
小説(SS) 「美と伝導」@毎週ショートショートnote #最後のマスカラ
お題// 最後のマスカラ
四光年ほど離れた星に不時着したトゥッラは、砂に覆われた大地を進む中で、遺跡とおぼしき集石群を発見した。すでに風化が大きく進んではいたが、様々なデータを照合した結果、古くは家屋であったらしいことが判明した。
地面をスキャンすると、砂の下に石室が埋まっているようだった。砂の層は浅く、少し掘り進めたら金属質のレバーと扉が見つかった。引き上げると、地下へと続く階段が現れた。
階段を下りた先の部屋には、風化を逃れた「本」があった。それは植物性繊維による「紙」で作られており、その名称は「本」を読解することで判明した。
そしてトゥッラは、棚を見つけた。棚の中には、「マスカラ」と呼ばれる、美を追求した文明が愛用した品があった。
美しさとはなにか。トゥッラは「本」を読み解き「マスカラ」を手にとった。
美への意識が、覚醒した瞬間だった。
これが、アンドロイド史における「女性」の誕生神話であり、のちの「性別」意識へとつながった。
〈了〉410字
*
一週を空けての投稿になりました。
とても久々に、410字でまとめてみました〜。
「最後の」がつくお題なら、なにかの「最初」に
つなげたいなと思いまして、
男性→女性みたいなアダムとイヴではなく、
美から発して女性→男性みたいな、人間とは異なる性別認識の創世神話にしてみました。
久々にSFです。ギャグ要素が微塵もないです。
ではではまた〜。
↓↓ 前回 ↓↓