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tate60
イイダコのおうどん
遠い昔、バスガイドをしていた。
その間、いろいろな場所に行き、楽しい思い出もしんどかった思い出もいろいろ出来た。
一人前になってお客様をご案内する前に、「研修」という過程がある。
一台のバスに同期達と乗り込み、実際に現地に行って先生から路線経路や
案内事物を教えて頂く。
うっかりお昼ご飯の後にバスの揺れに眠くなり、うとうとしてしまうと
主任さんからピコピコハンマーでコツン!と注意されたり。
今となってはどれも楽しい思い出になっている。
四国は香川の栗林公園に研修に行った際、現地を実際歩いて回って
途中の茶屋のような場所で、先生がとてもおいしいと言われる
イイダコの入ったうどんを食べる事になった。
もともと麺類は大好物。
讃岐はうどんが名物。
絶対美味しい、間違いない、と思ってワクワク楽しみにしていた。
出てきたおうどんには、イイダコの他にわかめやかまぼこものっている。
これは美味しいはず。
まずは麺から食べたと思う。
そのうち、麺の上にちょこん、としているイイダコに目が行った。
過去、こんなにイイダコをまじまじと見た事はなかった。
そもそも、イイダコを食べた事がなかった気がする。
麺の上にちょこんとしているイイダコの顔が、私の方を向いていた。
その顔はとても苦しそうにみえた。
可愛い足のくるくるも熱くて丸まったと思うと、なんだかあまりに申し訳なくなって、食べるのが忍びなくなってしまった。
まさにひよこまんじゅうが可愛すぎて食べれなくなってしまう感覚。
イイダコも可愛すぎた。
とはいえ、残さずペロッと食べちゃいましたが。
栗林公園がどんな場所だったか、何があったか、すべて忘却の彼方になっているのだけど、あのイイダコのおうどんだけは忘れていない。
またいつか、食べに行きたいと思っている。
苦しそうだったイイダコくん
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