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ゆとりのゲーム感想「エイブ・ア・ゴーゴー」
【はじめに】
世界の一部のマニアの間で人気はあるが、日本での知名度はとても多いとは言えない「エイブ・ア・ゴーゴー」。その知名度の通り、日本でのレビューは少ない。私のお気に入りのゲームであり、2022年現在でも通用する(であろう)このゲームを紹介したいと思う。
【唯一無二のゲームシステム】
さて、このゲームの内容についてだが、あらゆるゲームの中でもかなり異彩を放つゲームシステムである。
ジャンルはアクション要素が強めのアクションパズル。プレイヤーは主人公エイブを操作して99人の捕らわれし仲間を救出する。
奥行のある横スクロールでエイブや敵はマス目に沿ったような動きをする。十字キーの右を押したら、エイブが一歩右に歩く。そんな感じ。
エイブの操作は
・左右に移動する(歩き、ダッシュ、そろそろ歩きを使い分けることができる)
・上に向かってジャンプ
・前に向かってジャンプ
・しゃがむ
・しゃがみながら移動(ソニックのスピンのように丸まりながら移動する)
・チャント
・各種スピーク
…のみだ。見てわかる通り、自ら攻撃する術は無い。敵の殆どは銃を持っていたり、エイブよりも早く行動する(尤も、行動パターンは単純)。敵と鉢合わせたら、逃げるか、隠れて相手の目を盗んでやり過ごすかだ。
唯一の対抗としてチャントがある。チャントはエイブが持つ不思議な力で、様々な力を発揮する。その中でも最も利用するのが「敵への憑依」であろう。これは1番数の多いグラッコンという敵を乗っ取り操ることができる、というものだ。
しかし、無条件で操れるものではない。適当な場所でチャントをするとグラッコンはこちらの存在に気づき、装備している銃を放ってくる。つまり、エイブが完全に安全な場所でないと敵への憑依はできない。
エイブは段差や障害物を利用しながらチャントで敵を乗っ取り、他の障害物を倒していきながら進んでいく。
エイブを苦しめるのは敵だけでない。あらゆる障害物にエイヴは殺される。落下、落石、爆弾、トゲ、スクラップ、ハチまでもがエイブに容赦なく襲ってくる。これらのトラップに対してエイブは何もすることはできないので、ひたすら避け続けていくことを強いられる。
このように、エイブが進む導線を整備して、全て整ったらアクションで突破する、というのがこのゲームの進め方である。
スピークというのは救出する仲間やネイティブマドカンというキャラ達と会話するものだ。「ハロー」、「まってて」、「カモン」が主に使うものだろう。しかし、敵がウヨウヨいるフィールドで会話することが殆どだ。会話するのも一瞬の隙を見て行わないと、仲間共々殺されることになる。
このゲームシステムは唯一無二といっていいだろう。ここまで貧弱なキャラは殆どいない。しかも、仲間の救出というのがこのゲームの肝だ。自分だけでなく、仲間の導線も考えて進む場面が数多くある。(一切助けずにクリアすることもできるが)
操作するエイブの貧弱さに怒りを覚えることもあるが、切り抜けた時の快感もひとしおだ。何も出来ないエイブと単調なパターンを繰り返す敵とトラップ、それらを突破するための必要最低限のアイテムやコマンドが奇跡のゲームバランスを生み出している。
【ゲームを彩る幻想的な世界観】
ゲームシステムだけでも中毒性が高いが、舞台となる「オッドワールド」のグラフィックも特筆したい。このゲームはマップ移動する際にシームレスで場面が切り替わる。その様子から、オッドワールド全体を駆け回ってるような感覚になり、よりこのゲームに没入できる。
舞台は仲間達が捕らわれているラプチャーファームという工場とネイティブマドカンが住むモンサイクに分かれている。前者はFF7の魔晄炉、後者はスーパードンキーコングの「もりのかくれが」やMYSTを彷彿とさせる繊細なグラフィックだ。私のお気に入りは黒煙が煙突から流れているのが見える工場地帯「ストックヤード」と遥か彼方の夕陽と巨岩が芸術的な「スクラバニア」だ。ついつい見とれてしまうこと請け合いだろう。
ゲームの合間に流れるストーリームービーも当時のCGではクオリティの高いものになっている。ストーリー自体も簡素ではあるが、王道で達成感のあるものになっている。
【日本でウケなかった理由】
とまあ、ここまでこのゲームの良いところ(私の好きな所)を紹介してきたが、日本ではウケなかった。理由としては単純で、
何度も死ぬ事が前提になっているゲームバランス
と
不気味すぎる世界観やキャラクタービジュアル
である。
エイブを自在に操れるようになるには、今までプレイしてきた横スクロールアクションの考えをまるっきり捨てなくてはならない。ジャンプするにもニンテンドーコントローラにおけるAボタンやBボタンではなくXボタンに相当するボタンを押さなくてはならないことからこのゲームの異常性が分かるだろう。
斬新なゲームシステムといったが、このゲームが日本で発売された1997年当時はマリオ64やクラッシュ・バンディクーを筆頭にした3Dアクション全盛期である。奥行のみが3Dのこのゲームに新鮮味を覚えないのも当然である。
似たような横スクロールとしてカービィ64や風のクロノアがあるが、これらは明らかに子供や女性といったゲームに慣れてない人をターゲットにしている。エイブ・ア・ゴーゴーはゲーマーもそうでない人からも総スカンをくらってしまった。
キャラクターのデザインも大衆受けするものではない。エイブやその仲間達であるマドカン族は口が縫い付けられ、エイリアンとワームを合わせたようなビジュアルである。その他の敵も二足歩行のタコのような敵やカニとサソリが合わさったような敵が襲いかかってくる。
洋ゲーということもあってか、日本人の感性とあまりにもかけ離れたゲームであった。
【それでもゲーマーにやってほしい】
色々書いたが、それでも私はゲームに自信のある方にこのゲームを強く勧めたい。緻密に計算された仕掛けが随所に見られ、何度も叩きのめされながらも少しずつ進んでいく。ゲームの基本となる姿勢をもう一度自分達に教えてくれる良いゲームである。是非プレイして自分の腕前をこのゲームで試して欲しい。