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整理は電圧、整頓は電流

Netflixで近藤麻理恵さんというお片づけメソッドの第一人者が、アメリカのいろいろな家庭を整理整頓でサポートするという番組があったので観てみました。

わたしも元々は整理整頓は苦手ですが、整理整頓は大事ということをここ数年でかなり感じるようになりました。

風水なんかで散々言われてますが、整理整頓がしぬほど嫌いだった自分がなんとか実践して体験した正直な感想として「整理整頓するとなんとなく物事が上手くいきやすい=運が上がる」的な方程式は正しい気がします。

とはいえ先天的に整理整頓のセンスが欠けている自分は、自己流でやっても上手くいくわけがないので、こうしてたまにはプロのアドバイスを見たほうがいいと思い、Netflixのおすすめにあがってきた彼女の番組を見ることにしました。

博士がよく「農業でも何でも、一流の人間ほど良いものをすぐ取り入れる。天才は自分のやり方を簡単に変えられるから一流なのだ」と言ってました。

センスの無い自分が考えるよりプロを真似した方が早いに決まってるわけで、わたしも「近藤先生、よろしくお願いします!!」と心で画面に正座しながら真剣に観ました。

とても良かったです。

各家庭には様々な問題がありますが、多くはコミュニケーションに原因があることが多いです。

問題の本質と向き合わずに「家が散らかっているからやる気が出ない」「散らかっているのは家族が手伝ってくれないからだ」「自分だってやる気はあるけど(夫の場合は仕事が)(妻の場合は子育てが)忙しくてそれどころではない」と何となく互いのせいにしてるうちに、家族間に亀裂が入ります。

そういうのやめて、協力して片付けよう!!と手を動かしていくうちに、いつしか「なぜこの人と結婚したのか」というお互いが忘れていた愛情の根源にたどり着く過程と整理整頓が見事に重なり、最後はきれいさっぱりした家の中で新しく感謝が芽生え、家族再生につながる、という流れになっていました。

近藤麻理恵さんは家族の話を聞いた上で、問題に触れるわけでもなく、笑顔で整理整頓のメソッドを的確に指示していきます。

一番良かったのは、整理整頓の前に、

「まずは目を閉じて、みんなでこの家に感謝しましょう、いつも家族を守ってくれているこの家にありがとうという思いを込めて心で感謝の気持ちを伝えてください」

と言って、リビングに正座して目を閉じて、やさしく床をなでながらじっと祈っているシーンです。

アメリカ人夫婦は最初こそ戸惑ったものの、実際にやってみたら、奥さんの目から涙があふれていました。

わたしも感動しました。

そうだよね、家って、わたしたちを守ってくれているんだよね。

家の中でどんな大ゲンカが起きようが、雨風や日差しから家族を守り、トイレやお風呂も完備して、電気もつかえる。

物質の神性とは、人間がどのような状態でも一切の差別なくその性質を献身的に差し出してくれていることにあるように思います。

その意識の原点に戻ることで、整理整頓への向き合い方が変わるわけです。

「物に感謝する」という素直な感覚に心をリセットすると、不思議なことに整理整頓にとても前向きな気持ちで取り組めるようになります。

あとは簡単です。

たとえば衣類なら、クローゼットの中のものをすべて、とにかく一枚残らずすべて出します。

いきなり全部?と思いきや、こうすることで自分がいまどれだけの物を持っているかを正確に知ることができます。

奥さんが「わたしってこんなに服を持っていたのね、つい足りないと思いがちだったけど、いまは、世界には服を持ってない人だっているのにとか、こんなに服を持っていることに対してなんだか申し訳ない気持ちがしてきた」と言ってました。

自分がいま何をどれだけ所有しているかをきちんと把握し、その上で、断捨離していきます。

近藤麻理恵さんは物を取捨選択する際の基準として

「ときめきを感じるかどうか」

を決断のポイントにするようにと言ってました。

心がときめくとは、共鳴のことだと思います。

もったいないという罪悪感をまずは一旦脇に置いて、自分にとって本当に必要かどうかを心に聞く作業です。

天才ほど、一流ほど、無駄なことはしません。

無駄を徹底的に省いていくほど、自分の純度が高まっていくし、その周波数が「自分にとって本当に良いもの、本当に必要なもの」との出会いにつながるとわたしは思います。

だから一時的には物を処分することは大事です、もったいないとか、申し訳ないと思う気持ちは、これからは無駄な買い物はしない、という意識に変換すればよいのだと思います。

物を捨てるときは感謝しましょう、と近藤麻理恵さんが言っていて、本当にそれが大切だと思います、出したものがかえるだから、どんなこととも感謝してお別れすることはのちのち自分のために必ずなるからです。

自分の心がときめくものだけ残ったら、いよいよ片付け開始です。

服のたたみ方は、肩の部分を持って両袖と両みごろを折ったら、まず半分に折って、さらに三等分折り、そうすると服はコンパクトながらもふわっと自立します。

その状態で立てて並べてタンスにしまうと、引き出しをあけたときに一目瞭然で洋服を選べます。

ジーパンもシャツも基本的に同じで、それだけで自然とカラになったタンスのどこに何をしまえばわかりやすいのか、自分で決められるようになります。

わたしは実際にこの手順通りやって、この段階で相当整理整頓にのめり込んで楽しくやれました。

プロに習うっていいな!!と思いました。プロに習うこと自体が無駄を省く行為です。

お手本はよく見る、よく見て実践する、これも法則です。

今回はさっそく息子のタンスをやりました。

途中息子が帰ってきたのですが、わたしが機嫌よく片付けてるのを見て、彼も自分から手伝ってくれました。

親がイライラしながら片付けてるのを見たら、子どもの心は遠ざかります。

でも親が興味を持って好奇心を持って夢中でやってたら、子どもは自然と寄ってきます。

息子に無理にやらせるのではなく、こうするといいんだって!!とわたしがおもしろく伝えると、彼も興味深そうにへえ〜と聞いていました。

いつか彼が一人で暮らすときに思い出してくれたらいいなと思います。

自分が持っているものに意識を向けることは、原因に目を向けるのと同じことだと思いました。

心ときめくものだけをきれいに片付けてある、タンスのスペースの余力もわかるから、そこに違和感のあるものをわざわざ持って来ようとは思いません。

片付いてる気持ちの良い状態を知ってるから、片付けも楽しくなり、家のトラブルを家族の誰かのせいにせず、全員が協力し、またそうして家のことを率先してやってくれるお互いの姿勢に新たな信頼と尊敬と愛情が芽生え、その積み重ねこそが夫婦を「かけがえのない相手」として練磨していくのだと思います。

またこれから何かを買うときには、本当に良いものを買おうと自然と選ぶ力が身につきます。

そのサイクルが広がると、世の中の無駄も減ることになります。

本当に良いものを作ろうとしている人のところにお金が流れて、よい循環になるわけです。

各家庭の整理整頓が、家庭の平和だけでなく、経済の健全化につながる。

やはり整理整頓は、とてもすばらしい中和作用なのだと思います。

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