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こんなところに居たのかやっと見つけたよ
クリープを知って2年以上の月日がたった。まだ、にわかもにわか。しかし、クリープを初めて知ったときの衝撃は、いまこんなにクリープを好きでいるとは思えないくらい、些細なものだった。でもそれが深くガラスペンに染み込むインクのように染み込んでいった。友達がカラオケで歌った「エロ」。タイトルばかりに目が向いて、肝心の歌詞、声には気にも留めなかった。だけど、友達とカラオケに行く度に、それがどんどん染み込んでいく。ティッシュが使い物にならないくらい染み込んだときの感情はまさに、「こんなところに居たのかやっと見つけたよ」という言葉とほぼ同意だということに今気づいた。
ままごと 一つになれないなら、せめて二つだけでいようこれは以前のアルバムのタイトルから引っ張り出してきたものだ。それに重なるように、このまま そのまま 二人でいよう という言葉から始まる。この歌詞は自分自身が感じている、独特の日常の些細なものに対する表現が巧妙に出されている。幼少期によく言われる 「ちゃんとやってる?」「いつも言ってるでしょ」こんな些細な会話を歌詞に組み込むことで、歌詞の裏側、奥の方を掴みたくなる。
人と人と人と人 一日、日が昇って、頂上に着いて、また落ちる。その時間経過に対する人々の感じる感情と歌詞がリンクする、共感する。誰もいて欲しくないのに、一人になると誰か隣にいて欲しい。そんな矛盾した感情。
青梅 実が熟す。夏が終わるにつれて。夏のせいで人と出会い、勘違いして、別れる。全て夏のせいにすればいいのに
生レバ 生は危険だ。でも危険なものに引きつけられるのが人間だ。生は楽だ。楽なものに引きつけられるのが人間だ。生レバとダフ屋、一見交わりがなさそうな物だが、上の二点と共通していると思う。生レバとダフ屋に引きつけられるとき、出てくる感情がサビの部分だと思う。何を言っているかわからない、でもなんとなくだめなのがわかる。
I 人は誰かと重なり、別れ、傷つく。できた傷を穴をまた、他の愛で塞ぐ。でも突貫工事で塞いだだけでは、自分の愛は完全に塞ぐことはできない。君がいい。君じゃないとだめだ。やっぱりそばには黄身じゃないとだめだな。
インタビュー 人は天才に憧れる。だから人は失敗を隠す、努力も隠す。そうやってできた「てんさい」。月日がたってバラエティ番組で、あのときの「てんさい」があのとき実はなんて言って、隠していたことを話す。今俯瞰してみると昔の自分では思わなかったことがよく話せる。自分もそんなことが話せるようになりたい
べつに有名人でもないのに 有名人だから、有名人じゃないからとか関係ない、今起きている現象が大切なんだと気づかせてくれる。そんな些細な所に目を向けてくれるのが好きだ。
星にでも願ってろ 好きな人を幸せを願っていたい、でも好きな人が誰かと一緒にいるのは嫌だ。そんな相反した言葉を友達に、無論本人に伝えることは叶わない、できない。だから星に願うのだ。星にしか頼りがいないから。その言葉を聞いた星はきっとこう返すだろう。「dmrks」と。
dmrks dmrksというネット用語、バカと言った方がバカというような言葉があるように、この言葉もブーメランのようになっているような気がする。相手に向けて放っていると思ったら自分に帰ってくる。この言葉を使っている時点で、もうどうしようもないゴミだ。
喉仏 口はなんでもできる。歌詞でもあるような、口は災いの元と呼ばれるぐらい、他人を害することもできるし、他人を愛させ、動かすこともできる。喉の仏が動けば。
本屋の 本を開くとき、指に染み付く些細な感覚。匂い。それを感じる度に、新たな知識や発想が頭の中を走っていく。こんな本を読むときのルーティンも歌詞にできるのだから、驚かされる。
センチメンタルママ 自分がコロナになったとき、この歌詞のような感情になった。母を4年前になくしているため、母を頼れない。体が重くて、節々がちぎれるぐらい痛い。特に、喉仏が傷口に梅干しをつけたぐらい痛い。そんな凄惨な記憶を思い出させるような曲だった。もちろん苦しい。でもあのときの記憶があるから、今の自分に自信がつく。あのときと比べて今の自分は大丈夫だから。
もうおしまいだよさようなら もうおしまいといわれても、諦めがつかない。終わって欲しくない。そんなときに、きっぱりおわりと言われるより、少し希望を含ませて言われると案外諦めがつく。そんなことを言われたい。
あと5秒 「あと5秒」この言葉を見ると、嫌悪感を抱く。あと5秒という、一瞬の時間なのに、とても長く感じる。5秒あったら何ができるだろうか。広告が出てて来るときに感じる「あと5秒」ならなんでもできる気がする。
天の声 この曲が、このアルバム全てを書き出していると思う。昔だけをみて今を見てくれない人。そんな人にも向けて、歌っている。自分は一人でライブに行っているから、「君は一人だけど、俺も一人だよ」という全国ツアーのタイトルをみたときはとても励まされた。「こんなところに居たのかやっと見つけたよ」この言葉と同じような気持ちを感じたときをこれからも忘れずにいたい。踊り場から愛を込めながら。