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2024夏ダイプリの旅③

 済州島&静岡

 北海道を離れたダイヤモンド・プリンセスは、日本海のほぼ中央部を南西に向かって二日間に渡って航行し、昨年と同じ、済州島南部の西帰浦市にある江汀クルーズ港に入港しました。終日航海日には船内で洗濯をしたりデッキを散歩したりして過ごしますが、二日も続くと退屈します。でも、船内で知り合った人たちの中には、終日航海日の多いツアーを選ぶという人もいました。そんな人は、寄港地に着いても下船せずに船内で過ごしたりするそうです。船旅そのものが好きなんですね。まあ、船内は快適だし、飲み食いだって無料で(もちろん無料ではありませんが、基本料金に含まれていて、船内でいちいち支払う必要はありません。)好きな時に出来ますから。様々なイベントやショーもあるし。

 この日の済州島はあいにくの曇天で、火山島である済州島の象徴である、韓国最高峰の漢拏山(はるらさん)もほとんど雲に隠れていました。済州島では、今回のツアーで唯一、寄港地ツアーを申し込んでありました。「城山日出峰」(そんさんいるちゅるぽん)に登るツアーです。済州島を代表する観光名所である「城山日出峰」は、漢拏山とともに世界自然遺産に登録されている、海底噴火によって形成された海辺の小さな火山です。美しい日の出や夕日が見られる名所であるとともに、噴火口の内側が広大な草原になっている絶景でも有名で、私も写真では何度も見たことがありました。

漢拏山は雲のなか

 海抜は180メートルしかないそうですが、とても急峻で、頂上まで続く急な階段を休み休み上りながら、やっとの思いで頂上に着きました。残念ながら、登山中もガスの中で、景色はほとんど見ることができませんでした。見たかった火口もガスの間からチラッと見ただけ。でも、ガイドによると、夏のこの時期は晴れていると暑すぎて、とても頂上まで登れない可能性があったそうです。ものは考えようですね。とにかく、頂上までは行ったんですから。

これから登ります
山頂です
噴火口内部。何も見えない
やっと降りてきました

 「城山日出峰」からの帰りに、「城邑(そんうぷ)民俗村」に寄りました。現在も人が住んでいるという、済州島の茅葺きの伝統的な住居が大量に保存されている村でした。ボランティア・ガイドの女性の説明によると、火山島である済州島の人々は食料と水の確保にとても苦労したそうです。この民俗村では、そんな済州島での生活の苦労をしのぶことができました。面白かったのはトイレ。もちろん野外。トイレで豚を飼っていて、豚のエサは人糞だったそうです。下の写真で、ガイドさんが立っている岩がトイレ。細いスキマがあります。棒を持っているのは、男性がウンチをする際におちんちんを豚に囓られないようにするためだそうです。本当かな。

「チャングム」でなじみの光景
雨水瓶の中にカエルを一匹入れておくそうです
以前は本物の豚がいたトイレ

 バスで江汀クルーズ港に戻った時に、ひとつの出会いがありました。ダイヤモンド・プリンセスに半日遅れて、中国初の大型クルーズ客船「愛達魔都号」(Adora Magic City)が入港していて、ダイヤモンド・プリンセスよりも多い、3000人以上の乗船客が次々と列をなして降りてきていたのです。船から入国管理事務所までは遠くて、何度も動く歩道を乗り換えて歩く必要があるんですが、船に帰る私たちとすれ違う、ほとんどが中国人だと思える大集団はとても迫力がありました。実をいうと、私はもう十年以上も中国語を習っていて、未だに初級段階なんですが、こんなせっかくの機会に一言も中国語が口から出てこなかったという事に、私の中国語がちっとも進歩しない理由がわかったような気がしました。積極的に使わないと身につかないという事ですね。なお、「愛達魔都号」は、済州島の後は、たぶん、日本の長崎か福岡を訪れることになるんでしょう。それが人気のコースだそうです。出港&帰港地は上海。私たちも、いつか上海に船で行きたいものですが、行けるかな。

愛達魔都号

 済州島から九州・四国沖を終日航行して、横浜港を出てから、ほとんど日本を一周したころ、やっと、清水港が近づいてきました。富士山が見えてきました。前回の航海で、やはり船から見た鹿児島の開聞岳の優美な姿に感動したことを覚えていますが、やはり富士山は別格ですね。思いがけない高さに山頂がある。しかも、なんという神々しいまでの美しさ。清水港で楽しみにしていたのは富士山を見ることだったので、これで目的は達したようなものでした。

 清水港で下船した私たちは、タクシーで静岡市に向かいました。(清水港も今では静岡市ですが。)あまり冷房の効いていない車で30分以上走ってようやく浅間神社に着きました。ここ浅間神社と駿府城を見物するというのが旅行前からの家内の希望でした。今川氏の人質時代に家康がここで元服したという由緒のある浅間神社はさすがに立派な神社でしたが、修復工事中で、さほど見るものはありませんでした。とにかく暑い。北海道が懐かしくなる暑さでした。ここから駿府城まで歩くのは辛い。まずは腹ごしらえ。でも、付近に海鮮丼を食べさせてくれそうな店はなくて、結局、入ったのは老舗風の蕎麦屋さんでした。ここで少し元気を回復。なんとか駿府城まで歩きましたが、とても城内に入る気力はなく、城の前でみつけたカフェに入って、ようやく息をつきました。この気持ちのいい洒落たカフェでゆっくり休憩してから、私たちはJRの静岡駅まで歩き、そこから清水に戻りました。清水駅からはタクシーで船に。あまりの酷暑で、もう歩く気力は無くなっていました。

正式名称は静岡浅間神社
たまたま入った蕎麦屋さん
駿府城

 旅行から帰ってから、驚くべき事実を知りました。私たちが入ったカフェは単なるカフェではなくて、「静岡市歴史博物館」のカフェであって、しかも、この「静岡市歴史博物館」はあのSANAAの設計だと言うのです。SANAAは建築ファンなら誰でも知っている、妹島和代さんと西沢立衛さんの建築ユニットで、建築界のノーベル賞、プリツカー賞を受賞しています。(代表作は、「金沢21世紀美術館」など。)なんということでしょうね。これも、事前の調査を何もしていなかったからでした。反省。でも、旅は偶然が面白い。失敗だって楽しまなければ。

静岡市歴史博物館

 駿府城は徳川家康の隠居城でした。大阪の人間として、私は秀吉びいきで家康嫌いでしたが、昨年の大河ドラマの家康は悪くなかったですね。今回は駿府城見物を諦めましたが、珍しいものを見つけたので写真を撮っておきました。後で調べると、大河ドラマを記念して製作された家康の金箔甲冑プラモデルのモニュメントだそうです。なんでも、プラモデルは静岡市の地場産業で、国内で生産されるプラモデルの80パーセントは静岡産なのだとか。

 今回は、清水港周辺の散策はできず、海鮮丼も食べられませんでしたが、清水駅でみつけた看板が印象に残ったので、写真をとっておきました。清水はちびまる子ちゃんの街だったんですね。次に来ることがあったら、もうすこし清水の街を歩こう。というわけで、長かった今回の旅も終わり。明日は横浜港へ帰港です。


 

 
 
 

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