC配信もやりました。リモートディレクションを入れながら、3時間42分の過去最長記録。(1曲のRECはだいたい1〜2時間程度)
リリースは2024年5月なので、チルなポップスを懐で1年以上温めながら、表向きはゴリゴリロックなライブをやっていたということですね。
胸に秘めた刃物みたいな優しいポップスをやりたいってずっと考えてた。
ほら、刺すと刃が引っ込むマジック用のやつ。
真剣すぎて取っつきにくく感じるかもしれないけど、怪我なんかさせたくなくて、笑って欲しいだけです。
*
「WCM.はなぜJ-POPにこだわるのか?」
その答えは、J-POPほど人間らしい音楽はないと思っているからです。
あともちろん好きだから!
民謡、演歌、歌謡曲から形を変え異文化を次々に取り込みながら、商業主義と創造主義がひしめき合う最前線で歪にも見えるくらい先鋭化したジャンル。
10年前の最先端がゴミになる世界で10年以上残る「本物」も、淘汰されていった「偽物」も、どちらも音楽の歴史には必要です。
東方アレンジという閉じた音楽界の中でも、J-POPの血脈は色んなところで感じます。FELT、森羅万象、フーリンキャットマーク、少女理論観測所、紺碧studio、さん。等。名前出しちゃって問題なかったかな。いいか。
上記のサークルさんたちが全員J-POPをウリにしているわけではないと思いますが、勝手にシンパシー感じてます。FELT、また会いたいな。
現在、東方アレンジの主流がデジタルJ-POPなのは間違いないし、自分も10代の頃めちゃくちゃ聴いてました。
独特の高揚感があって原曲との親和性が高いのも納得です。カレーにはライスが合うよね、ってくらい腑に落ちる。
カレーライスは美味しいんだから当然デジタルJ-POPも格好いい。以上。
ただやっぱり、J-POPは知れば知るほど広くて深くて面白いです。
何かの型に収まった方が分かりやすく選びやすいんだろうけど、まだまだ収まりたくない。
まったく単純じゃないものを単純に見せなきゃいけない、本当にめんどくさいジャンル!
辛ラーメンにカレーかけてみたいし、スープカレーもナンも美味しい。
カレーライスだけの世界なんてつまらない。
ポップスを血反吐はいて必死にやってる奴がここにもいるよってことを、とにかく伝えたくて。
何に、誰に、っていうのはわかんないけど。偉大な先人に?
ロックは音楽活動のルーツなので当然やるけど、時々「本当に商業的なのはロックの方なんじゃないか?」と思う。
あまりにもDIYすぎて、そうしないと業界を生き残れなかった、という見方もできる。
こっちもこっちでめんどくさいジャンルですね。
要するにめんどくさいのが好きなんです。
*歌詞について
音楽をやる理由や目的は人それぞれだけど、私たちにとっては「生きるために必要だから」です。
お腹が空いたら食事をしたり、疲れ果てたら眠ったり、そういう行為。
大袈裟じゃなく、ないと死ぬんです。
原曲「もう歌しか聞こえない」は、歌で人を狂わせる程度の能力を持つミスティア・ローレライのテーマ曲です。
特に蒼-aoi-さんは歌に狂わされた人間なので、ほぼほぼ自分たちのことを歌詞に書いて歌うだけでそのキャラクター性を表現できると思いました。
歌で狂わされた人の歌。
歌や音楽の研鑽って本当に一進一退の繰り返しで、コツをつかんだと思ったら次の週にはてんでダメだったり、前できたことが急にできなくなったりします。それでも続けることで何とかちょっとずつ前に進める。
いつか華やかな大舞台に立つことを夢見てはいるけど、背伸びしてなんとか届く程度じゃまだ足りない。きっともっと続けなきゃならない。
そしてそのためには、トレンドが個人的に気に入ろうが気に入らなかろうが追いかけなきゃならない。
こだわりを捨てるか、プライドを守るか。選択肢のようで選択肢じゃない、その決断はまだできない。意地が成長の邪魔をする。
だからね!
もう麻痺させてよくわかんなくして欲しいわけですよ。
そしたら辛くても、意味がなくても、救いがなくても続けられる。
趣味の一環として力抜いて楽しもうよなんて、そんな適量はとっくに超えて後戻りできない場所まで気づいたら来てしまった。
歌は毒だとわかっていても、喉が渇いて求めてしまう。
さあ、世界中にこの不謹慎な悪癖をさらけ出そう。
スウィングするリズム、揺れる心。傷つけられた言葉が呪いになって「音楽なんてやめろ」と今も耳元で囁いてくる。
それなのに、何の為に歌ってるんだろう?
時々、ふっと、わからなくなる。
*
結論、最初に書いたように理由も目的もきっと何もないんだと思います。
小鳥が餌をついばんだり必死に羽をはためかせるのに理由も目的もない。
強いて言えば、生きるために何も考えずにやってる。
そうして、ただ生きるために何度も同じ食事(歌)を繰り返す。
もう歌しか聞こえなくなっちゃっても。
*最後に
今回の記事で気になりましたら、是非BOOTHからCDをご購入ください!
歌詞カードやディスクなど隅々まで楽しんでもらえるよう、ぎっちり詰め込んであります。
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ほなまた!