
【神川モノガタリ#3】釣りの魅力を再発見|矢納フィッシングパーク
約20年前、まちの活性化を目的に開業した「矢納フィッシングパーク」。かつては脇の道が車でいっぱいになるほど、多くの釣り客で賑わっていたこの場所は、2023年4月にマルキユー株式会社が運営を引き継ぎ、リニューアルオープンしました。現在は神川町と包括的連携協定を結び、地域と共に新たな賑わいを創出しています。今回は、矢納フィッシングパークを運営するマルキユー株式会社の沢田さんに、その魅力と課題について伺いました。

神川の自然を存分に堪能できる、釣り体験
──矢納フィッシングパークでは、どのような体験ができますか?
マルキユー株式会社 沢田さん:
「矢納フィッシングパークでは、主にニジマス釣りを楽しむことができます。釣った魚はその場で焼いて食べることができ、子どもたちは焼き上がりを待つ間に川でサワガニを捕まえたり、栗拾いや銀杏拾いをしながら神川の自然を存分に堪能することもできますよ」
──魚を焼く際のポイントはありますか?
「魚を焼く際にはコツがあり、串に刺して縦に焼くと余分な脂が落ちて美味しく仕上がるんです。水分が多いニジマスだからこそ、焼き方一つで味が変わるんですよ。さらに、マシュマロ焼きや金魚釣り、BBQなども楽しめるため、家族連れにとって都市部の喧騒から少し距離を置き、自然と触れ合う絶好のスポットとなっています」

──利用者はどのような層が多いのですか?
「利用者は、家族連れがおよそ8割ほどで、小学生の子ども連れが一番多いですね。なかにはおじいちゃんと孫という組み合わせもあります。釣りは、保育園などに通う小さな子どもからお年寄りまで、幅広い年代に楽しんでもらえるので、「孫と一緒にアウトドアを楽しめる場」としても利用してもらえています」
地域との繋がりが運営を支えている
──地元の方々の協力も大きいのでしょうか?
「運営を支えているのは地元の人々です。大雨や猛暑の際も、近所のスタッフが迅速に対応するなど、地域密着の運営が根底にあります。しかし、経営の安定には課題も多く、特に夏場は水温が上がりやすく、ニジマスにとって過酷な環境となります。2024年の猛暑でも、多くの魚が死んでしまい、一時休業を余儀なくされました」

──集客にはどのような工夫を?
「また、集客にも苦労があります。ゴールデンウィークやお盆には多くの人が訪れますが、それ以外の時期は閑散としがちです。ここを目指して来てもらうためには、存在価値をどう伝えていくかが重要だと考えています」
釣りを通じた教育と自然体験
──矢納フィッシングパークの最大の魅力を教えてください。
「矢納フィッシングパークの最大の特徴は、釣りを通じた自然教育です。子どもたちにとって、生きた魚を触る体験は貴重です。普段から食べている魚ですが、実際に触ってみると体は冷たく、ぬるぬるしている。生き物に触れることで、自然の厳しさや命の大切さを感じてもらえます。また、自分で釣った魚が調理される過程を見て、実際に食べることまでが一連の学びとなります」

──今後の展望を教えてください。
「今後は、神川町内の小学校や保育園の遠足先としての活用も期待しています。また、町外からの集客を増やすため、施設の改修も検討中です。自然をそのまま残しつつ、快適さも追求していきたいです」
神川町の魅力を再発見
──最後に、神川町の魅力について教えてください。
「地元の方々にとって周囲の自然は日常の一部であり、その価値を見落としがちですが、神川町は、山も川もダムもあり、自然に溢れた貴重な場所です。「ここに来れば、自然の素晴らしさや厳しさを感じられる」そんな場にしていきたいです」
取材後記
釣り体験を通じて、神川町の豊かな自然を五感で味わうことができる矢納フィッシングパーク。訪れる人々にとっては、ただ魚を釣るだけでなく、自然のたのしさや、厳しさを体感することができる場所になっています。
終始、釣りの魅力を心底たのしそうに語る沢田さんの姿が印象的でした。「孫と一緒に自然で遊べる場所」で老若男女問わず、自然の素晴らしさと食のありがたみを体験してみてはいかがでしょうか。
店舗情報
〒367-0313 埼玉県児玉郡神川町矢納475
営業時間:3月中旬~12月上旬 9:00~16:00(受付は15:00まで)
定休日:火、水、木曜日
店舗URL:https://yanou.wakuwakufield.jp/