GERA看板のピン
GERAという配信アプリで
まんじゅう大帝国の落語良いとこ1度はおいで
という、落語の紹介や落研での思い出等々、僕らと落語周りの話を中心にする配信をやっています。
29日(金)更新分で看板のピンという噺、この噺との思い出をお喋りしました。
以下、粗筋説明がてら実演したものです。音だとあんまり分からなかった、とか、たまたま今度5~6分で落語をやらないといけないんだよね!という人へ向けて。
↓↓
江戸時代の博打のお話でございまして、
当時の博打というと、仲間内で集まって
つぼ皿というお椀のような入れ物にサイコロをひとつ入れて、つぼ皿をふせる、見えない中のサイコロはどの目でしょうか?という“ちょぼいち”なんて言うのをよくやっていたそうでございます。
若いのが集まって博打やってる所に親分なんて呼ばれるおじいさんが小言を言いに来る、なんてこともあったようで
男1「いやいや、親分今日んとこは勘弁してくださいよ、ね、見てくださいよこいつら、ね。勝った奴は銭持って遊び行っちまう、ここにいるのは負けた奴ばっかりなんですよ。やるなってつづかない。胴を取るヤツがいないんですから。あ、そうだ、折角ですから親分、親分が胴を取って親になってもらえませんかね?」
親分「何をいっておる。私は訳あって42の時に博打からは足を洗ったんだ。」
男1「そこをなんとかねぇ、お願いしますよ。1回で良いんでね。終わったらスッと帰りますんで。なぁ、お前から言えよ」
男達「親分お願いします。お願いします×4」
親分「分かった分かった。じゃあ1度だけ胴を取ってやろう。サイコロとつぼ皿は、お、これか。これを持つのも20年ぶりだなぁ。さ、ふせるぞ。よっ。さあ、張りな。」
男1「はあ、見事なもんだ形になるねぇ。昔相当やってたんだよ、、、ってあれ?おい見てみろよ。歳は取りたくねぇもんだな、つぼ皿の脇にサイコロがピンの目、1出して転がってるよ。あの、親分、これ、張ってもよろしいんですか?」
親分「何をいっておる。張りな」
男1「張っちゃおうか?ね?いいんだいいんだ。じゃあ親分これ、ピンでお願いします。」
親分「おお、ピンか、そこのお前は?」
男達「私もこれ、ピンでお願いします。俺もピン、俺もピン、ピン、ピン」
親分「おぉ、被ってきたな。こうなると面白い。だがしかし、勝負はつぼ皿の中、開けてみるまで分からない。」
男達の中のひとり「それがもう分かるんですよ」
男1「余計なことを言うな。親分、全員決まりました。」
親分「そうか、張りが決まったか。張りがきまったとなると、この看板のピンはこっちへしまって、」
男1「ん?看板?親分!どういうことですか!」
親分「騒ぐな騒ぐな。言ったであろう。勝負はつぼ皿の中、開けてみるまで分からない。因みに俺の睨んだ所じゃ、中の目は、ぐ、5だな。勝負。ぐ、だ。」
男1「はぁーー、ぐ、だー。全部取られちまったぁー」
親分「泣くな泣くなみっともない。いいよ。張った分取んな。お前らからこんな銭取ったって何の自慢にもならねぇ、取んな。いいか、博打の世界にはな、こういうことする奴が何人もいるんだ。これに懲りて博打は辞めな、分かったな?」
ありがとうございます、分かりました、辞めますーと、全員が全員なれば良かったのですが
男2「あれ良い手だなぁ、二回は使えないけど1回は出来るよ。俺もどっかでやって銭返さない一儲けしてやろう。半公のとこならまだやってんだろ。
おーい、半公ー、博打やってるかー、博打ー、やってるー?」
半公「うるさいよ、お前は。親孝行な事してる訳じゃないんだよ。静かにしろ、入れ入れ」
男2「博打、やってんな?」
半公「うんそうだよ。お前も博打しに来たんだろ?」
男2「(咳払い)何を言っておる、私は訳あって42の時に博打からは足を洗ったんだ。」
半公「お前今23だろ?何言ってんの?」
男2「何?俺に胴を取ってもらいたい?」
半公「言ってねぇよ。言ってないけど、やりたきゃやれよ」
男2「じゃあ1度だけだぞ。つぼ皿とサイコロ。おぉ、これを持つのも20年ぶりだなぁ!」
半公「、、、はいそうですか、はやくしろ」
男2「さ、ふせるぞ。えい、やー、さぁ張りな!」
半公「いちいちうるせぇな、こいつは。チッ、おい見てみろよ。つぼ皿の脇にサイコロがピンの目出して転がってやがるよ。おい、ちゃんとふせろよ」
男2「フフッ、ちゃんとふせた。張れ!」
半公「、、、張っていいのか?」
男2「構わないから張れ」
半公「、、、張っちゃおうか?な、俺これピンに張るよ。」
男達「俺もピン、俺もピン、ピン、ピン、ピン」
男2「張りが決まったようだな。張りが決まった所で、この看板のピンはこっちへしまって、」
半公「、、、ん?看板?このやろう!騙しやがったな!おい、どういうつもりだ!」
男2「騒ぐな騒ぐな、言ったであろう、勝負はつぼ皿の中、開けてみるまで分からない!」
半公「言ってなかったよ!」
男2「因みに俺の睨んだ所じゃ、中の目は、ぐ。5だな。勝負!(開ける)あぁ!中もピンだぁ、」
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