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この世は悪意に満ちている、と気づいたきっかけ

トランプ大統領が当選した。
私はパートナーと2人、ほっとしながら、この話で大いにもりあがった。

翌日職場に行くと、シフトが一緒だった同僚2人は、このニュースについてあまりピンときていない様子だった。

気持ちはわからなくはない。
私自身、この世界にはどんな力が働いていて、どんな仕組みのもとに私たちが生きているのかということに、ハッキリと気づきがもたらされ、そこから数珠繋ぎのように自分で調べたり学んだりし始めたのは、ほんの4年ほど前だ。

でもそれ以降は、この世は悪意に満ちている、その上で「君たちはどういきるのか」(まさにあの映画のように)と言う視点にガラリと変わってしまった。

「この世は悪意に満ちている」という前提で生きるだなんて、文章にするとなんとも悲しいけれど、実際には「やっぱりそうだったのか」と、幼いながらに感じてきた‘世界の違和感’に対して腑に落ちる感覚があった。

事実を知って初めて、「どう生きようか」と考えるのは、まるで違った世界が広がるものだ。


私も昔は、この世には ‘真に’ 悪い人なんていないし、犯罪だって、戦争だって、本当は人と人が分かり合う道はあるんだと思っていた。

その考えを180度改めるきっかけとなったのは4年前に観た、たった1本の映画だ。

緊急事態宣言という非日常にさらされて日の浅い4月のある日、自宅でアマゾンプライムで「トゥルーコスト」というファストファッションの真実についてのドキュメンタリー映画を視聴した。


洋服に限らず、チョコレートのカカオやコーヒーなど、「フェアトレード」という言葉があるくらいなので、「フェアではないトレード」が行われていることはうっすらとわかってはいたけれど、恥ずかしながらその事実についてきちんと学んだことがなかった。

一体世の中はどんな仕組みによって、一方が得をするような関係がつくりあげられていき、どんな仕組みによって事態を悪化させているのか、ということをその映画によってはじめて学んだ。

つづいて、アメリカの鶏肉の生産の話や、お菓子に使われているパーム油の栽培に関する映画など、ドキュメンタリーを続けて視聴した。
それらはほとんど同じ仕組みで成り立っていて、一部の富を得ようとする人々によって、労働力を搾取される側の人たちは、一度その仕組みに組み込まれると、抜け出せないような、意図的な搾取があった。

その中で私のそれまでのお花畑な脳みそが、天地をひっくり返すような衝撃をもたらしたのは、前述の「トゥルーコスト」に出てきた、1人のアメリカ人女性だ。

彼女は、ベトナムやバングラディシュの縫製工場に仕事を依頼する側の人間だった。Tシャツ一枚をたったの4円という値段で依頼する。

彼女はインタビューで
「私たちは雇用を生み出しているんだ」と主張し、劣悪な労働環境や報酬に対して、1ミリも悪びれる様子はなかった。人間の心というものをそこには感じることができず、人を人と思っていないように感じられた。

私には、その画面越しに映る彼女の受け応える様子が、とにかく衝撃的だった。

彼女が話している姿、声のトーン、オーラなどをみて、「この世には真に悪い人がいるのか」と感じたのだ。

百聞は一見にしかず

画面越しの彼女との出会いによって、私の世界は真実を映し出すようになった。



ふと外をみれば世界中でコロナのパンデミック騒ぎ。
けれど、どこか冷静に、真実を見つめる目で常に判断し生きてこられたのは、ある意味でその映画のおかげだったかもしれない。



今回の大統領選に対するピンときていない反応も、
コロナ騒ぎにどう煽られていたかも、
宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を観て「よくわからなかった」という感想も、

最近はその人が「世の中をどう見ているのか」がわかってしまう話題があまりにも多い。
まるで「踏み絵」のように。

自分の好きな友人や家族や知り合いとの会話で
残念に思ってしまうこともいくつもあったし、今もある。
真実を知ってほしい。そう思ってしまうシーンがたくさんある。

相手の信じてきたものを底からひっくり返してしまうかもしれないことを、この世の真実を、自分が知っている情報を、どうやって伝えようか。

富を司る「地」の時代から
情報を司る「風」の時代へ変わる今
そんなことを考えている。


沙紬


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