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サウナーマスク
祝福である。微睡む意識の中、そんなことだけは明晰に感ぜられた。忌まわしき空風が春の色を纏い産毛を撫でたかと思えば、指先にてワルツを奏でる。耳と成りし全身で木々の、空の、この地の調べを聴くのだ。瞼の裏を耀きで染め上げる太陽。全てが私に微笑みかけている様子が視える。意識は身体へと還元され、全ては繋がる。誰のものでもない。ただひとつ、烈しく脈打つ左胸の核を除いては。その核よりこの美しき世界は生成される。まるで魔法のように。この事実に、私でない全てが祝福を与える。
祝福である。微睡む意識の中、そんなことだけは明晰に感ぜられた。忌まわしき空風が春の色を纏い産毛を撫でたかと思えば、指先にてワルツを奏でる。耳と成りし全身で木々の、空の、この地の調べを聴くのだ。瞼の裏を耀きで染め上げる太陽。全てが私に微笑みかけている様子が視える。意識は身体へと還元され、全ては繋がる。誰のものでもない。ただひとつ、烈しく脈打つ左胸の核を除いては。その核よりこの美しき世界は生成される。まるで魔法のように。この事実に、私でない全てが祝福を与える。