あまり知られていない平均の話
今回のテーマは平均を取り上げます.
データが手に入ったとき,まず最初に調べると言っても過言ではないでしょう.平均は『テストの点数の平均』『日本人の平均年収』など馴染み深いものだと思います.一方であまり知られていない(学校では教わらない)『平均』もあります.以下でより詳しく説明していきたいと思います.
平均は足して割るだけではない!?
平均と言えば「すべての数を足して,個数で割った値」という理解をお持ちかと思われます.一般的にはその理解で十分ですし,改めて説明する必要もないでしょう.では以下の例での「平均」はどうでしょうか?
地点Aから地点Bまでの距離は100キロメートルあります.地点Aから地点Bまでは時速50キロメートルで移動し,地点Bから地点Aへ戻るときには時速100キロメートルで移動しました.このときの「速度の平均」を求めてください.
もし『時速75キロメートル』と考えた人がいれば,心の中で手を挙げてください.そうでない人はおそらく正解です.ここら辺を読み飛ばしてもOKです.
正解は『時速67キロメートル』になります.「そんなわけないよ!」「平均って足して割ればいいんでしょ?」という人は次から気をつけましょう.
ではなぜ「時速75キロメートル」ではないのでしょうか.それは
「速さは割合であり,割合の平均は足して割る方法では求められない(出た答えは間違っている)」
からです.ちょっと難しくなってきましたね.順を追って説明しますが,なぜ時速75キロメートルでないのかモヤモヤしているかもしれないので,そこからまず片付けましょう.
間違っていることを示すことは簡単で,もし時速75キロメートルが正解だとしましょう.移動した時間は往復3時間ですので,移動距離は3×75=225キロメートルになります.おかしいことになりますね.
話を戻して,まず「速さは割合」という意味について解説していきます.割合というのは~%ということですね.例えば,あるクラスの男子生徒の割合は60%などといった具合です.これは「男子の人数÷クラスの人数」を計算しているだけです.速さも「距離÷時間」をしているので割合という風な考え方ができます.
次に「割合の平均は足して割る方法では求められない」ということですが,上の例で移動距離が225キロメートルになっているので求められないことは分かっていただけたかと思います.
ではどうやって求めるかというと,素直に「移動距離÷移動時間」でも求めることができます.つまり,200キロメートル÷3時間≒時速67キロメートルです.
ここからは数学用語を出しますが,足して割るというシンプルな平均を「算術平均」とよび,今回のような割合の平均を「調和平均」とよびます.ほかにも~平均というものがありますので,興味がある人は調べてみてください.
意外と長くなってしまいました,次は分散(データのばらつき)について説明していきます.
最後までお読みいただきありがとうございました.