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ゆとりのゲーム感想「風来のシレンGB 月影村の怪物」


【初めに】

【ハード】ゲームボーイ
【メーカー】チュンソフト
【発売日】1996/11/22
【購入日】2022/10/31
【初クリア日】2024/10/4
【定価】5980円(税込)
【購入価格】400円(中古)
【初クリアまでの時間】35時間くらい

私の中でゲームの面白さといえば、専ら「ボタンを押す快感」である。もういくつものゲームをやっていて、それが感じられないゲームでも面白い作品も沢山あったが、つまらない作品には、ボタンを押しても気持ちよさが一つも感じられないようなものばかりであった。

しかし、ゲームの中には分かりやすい快感をもたらしてくれるものと分かりにくい、言わば電撃のような刺激に近いものをボタンから伝えてくるゲームがある。それは、人間という生き物が目的に向かって達成しよう、達成したい、という意識があり、それに向かっての発想力や推測力、記憶と経験のコントロールを巧みに行えることが出来るものだからだと私は勝手に思ってる。テーブルゲームのような目の前に映し出されている映像に何も変化が無かったとしても、勝ちと負け、目的と道のりがあれば、それは中毒性のある遊戯に変わるはずなのだ。

いきなりなんのこっちゃ、という話だが、ボタンを押す刺激が強い=面白いゲームなのではないかと最近考え始めた。快感とは全く違う痛みのような刺激のようなものですら、ゲームという箱の中では、面白いに繋がるのではないかと思い始めたのだ。この理論だとサターンのメモリーやスパデラカービィのデータ喪失は違うのかな。いや、あの現象をゲームと呼ぶわけにもいかんだろうが。はぁ…

そのようなゲームを探すとなると、特に顕著なジャンルはローグライクなのではないか?1度負ければリセット。言ってしまえば常時縛りプレイを行っているようなものである。極度の緊張感の中、ボタンを押し続けることを強いられるのは、まさに究極の脳汁体験である。あぁ、玩具に踊らされてる私…

さて、ローグライクである。ローグライトではない。ライク。そう、源流に近い方だ。正直、ライトの方はある程度、法則が分かってしまうと、運の要素で負けるなんてあまり無くなるからな。Slay the Spireとかはシステム自体は面白いが、ローグライクの部分がゲームの面白さに起因しているか、と聞かれると微妙な感じがする。私がクリアしたことあるローグライクは今の所、トルネコの大冒険2のみなので、ローグライクの面白さを探ることにも興味があったんだ。

PS1ソフト
「トルネコの大冒険2 不思議のダンジョン」

クリアするのに250時間以上かかったな。やっていた時は、毎日毎日同じようなゲーム画面を見て、頭がおかしくなりそうだったが、クリア後僅か2週間後には別のローグライクに手を出そうというのだ。これがローグライクの魔力なのか・・・?うーん。

今回挑戦するのは、「風来のシレンGB 月影村の怪物」だ。シレンシリーズは、2024年現在、ローグライク・不思議のダンジョン系だと一番知名度があると思われるゲームシリーズである。皆、口をそろえて言うのが、「シレンは難しいが、一生遊べるゲームの一つだ」ということ。トルネコを遊んだ時はそこまで思わなかったのが正直な感想だが、シレンはまた感覚が違うのか?そこら辺も楽しみだ。

【ゲーム概要】

GBソフト
「不思議のダンジョン 風来のシレン
月影村の怪物」

「風来のシレンGB 月影村の怪物」は1996年にチュンソフトから発売されたゲームボーイ用ソフト。全4シナリオ。

1994年に「トルネコの大冒険」として日本で産声を上げてから1年、チュンソフトから発売される"不思議のダンジョン系"は日本に徐々に浸透しつつあった。1995年にはチュンソフトから「不思議のダンジョン2 風来のシレン」が発売されると、一部のゲーマーはこのゲームの熱狂的なフリークになるほどだった。シレンシリーズは未だに新作が出ており、フォロワー作品も世界中から登場し続けている。

そんなシレンだが大好評の一作目の次に登場したのはまさかのポケモンによって延命させられたゲームボーイであった。スーファミと比べると大分パワーが落ちるゲームボーイ・・・ 過去のスーファミソフトのGB移植の出来(スト2とかウルトラマンとか)を知っていた当時のゲーマーたちは不安を募らせただろう。元々、初代の移植をやろうと思ったらしいのだが、色々都合が重なり、外伝のような立ち位置の新作が作られたという経緯があるそう。

システムはトルネコ、初代シレンとあまり変わらない。グリッド移動、空腹度の概念、目的は只管深層に続く階段を下りて最深層を目指すこと。初代シレンから削られたシステムも多いが、あまりプレイフィールを変えずにちゃんとシレンしているように見える。

ここでストーリーを紹介。 

旅の途中、相棒の語りイタチのコッパとはぐれたシレンは、コッパ探しの道すがら、
「月影村」という小さな村のそばで奇妙な光景に出くわす。

鈴の音を鳴り響かせながら、幼い少女を真ん中に神妙な面持ちで進む一行と、その後を追いすがって泣き崩れる少女の母親……。

聞けば、「月影村」では、村にほど近い「供養峠」に棲みついている怪物に、
毎年幼い子供をいけにえとして捧げなければならないのだという。
今年いけにえに選ばれた少女の名はフミ。フミを連れた一行は、
村の平和を保つために「供養峠」の中にある「いけにえの洞窟」に向かうところだったのだ。

「月影村」にしばし旅のわらじを脱ぐことになったシレン。娘のフミを何とかして助けてやりたいと願う母親に、
村人たちは「しきたりだから仕方ねぇ…。あきらめろ」と顔をそむけるばかり。

そんな大人たちの姿に業を煮やした、フミの幼馴染の少年ナギは、
フミを案ずるあまり一人で「供養峠」へ踏み込んでしまう。
このままでは、ナギの身も危うい…。しかし、恐ろしい怪物のいる峠にわざわざ出向くような者は、この村には誰もいない。

三度笠をかぶり、縞合羽をはためかせ、ふたたび旅支度をととのえたシレンは、
ナギを連れ戻すため、単身「供養峠」に飛び込んで行くのだった。

(公式ファンブックより)

前作でもほぼ無かったストーリーだったが、今作でも彩色された程度のストーリーは用意されている。ただ、ストーリー自体は王道なものであり、今回は自分の為ではなく、見知らぬ村人を助ける為にダンジョンに潜っていく様子は心打たれたプレイヤーもいただろう。その代わり、サブイベント的なものが一切省略されているので、寄り道的なものはほぼできないようになっている。

初代シレンから追加された要素としては、一部アイテムの追加ぐらいで、どちらかというと仕様が変更されたものが多いとのこと。私がトルネコ2と比較して驚いたのが、ダンジョンの視界が明瞭であること。トルネコ2では、ダンジョンの様子は自分が今いる部屋か通路しか見えなかったのだが、本作は自分がいる部屋の隣の部屋の様子が見えるので、モンスターの位置が把握しやすくなったのはかなりやりやすい。他の仕様変更だと、大型モンスターハウスの廃止、ボタン配置の変更が主な変更だと感じた。

プレイ画面

そして、肝心のもっと不思議は他のシレンシリーズと比べると、かなり簡素なものとなっている。

50階踏破で終了。

前作と比べると半分に省略されている。真のエンディングを見るには、こちらも併せてクリアしないといけない。

概要は以上。簡素でありながらもオーソドックスな不思議のダンジョンにまとまっている印象だ。

【感想】


トルネコ2をクリアした時は250時間かかってしまったこともあって、次はもう少し簡単なものがいいなと考えていた。それで携帯機なら単純にボリューム少ないからいけるやろ、と踏んだのが本作を手に取った経緯である。しかし、その希望は早々に打ち砕かれることになる。

まずは本編。生贄となったフミちゃんの救出、フミちゃんを助けに行ったナギ君の救出、どこか様子のおかしい月影村の真相を解明するのが目的である。

早速潜る。初回はチュートリアル的なものなので、10Fまでのダンジョン。よゆーよゆーと思い、10階にいるナギ君と再会して終了・・・と思いきや今度はそいつを連れてダンジョンの入り口に戻る必要があるみたいだ。まぁいいか。戻るだけだし、と高を括っていたが、このナギ君が邪魔で邪魔でしょうがなかった。勝手に行動することは無いのだが、ワープの罠を踏むとシレンだけが飛ばされて、このガキは取り残されてしまう。それで、再開しようと思っていると、↓のメッセージウィンドウで「ナギは5ダメージをうけた!」とか表示されて、何回かやっているとガキは死んでしまう。すると、どうなるのか。もう一度階段を下りて、もう一回再会しないといけない。会った瞬間に戻るでいいじゃん・・・というか罠多すぎだろ。部屋の入口にあるのはトルネコ2と比べていやらしかったな。クソだ。

続いてのダンジョンも15Fまでで終わり。もう進め方もある程度理解してきていたので、楽勝だった。この時点でストーリーは中盤まで進んでおり、最後のダンジョンに潜るかどうか、みたいな感じだった。いや、これ1時間で本編クリアしてまうぞ?短すぎない?とトルネコ2の本編クリアに50時間かけたとは思えないほどサクサクに進めていた。

ラストダンジョンは21Fで終了。しかし、このダンジョンでは最深部にラスボスがおり、そいつを倒す必要がある。しかも生贄となっているフミちゃんも連れて帰らないといけない。もうええて・・・

いざ、潜る。うーむ、少し厳しくなってきた。2倍速移動で攻撃力が高いちびタンクやトルネコにおけるばくだんいわのポジションとなるばくだんウニは処理を間違えるとすぐに死んでしまう。やはりローグライクはアイテムゲーであることは変わらなかった。下手に行動、攻撃するとすぐ乙る。アイテムは使える時に使う、という鉄則は変わらない。

しかし、トルネコ2と明確に違う点があった。敵の強くなる速度がめちゃんこ早い。3,4F潜ったら、新たなモンスターが出て来て容赦なく殺しにかかってくる。そんで、こちら側は分かりやすい稼ぎ場が少ない。トルネコ2ではアイテムを必ず落としてくれるモンスターが出現する階層があったり、ドロップ率が高いモンスターが多い階層があったが、ここではそんなもの無いし、第一、そんなことやってる暇なぞ無い。2倍速行動の死の使いや催眠攻撃をしかけてくるゲイズ地帯からは只管逃げるしかない。困った時はアイテムを使って、1vs1ならタイマンで処理、みたいな生ヌルいことが一切許されなかった。階層が低いといって難易度が低いなんてことは無かったのだ。

しかし、こちらもやられっぱなしではない。トルネコ2と同じくシレンもアイテムを駆使するのが基本。アイテムを使うタイミングがしっかり押さえれば、完全に無傷に進むことも全然可能である。敵を金縛り状態にして、階段のあるフロアにワープさせる「一時凌ぎの杖」フロアの敵全員を眠り状態にする「バクスイの巻物」敵の位置を完全に把握する「透視の腕輪」等、こちらも強力なものばかり。この敵とアイテムの無茶苦茶なバランス感が非常にレトロゲーっぽい。トルネコ2よりもこの辺は顕著で楽しかった部分である。

アイテムの使い方に慣れてきたら、とうとうラスボスのオロチまではたどり着けた。どうやら意外な人物がラスボスの正体だったっぽい。いざ、勝負。

・・・

・・・・・

つ、つえぇ...

ラスボスのオロチとの対戦

狭いフロアに中々厄介な雑魚が数体とオロチが配置されており、正面からの突破はかなり厳しそうだ。アイテムで時間稼ぎするのだが、オロチの体力が高すぎて、どう考えてもアイテムが足りなくなってしまう。オロチにたどり着いては負け、たどり着いては負け、と何度も同じような結果でムカついてきたので、とうとうネットで攻略に手を出してしまった。いや、まぁ、このジャンルならしょうがないだろ。許せ。
すると、驚きの事実を知ることになった。本作にはギタン、といういわばお金のようなものがダンジョン内に落ちている。こちら普通のアイテムと同様に拾うことができ、ダンジョン内のショップで使うことができるのだが、実は使い道はそれだけではない。ギタンを拾う際にギタンに向かってダッシュすると、ギタンの上に乗ることができる。その上でアイテムを開き、「保存の壺」というアイテムがあれば、その中に下にあるギタンを壺の中に入れてアイテムとして使うことができるのだ。
・・・だから?いや、それがねすごいんだよ。この拾ったギタンを投げると、一直線に飛んでいき、直線上に敵がいれば投擲武器として使えるのだ。すごくね?トルネコにはない特徴で本作のシステムの中で一番好きだ。後半になってくるとショップも出てこないし、持ち余らせるからな。肝心の威力だが、金額÷10のダメージだ。例えば、500ギタンを拾って投げれば、50ダメージを与えることができる。落ちているギタンは500~1200ギタンぐらいなので、最大120ダメージ・・・!雑魚敵なら余裕で一発で倒せる威力である。初めてこの仕様を知った時はリアルにうおっふ!って声に出ちゃったな。

他にも仕様を知ってオロチ再戦。バクスイの巻物でフィールドの敵の動きを止める。ギタンを3発程ぶん投げる。うりゃ!うりゃ!うりゃ!

オロチ「うぉぉ...まさかここで敗れるとは(的なセリフ)」

弱っ!!

先程までは最後に立ち塞がる強靭な壁のように感じていたが、いともあっさり倒してしまった。何なん...

オロチを倒して悲願のエンディング...とはいかず、まだまだダンジョン探索は続く。生贄になったフミちゃんを村に帰さなきゃいけない。どこまで?ダンジョンのスタートから。ああああああああっっっっっ!!!!!!だるすぎるだろっっ!!!

ちなみにやられたらオロチを倒すところ前からやりなおし。勿論、ダンジョンのスタートからね。どこまで鬼畜なんだよ。ちっ...

オロチを倒してから5時間。何回かフミちゃんの亡骸を見ることになったが、無事に月影村に帰すことができた。もう二度と生贄なんかやるんじゃないぞ。面倒だからな。ラスボスだけ閉じ込めて置け。

エンディングは中々良かった。実はこの間にケヤキちゃんというヒロインとシレンが仲を深めるイベントがあり、二人の関係が少し近づいた時にシレンが村から出ることになるのだが、これが刹那的でせつない。シレンの相棒のコッパの「俺たち、風来人だもんな。」というセリフが印象的だった。シレンはこんな別れを何回もしているのかなと思ったり。

そして、メロウなエンディングが流れて最後にタイトルロゴが出る粋な演出。

~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜
                            不思議のダンジョン
       風来のデレン GB
  月影村の脱出
~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜

はい、まだまだ続きます。そうです。「もっと不思議のダンジョン」です。

いわゆるやり込みダンジョンで、ここからがローグライクの真骨頂である。持ち込み禁止、道具未識別のガチダンジョン。ダンジョン名は「月影村脱出」。そう、カッコよく別れを告げたにも関わらず、月影村から出られなくなってしまったシレンが何とかこうにかして脱出を図るシナリオが始まるのだ。

さて、今回のもっと不思議だが、仕様がかなり異なる。最大フロア数は50Fとかなり短め。先述した通り、短ければ短い程簡単という訳ではなく、敵の強化のスピードが早い、稼ぎ場が少ないという仕様から骨太なダンジョンであることは変わりない。ここまで培ってきた立ち回りやテクニックを余すことなく駆使して立ち向かっていく。

もっと不思議の感想については以前クリアしたトルネコ2と比べて思ったことを主に。まず、敵の強さではあるが、序盤から容赦がない。最序盤のワラビーやかっとびイノシシで普通に殴り負けることがある。先述の通り、分かりやすい稼ぎ場が少ないので、運が悪いとアイテムがすぐに枯渇するので、タイマンで処理しなければならない時も多かった。

うーむ、トルネコ2よりもアイテムの管理がシビアだ。感覚的に保存のツボも出にくい気がする。そうなると、レベル上げやアイテムの稼ぎ場を何とかして拾い上げなければならない。色々模索したが、上手くいかなかったので、調べました。
すると、テクニック的なものが色々でてきた。1つはオヤジ戦車、という敵が放つ攻撃を利用したもの。オヤジ戦車の攻撃は範囲が広いのでシレンだけでなく隣接した敵にもヒットする。その攻撃によって敵が倒されると、なんとオヤジ戦車がレベルアップしてガンコ戦車になるのだ。レベルが上がると、勿論ダメージも強くなるのだが、それを利用して何とかガンコ戦車を倒すと、大量の経験値を入手することが可能。短い間だが、俺TUEEE!!を体験することができる。上手く敵を誘導する必要があるが、決まった時は気分爽快。非常に楽しいテクニックだ。
ただ、裏を返して言うと、このテクニックが使えなかった時は高い確率で20Fにたどり着くまでには死んでいたような気がする。最深層に行くにはこのレベル上げはほぼ必須レベルなんじゃないか?他にも弓矢を手に入れまくるテクニックもアイテムが特に枯渇している序盤をくぐり抜けるためには重要な策だった。ただ、こういうのはゲーム中では教えてくれない。自力で発見する必要があるのだ。今回はネットに頼ってしまったが、何回もやれば、自力で気づけるレベルなので、自力で見つけたら楽しいだろうな。私は気づいた時にはプレイ開始から10時間経過していたのに、気づかんかった。アホすぎる。

他にも必要なテクニックとしてはアイテムの識別は重要である。アイテムで識別の巻物、という専用のアイテムもあるが、ほぼ全てのアイテムが未識別であるもっとにおいて、そのアイテムだけに頼ってしまっていたならば、全く前に進まないので、自力で識別する必要がある。幸い、本作のアイテムの数はかなり少なく、効果や売った時の値段も各種バラバラだったので、やりやすかった。トルネコ2の時は意識していなかったが、これを習得してるかしてないかで動きやすさが段違いだな。

さて、ここまで来るとほぼ全てのテクニックをインプットできているので、後は只管進んでいくしかない。一切のミスは許されない。なぜなら、後半の40Fとかになると一撃で180ダメージを与えてくる敵がわんさか出てくるからな。やめろぉぉぉ!!死神よこないでくれぇぇ!!頼むからデブートン見逃してくれぇぇ!!という断末魔をあげることは必死であった。まさに恐怖。RPGで感じることの無いリセットという名の恐怖である。モンスターがひしめく狭いダンジョンをいかに無傷でくぐり抜けるかを競うゲーム。ここまでボタンを押すことに躊躇するゲームは初めてだった。その判断で合っているのか?1歩間違えたら死ぬぞ?全部のパターンを頭の中で出してみたか?こんな考えが反芻していた。そして、無惨な死。今まで泥棒や運で貯めたアイテムが全て無くなり、合成で作り上げた奇跡の武器もサヨナラ・・・私はトルネコ2と同じぐらい頭を抱えることになった。

しかし、もっとをクリアできたのは、本編クリアから20時間ちょっとかかったぐらいだった。トルネコ2が250時間かかったのもあって、拍子抜けしてしまったな。というのも、やはり初めてトルネコ2をやった時よりも明らかに成長を実感している。あれ、案外上手くね?と感じるほどになってた。それぞれのアイテムの有用度についても把握し、もったいぶらずにアイテムをガンガン使うようにして必要最低限の行動で階層を降りていく、これを意識しているだけで、すぐに感覚を掴み、見事クリア出来た。やり直した回数は72回。そこまで鬼畜さは感じられなかった。もしや、私はローグライクの本質を完全に見抜けるようになったのか? うおーっっ!! ・・・いや、どうだろう、ただ間違いなく慎重に一挙手一投足するようになった。

おそらく、本作のゲームシステムはどのゲームよりもプレイヤーを恐怖に陥れるだろう。階段を降りるのが怖い、泥棒をする為のアイテムを使うのも怖い、ボタンを押すのが怖い…!ホラーゲームは一度タネを知ってしまえば、なんて事ないと思うが、負ける、もといゲームにおける死に値する状態は、いかなるプレイヤーにも絶望を与えるだろう。まさしくボタンを押す刺激に特化したゲームシステムだ。HAL研の桜井も言っていたが、熱中させる、という意味ではローグライクの右に出るジャンルは無いだろう。

ふぅ…トルネコよりも簡単だったとはいえ、クリアするのに30時間以上を要してしまった。全編、白黒世界だった本作だが、ここまでプレイすると世界が色づき、嫌でも愛着が湧いた。クリアしての感想も「疲れた…」ではなく、「面白かった〜」って感じだったし。いやぁ、面白かったなシレン。ハマったわ。はっはっはっ。ちょっと前までならゲームはすぐにクリアしてなんぼ!みたいに思ってたけど、じっくり腰を据えるのが今は本当に嬉しい。ありがとうシレン。

音楽について。まだプレイしていないSFCの初代に準拠したものらしいが、やはりハードスペックによる劣化は著しいものだったと思う。しかし、そこはすぎやまこういち先生。GB音源ながらも味のある音だった。なんかこう、「間」が深く感じられたな。ちゃっちぃ音源でああいう音楽に挑戦する、ということ自体がかなり無茶だと思うが、まぁ聴いていられる音楽ではあったと思う。本家は超えてはいないと思うが。

グラフィックについて。これも相応なものだ。初代は色でレベルを分けていたが、それを今作では数字で分けていた。しょうがないことではあるが、モンスターの隣にデカデカと2とか3とかあるのはダサかったな。

感想は以上。

【まとめ】


間違いなく初代GBの中ではやり込み要素の深いゲームだと言えよう。こんな容量の中でよくここまで詰め込めたなと感心するばかりである。
さて、完全にローグライクにもハマってしまったな。すでに他のシレンも購入済みで、シレンをきっかけにSFCのプレイ環境も2年振りに整えた。いや、すまんねスーファミ君。今後もローグライクを通じてボタンを押す恐怖や刺激というものの見解を深めていきたいと思う。
・・・こんなにかしこまって言ってるが、結局はバカになれるゲームに溺れたいだけなんだよなぁ。ローグライクには到底及ばない浅い人間だ、私は。はぁ。   



(本作をプレイするには実機で遊ぶしかないようだ。興味のある方は是非プレイしてみて欲しい)


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