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神の湯

甲府にお気に入りの温泉旅館があります。

「神の湯温泉」という旅館です。

市内の高台に位置する穏やかな雰囲気の建物で、派手さは無いけれども昭和の佇まいを残す温泉施設です。

この旅館はおもしろい歴史があります。

今から約50年程前の春のこと。

とある神社の神職を務めておられた方が、この付近を散策していると、とても強い霊感を何度も感じたそうです。

これはただ事ではないと思ったその方が真剣に神様に問いかけたところ、大山祇命が降りてきて、

「この地に二つと無い非常に質の良い温泉が湧き出るであろう」

と教えてくれたのだそうです。

さっそくそれをこの付近一帯を所有していた地主の方に伝えると、地主の方は信心深い性格だったのでしょうか、嘘とも誠もわからないその言霊を真摯に受けとめられて、本当に温泉採掘を開始しました。

ちなみに当時の学者からは、

「この場所に温泉が出るはずはない」

と言われたのにも関わらず、あきらめることなく採掘を続けた結果、まさに神の言葉通り、40度ジャストという超適温の温泉が怒涛の勢いで噴き出しました。

そんなミラクル中のミラクル、霊験あらたかすぎる神秘のお湯をお風呂にしているのが、この「神の湯温泉」です。

さて大山祇命といえば、木花咲耶姫と磐長姫の父神であり、富士山を始めとする日本の山々の総守護神でもあります。

そういえばずっと前に、大山祇命と磐長姫が個人的ムーブメントになったことがあり、その勢いで瀬戸内海の大山祇神社を弾丸訪問したことを思い出しました。

その帰りに島のおっちゃんと仲良くなって、島で採れたイノシシと島で釣れたイカをもらって「大山祇命から海の幸と山の幸をもらった!!」と1人盛り上がったりしたことがありました。

さらに思い出したのが、以前富士山に登ったとき、なぜか山小屋の主人が一般の人は入れない隠し部屋みたいなところに案内してくれて、なんだかゴチャゴチャの部屋でしたが小さな祭壇がありました。

「ここの神様を拝んだ人は、絶対に山で事故に遭わないよ」

そこに祀られていたのがたしか大山祇命でした。

旅館を予約したときにはまったく気づいてなかったのですが、こうして振り返ってみると数年越しに大山祇命のご加護が働いたのか、わたしはやっと無事に富士山に登頂することができて、そのあとわざわざ甲府まで足を伸ばして大山祇命と縁の深い霊湯に入るという一連の流れには、さすがに不思議なものを感じました。

部屋からは、昨日までいた富士山が見えました。

あんな高いところにいたなんて・・・

信じられないような、笑っちゃうようなおもしろい気持ちでした。

さてわたしは笑ってましたが本当は笑ってる場合じゃなく、人生最悪の筋肉痛に襲われていました。

股関節からつま先まで尋常じゃない筋肉痛が炸裂してて、あまりの痛みに95歳くらいのおじいちゃんみたいな歩き方になっていました。

ソロリソロリと、能の舞台のごとき幽玄な動きしかできません。

富士山やはりとんでもない山だったなと思いつつ、それでも神の湯は疲れた身体にとても気持ちが良かったです。

お風呂には打たせ湯とか泡風呂とか露天とかそれぞれ7つの温泉があって、いろんなバリエーションが楽しめます。

そもそも神の湯温泉のある甲府盆地は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレートという4つのプレートが集中している特殊な地層です。

2000万年前に海水が浸入して(フォッサマグナ=大地裂帯)海底火山が大きく活動したあとに地形が変化して、堆積物と岩盤の中に温泉が作られました。

それが神の湯温泉というわけなのですが、泉質としてはアルカリ性ナトリウムで、飲むこともできます。

まあとにかく、エネルギーにみちあふれた生命のお湯です。

旅館の入り口には、神の湯にふさわしいそれはそれは大きな神棚がありました。

神社からは久しく遠ざかっていた自分も、この日は心から感謝の気持ちをこめて手を合わせてきました。

ありがとうありがとう。

めでたしめでたし。

みなさんも山梨に旅行の際はぜひ神の湯温泉に泊まってみてくださいね。

〜おまけの富士登山ミニアドバイス〜

いまがシーズンの富士山ですが、もしも登ろうとするならこれを読んでもらえるとうれしい。もちろんこれだけじゃだめなんですけどそのなかでもわたしがこれは絶対と思ったものを書きます。

富士山はふつうの登山とまったく違うので、装備と準備は万全にしよう!!とりあえずネットで調べたうえで以下参考にしてください。

※登山靴・・・できれば必ず用意したほうがいいです、特に下山時は砂礫に足を取られて捻挫する可能性がある(最悪ヘリを呼ぶはめになります)ので足首までカバーしている登山靴を推奨です。スニーカーでも行けなくはないですが靴底の防御力が高い靴にしないとギザギザ溶岩で破壊されます。うちの夫は過去二回ともスニーカーで行けたから今回も行けるだろう余裕をこいた結果、下山時に両足共かかとが半分無くなってました。バカ野郎です。息子はナイキで助かりました。夫はアシックスでした。アシックスは悪くないです。悪いのは夫です。靴めっちゃ大事。

※ストック・・・無いとまじでしぬ。登山者の9割が装備している登山用杖。両手分2本あるとベスト。ベストというかマスト。無いと足腰に負担がかかりすぎて本当にしぬ。特に下山時はバランスを取るために必須。いちおう持って行かなくても金剛杖が現地で買えますが、ストックのほうがいいに決まってる。

※レインウェア・・・たのむから持って行ってください。夏でも山頂は冬の気温です。雨雲に囲まれると濡れますが、そのまま凍ったら自分の命ごとすべてが終わります。コンビニとかで売ってるやつは意味ないです。ゼビオとかに売ってるやつだぞ。基本はTシャツでオーケーですが、上に着るフリースとか、ジャージとか、脱ぎ着が簡単にできる服装。

※ヘッドライト・・・問答無用の必須アイテム。ガタガタ言うんじゃない。山に行く=ヘッドライトと言っても過言ではない。太陽があるうちに行って帰って来れるとは限らない。山の闇は冗談抜きで死と隣り合わせなんで、安いのでいいから、そんだけで命助かるから、100円ショップのLEDライトでも無いよりまし、お願いします。電池も持つんだ。

※手袋・・・防水がいいけど無いなら軍手でもいいです。岩が鋭いので素手は危ない。

※帽子と日焼け止め・・・顔と腕と首。いいからぬっとけ。日本でいちばん紫外線が強い世界ということを忘れるな。わたしは塗ったつもりが塗ってなかったのか、いやたしかに塗ったのにおかしいな、もう疲れすぎて記憶が飛んでますが無事根性焼きが入りました。帽子も大半の登山者がかぶってました。サングラスも必要と思ったら持ってきましょう。

※行動食と飲み物・・・チョコやナッツなど高カロリーなものと、塩分とれるもの。飲み物も重たくても1リットルはあったほうがいいです。富士山でもお茶とか買えるけど地上の3倍の値段です。

※現金・・・富士山のトイレはすべて有料です。だいたい200円。お札より小銭のほうが使います。

・・・以上です!!まあだいたいそんなかんじです、基本は「富士登山持ちもの」とかで検索してください。山リュックとかね、全部揃えるとかなりの金額になります。

むしろ最低限これだけの金額かけられないなら登るべきじゃないのが富士山という山なので、安い登山したいなら高尾山とかにしときましょう。

いまは15000円くらいで全装備レンタルもあるようなので、上手に組み合わせてみてくださいね。(ある程度仲良しの人なら靴以外はわたしのアイテム貸せますのでお気軽にどうぞ)

あとうちは酸素入りの水とかO2カプセルとか飲んで高山病防止してました。その前にわたしがスーパースロースピードの登りだったんで高山病にはならなくてすんだかもしれません。

準備って厄落としみたいだなあって山に行くときいつも思ってました。

使わないに越したことはないけど、万一のために持っておく意識が安全な登山につながってる気がします。

あと天気は要チェックです。

特に富士山は天気が変わりやすく、雷雲に囲まれたりすると即死魔法乱れ打ちのなか歩くことになるので、山小屋の人の言うことを聞いて安全に避難してくださいね。

そんなわけで富士山は終わりです、長々とお付き合いありがとうございました!!

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