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最初で最後

私には、2歳年上の恋人がいる。つい最近交際を始めた、私にとって人生初の恋人。今日はそんな話を書き留めておく。

これまでの私は、まともに恋愛をしてこなかった。実らない恋ばかりだった。ある時はクラスの人気者、ある時は腰パンがトレードマークのチャラ男、ある時は何もかもが地味すぎる青年。好きだった人の友人に罵られたり、友人あるいはクラスメイトと好きな人が被ったり、人伝いで恋愛への無関心をぶつけられたり。我ながら、散々な恋愛だった。結局自分が譲歩したり、罵倒に怯んだりしていたから、半分自己責任のようなものだけど。

だからこそ、恋愛を避けるようになったのかもしれない。恋愛をしてもろくなことがない。私に興味を持つ人なんて、この世界のどこを探してもいないだろう。そう思い込んでいるところもあった。こうして言葉にしてみると、こんなにも自己肯定感が低いんだと自らびっくりしてしまう。自分のことくらいちゃんと知っておきなさいよ、というツッコミが槍の如く鋭く飛んできそうだ。


そんな私が恋人と出会ったのは、アプリだった。マッチングアプリの要素と農園ゲームの要素を組み合わせた、なんとも不思議なアプリ。私はそのアプリの農園ゲームを目当てに使っていたので、マッチングアプリの機能を使うつもりはこれっぽっちもなかった。

農園ゲームを進めていくうちにマッチングアプリの機能が忙しなく動くようになって、渋々使ってみたのがはじまり。そこでマッチングしたちょっと怖そうな人と、なぜか意気投合することになる。地元が近いということで、地元話に花が咲いたのだ。ヤンキーっぽい見た目とは裏腹に、その人から滲み出る誠実さと優しさ。そのギャップに惹かれたからか、実際に会うことへの抵抗はこれっぽっちもなかった。

待ち合わせ場所にいたのは、ゲームで使っていたアバターとは比べものにならないくらい、穏やかな顔の青年だった。背が高いという理由で、初対面の人には怖がられるらしい。そう言って、彼は苦笑いを浮かべた。私は不思議とそんなことを感じなかったけど。

初対面はランチをするだけ。今までどうして出会わなかったんだろうと思ってしまうくらい話が弾んで、つい話し込んでしまった。まだ出会って数分の赤の他人と。その後、何度か会った末に交際を申し込まれた。正直恋愛を避けて生きてきた私にとって、会って1ヶ月ほどしか経っていない他人とお付き合いをするなんて正気の沙汰じゃないと思っていたけど、結局その申し入れを受け入れることにした。理由は単純。直感だった。

恋人の言いなりに従って、恋人の意思に流されているのかもしれない。自分の意思を自分の口で話せていないのかもしれない。そんなネガティブなことを思っているうちに、交際を始めてから1ヶ月あまりが経った。恋愛に対して腰が引けていた私だけど、恋人から有り余るほどの愛情を注いでもらって、なんとかなっている。私の長所はそのままに、短所は少しでも改善されるように。そして、恋人と対等でいられるように。私からも恋人に深く温かい愛を届けていきたい。

これが、最初で最後のまともな恋愛になるのだろうか。私の恋愛は今のところ続いていきそうだ。

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