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『セクシー田中さん』事件と中居正広性加害事件の類似点と処分の乖離について

 『セクシー田中さん』事件中居正広性加害事件は、共に相手の同意無き凶行であり、“魂の殺人”とも言える重大な人権侵害で、巨大メディアも絡んで常態化しているのではないかという点でも酷似している。

 ただ、フジテレビの関与が疑われている中居正広性加害事件は、中居正広という誰もが知るお茶の間の人気者が加害者であるのに対して、日本テレビの『セクシー田中さん』事件は、漫画家の芦原妃名子先生・出版社の編集者とドラマの脚本家・テレビ局のプロデューサーという我々が普段馴染みのない方々が当事者なので、世間の注目度と影響力にどうしても差が出てきてしまう

 また、誰の身にでも起こり得る“性加害”とクリエイター周辺でしかまず起こりえない“著作者人格権の侵害”という事件の内容でも世間の注目度感情移入の程度に違いが出てくる。

 世間の注目度のより高い中居正広の事件では、加害者の中居正広は芸能界引退、相次ぐスポンサーのCM出稿停止も手伝って、フジテレビの社長と会長は引責辞任フジテレビ副会長が務めていた日本民間放送連盟(民放連)の会長職を辞任
 さらに、日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会の設置も決定した。

 一方の『セクシー田中さん』事件では、日本テレビと小学館が、日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会を設置するのではなく忖度そんたく懸念けねんがある利害関係を有する顧問弁護士を入れた調査委員会による調査報告書を両社それぞれ公表して沈黙
日本テレビ調査報告書 ※2024年5月31日公表
小学館調査報告書 ※2024年6月3日公表

 世間の注目度によって、事件の影響力が違ってくるのは抗いようのない事実ですが、尊い人命まで失われているにも関わらず、中居正広性加害事件と同様に“重大な人権侵害事件”責任の取り方・処分にこれ程まで雲泥うんでいの差があるのは、事件の再発防止にも大きな影響を及ぼします

 手塚治虫先生の頃から性懲りもなく繰り返される“原作改変問題”根本原因は、日本テレビの調査報告書からもうかがい知ることができるように、“著作者人格権不行使条項濫用の常態化”及び“著作者人格権の軽視”つまり、“著作権法違反”であるのは、火を見るよりも明らかです。

 にもかかわらず、日本テレビの調査報告書では、『セクシー田中さん』事件は、当事者間の認識齟齬ミスコミュニケーションに起因する事件であると根本原因をひどく矮小化してしまっている。

 社会正義の名の下に、今まで報道番組等において、世の中の事件や不正・不祥事について、当事者の“実名”をもって、しつこく追及・批判・非難してきた日本テレビの『セクシー田中さん』事件に対する無責任で不誠実な姿勢は、到底看過できるものではなく、厳しく糾弾されるべきで、日本テレビにフジテレビを批判する資格は全くないと私は考えています。

芦原妃名子先生の死去により、コミックス8巻で未完のまま連載が終了した『セクシー田中さん』
“原作改変問題”が生じた日本テレビ制作のドラマ『セクシー田中さん』のスタッフ
2024年1月29日芦原妃名子先生が亡くなったとされる栃木県日光市鬼怒川上流の川治ダム
2025年1月28日の川治ダムの様子。この日は夕暮れ時から寒風吹き荒び、粉雪の舞う天候だった。
2025年1月28日の川治ダム資料館の様子。この時期は、雪が降り積もっては溶けてを繰り返す。

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