食べるために大事に育てる
新得の森の中に、ヨークシャーファームという小さなホテルがあります。
北海道の大自然を生かしたすてきな建物で、炭埋で土地の力を上手に利用しているそうです。
建物の向こうは広大な牧草地が広がっていて、可愛い羊たちがのんびりと草を食べていました。
長靴をはいて、群れの中まで入って行くことができました。
おしりなのに顔みたいな笑
かわいいですね!!
動物って本当によく人間を観察してるなと思うのですが、人が近づいていくとメ〜とあちこちで鳴いて、群れ全体で出来事を共有してるのがわかります。
雨の合間で、牧草地はしっとりして、静かでした。
普通、草むらは虫がいっぱいいるものですが、天気のせいなのか、虫は1匹もおらず、フワフワの花と草がとても上品で静謐な雰囲気を出していて、絵本の中みたいでした。
草原の向こうには、佐幌川という川が流れていました。
本当にきれいな水。
ここもまた、古い時代はきっとアイヌの民にとって生命の営みに欠かせない大切な場所だったのではないかという気がしました。
ここはきっと、命に必要なものがじゅうぶんにめぐまれる場所だと思います。
そしてここの羊たちはおいしい牧草を食べ、そしてこの川の水を飲んで生きています。
人間に管理されているけど、限りなく自由に生きているように見えました。
神話の時代から、人は農耕と牧羊を行なってきました。
いただく命だからこそ、大切に育てる。
現代は利益追求に走るあまり、牛や豚や鳥を牢獄のような環境で増殖させることがありますが、それは生命をただの肉としてしか見ていない愚かで無知な行為だと思います。
古代の人々は、収穫を祝う祭事を行なってきましたが、それは必ずしも呪術的な意味合いだけではなく、原点である生命のつながりと自然への感謝の気持ちを忘れないためだったと思います。
北海道の大きな空間は、羊だけでなく、樹もゆたかに自由に大きく育てているように見えます。
しっとりした涼しい空気の中で佇む新得の大木は、東京の街路樹とは、ぜんぜん違いました。
ヨークシャーファームではこの自家産の羊を食べることができます。
この晩は、羊のステーキを出してもらいました。
本当に本当に、おいしかったです!!
羊の臭みが、ゼロでした、まったく無い。
本来の羊肉とは、牛とも豚とも鳥ともちがう、淡白でいてしっかりとしたとてもおいしい肉なんだということを初めて知りました。
羊の臭みは、羊のストレスが発してるんじゃないかと思うくらい、ここの羊はのびのびと暮らしていて、だからこんなにおいしいのかなあと思いました。
このホテルは部屋ごとにユニットバスがついてるのですが、シャワーがまたものすごく気持ちよかったです。
やはりほんとに水のきれいなところなんだと思いました。水の力がとてもあるところです。
ヨークシャーファームの方とも少しお話ししたのですが、本当に良いものは、やはり素直な人が真面目に作っているものだと、その人柄から伝わってくるような気がしました。
そしてそこに共通して必ず存在するのは「安心感」です。
安心感とは、生命にとって最も大切なことなのだと、わたしは最近確信を持って思うようになりました。
安心感は、派手でも目立つものでもなく、とてもさりげないものです。
そのさりげなくも繊細な周波数こそが、生命にとって最も力を持つのだと、わたしは思います。
そしてこれからの未来は、そういう力を使っていく時代にしたいと思っています。
おまけの牧羊犬。とても賢くてかわいいです。
やはり犬は人類の大切な友人ですね。