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ゆとりのゲーム感想「バンジョーとカズーイの大冒険(Xbox360版)」
【はじめに】
【ハード】Xbox ONE
【メーカー】マイクロソフト(レア)
【発売日】2020/1/11
【購入日】2024/11/18
【初クリア日】2024/12/17
【定価】1534円
【購入価格】1534円
【初クリアまでの時間】17時間
「マリオを超えるアクションゲームを作ってください」
こう問いかけられて、胸を張って前に出れるデベロッパーは一体どれぐらいいるだろうか。ミスタービデオゲーム、世界一有名な配管工、亀は踏んで倒せることを教えてくれたおじさん・・・そんなヒゲに挑もうとする勇猛(無謀とも言える)な人らは本当に少ないであろう。
ただ、この問いは山内元社長やマリオの生みの親である宮本茂氏が心の底から思っていたことだと思うし、それに応えようとデベロッパーも必死だったのだ。
ニンテンドウ64。そう、任天堂きっての負けハードである。あ、ヴァーチャルボーイは無しね、うん。私はこの64というハードがめちゃくちゃ嫌いだった。コントローラーや任天堂の独壇場ともいえるソフト展開、画一的なソフトばかり並び、持ちにくいコントローラーでちまちま遊ぶしかないこのハードには何の魅力も見いだせなった。
しかし、とうとう私も64で遊ぶことになってしまった。中古で3000円と安かったからな。で、買ったからには何か遊びたいということで選んだのはスーパーマリオ64だった。
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「スーパーマリオ64」
すでにマリオサンシャインとマリオギャラクシーに触れていて、そこまでハマらなかったことからマリオ64も期待してなかった。しかし、やってみると面白い面白い。ゲームのテンポが良く、何より古いゲームらしく大胆なズルができた。無理矢理なショトカや無数にある抜け穴を叩き出して実行するだけで、脳がブンブン揺さぶられるぐらい楽しかった。カメラワークが糞過ぎてコントローラをガンガン叩きつけたのもいい思い出だ。2022年ぐらいの話。
マリオ64に大満足して次に手を出したのは、『バンジョーとカズーイの大冒険2』だった。なぜ2から?近くのショップには売ってなかったんだよ。まあ言ったって続編だし、2やってから1やってええやろという軽い気持ちでスルーしてしまった。
ゲームを起動して最初のステージに足を踏み入れた瞬間、まるで思い切りビンタをされた感覚だった。難しすぎる。いや、マリオ64も相当な難易度であったが、比じゃなかった。どこをどう探してもマリオ64のスターに相当するジグソーが見つからなかったのだ。複雑怪奇なマップ、「アイテムを使って解いてね!」と言わんばかりの変なオブジェクトや場所。そのアイテムが何処にも見当たらねンだよ・・・マリオ64で鍛えたつもりのアクションと収集スキルはまるで通用せず、早々に心が折れた。すぐに攻略サイトを開いてせめてクリアはしようと決めたのだった。
だが、そんな意気込みも虚しく、進めど進めど難易度の高さは一向に変わらない。「慣れればいけるだろう」と楽観していた自分が恥ずかしく思えるほど、常に攻略サイトを手元に置きながらのプレイが続いた。もはやゲームをしているというより、攻略本を片手にパズルを解いているような感覚だ。
そして、ついに恐竜が出てくるステージで限界が訪れた。
「一体、私は何をしてるんだ?」
ただ、写経してるだけじゃねぇか。はぁ…
てなわけで無念のリタイア。それ以降、64自体に触ることはほとんどなくなってしまった。 バンジョーとカズーイの大冒険2が悪かったわけではない。むしろ、やることがギッシリ詰まっているので好きなやつはどハマりするだろう。しかし、自分のプレイヤースキルとゲームが求めるものが噛み合わなかった。あれは意地と意地のぶつかり合いだったよ。
あれから、2年が経ち、何でか分からないが急にバンカズを投げていたことを思い出した。あー久しぶりにやりたいな。つっても途中のデータからやるのは気持ち悪いし、何より覚えてないから、そんな中途半端野郎にクリアした後、あーだこーだ言われるのはバンカズが可哀想だ。じゃあ、この機会にバンカズを最初からやり直そう!2じゃなくて1からね。そう思ったが吉日、すぐに近くのブックオフに駆け込み、バンカズを購入。押し入れから64を引っ張り出し、早速プレイ開始。
・・・ソフトが起動しない。粗悪品掴まされたか?何度やってもタイトル画面が起動しない。他のソフトなら起動するかな?他のソフトに差し替えてみると、そちらもダメ。うわぁ!64壊れたぁ!最悪や。くそったれが。あーマジか。
いつもなら今回の話は無かったことにして、記憶の扉に蓋をして終了なのだが、珍しく単一タイトルへのやる気があったこともあってここで終わらしたくない、という気持ちが沸々と湧いた。うーん、どうしたものか。
あ、箱1買ってたわ。そう、なぜか今年になって何故か購入したXbox oneがあった。箱1は箱○時代のダウンロードゲームがいくつかあり、箱○にリマスターみたいな形で移植されたバンカズ1と2があるのだ。今回は仕方なしだが、こちらを購入してプレイすることにした。バンカズは箱のサブスク対象ゲームで月額で払えば、遊び放題らしいが、私としてはどうもゲームのサブスク形式が肌に合わなかったので、普通に購入。1534円。昔のゲームの癖に地味に高いな。はぁ。
【ゲーム概要】
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「バンジョーとカズーイの大冒険」
「バンジョーとカズーイの大冒険」は、2008年にマイクロソフトから発売されたXbox 360用ソフト。全9ステージ+α。
開発したのは、スーパードンキーコングでお馴染みのレア社。本作はニンテンドウ64用ソフトで任天堂から発売されたゲームであった。なぜ、マイクロソフトから発売されることになったのか・・・あー、まぁ、色々あるんだな。調べてみてね!大したことじゃないよ。はぁ。
ここで、このゲームが開発されて64で発売された1998年の話を少し。この時代、3種類のゲームハードが熾烈な争いを繰り広げていた。プレステ、サターン、そして64。最終的結果としては、プレステの圧勝。日本ではドラクエ、FFを筆頭に名作RPGが遊べるハード、海外ではクラッシュバンディクー、トゥームレイダーが華々しくデビューしたハードとして認知されていた。勝因としては、圧倒的なソフト数と価格戦争に余裕で買ったこと。サターンは海外で総スカンを喰らい惨敗、64はソフト数がプレステの10分の1でパワー負け、勝てるわけなかった。
64のソフト数が極端に少ないのは理由がある。それは、64用ソフトの開発が難しかった、という背景もあったと思うが、当時の任天堂の社長だった山内氏が「少数精鋭」をかたくなに掲げていたからだろう。頑固だよなこの人。カリスマであり任天堂の軸であったことは確かだが、今の時代では受け入れられない人だよな。プレステとの戦いに勝利するには、質だと考えた任天堂はサードのしょうもない作品を徹底的にはじいた。その結果、ソフトの全体のクオリティーは格段に上がったが、"任天堂が選んだソフト"が並んでしまった。ソフト数も少なく、64は任天堂のゲームを遊ぶ為のもの、という評価に落ち着いた。
そんで、求めるクオリティーもむっちゃ高かった。マリオ64をローンチソフトとして、それを基準とされた。これより面白いのを作れと。当時、任天堂のセカンドパーティだったレア社は、ドンキーでスーパーマリオワールドに匹敵するものを作った実績もあり、64でも同等のクオリティーを求められた。それで発売されたのが、バンジョーとカズーイの大冒険である。
与太話はここまでにしまして、バンカズ。先述のこともあり、マリオ64をベースに作られた作品である。主人公の熊であるバンジョーと鳥のカズーイが魔女のグランチルダにさらわれた妹のチューティーを助けに行く、というストーリー。チューティーも熊なので、バンジョーの妹だと思うのだが、そうなると、カズーイってバンジョーとどういう関係やねん。恋人?夫婦?居候?リュックから出てくる描写は無いので、バンジョーの身体の一部として働いている可能性もあるな。
ゲームの流れとしては、拠点である「グランチルダの砦」から各ステージに入り、そのステージで必要なアイテムを入手していく。必要なアイテムというのが、まずはジグソーパズル。これはマリオ64で言う所のスターだと思ってもらっていい。次に音符。各ステージに100個置いてあり、これも併せて必要である。各ステージに入ったら、新しいアクションを教えて貰いながらこれらのアイテムを入手して次のステージに進む、という感じ。ステージも箱庭なこともありほぼマリオ64である。
バンジョーとカズーイのアクションはかなり多彩で、往年のカートゥーンキャラのようだ。ローリングやホバリングだけでなく、卵を吐き出すタマゴバズーカやカズーイがバンジョーをおぶって走るカズーイダッシュ等、よくもまぁ詰め込んだなと。ただ、カズーイばかりが優遇されている気がするのは気のせいか?どちらかというと熊が主人公みたいな立ち位置なのに、楽しそうな技は大体鳥に渡されている。悲しいね。
他にも仲間のマンボによる変身やミニゲーム等、後のレア社の作品に繋がるようなマリオ64との差別化も図られている。宮本氏が述べたような「マリオ64の正統進化」とも言える作品である。
概要は以上。
【感想】
私は一度バンカズ恐怖症に陥っているので、意気込んだはいいものの怖くて怖くてしょうがなかった。昔、ドンキー64も少しやった事があるんだが、あれも激ムズだったな。もしかしてレア社の3Dゲームって基本ああいう感じなのか?身震いしてきた。
念の為に攻略サイトを隣に置いてスタート。そしたら、すんなりと2面ぐらいまではノーヒントで行けた。あれ、楽やんけ。やっぱり2がおかしかったんだ。私はそう確信した。恐怖どころかキャラをグリグリ動かす感じや高度なジャンプアクションを求められる場面や、慎重なコントロールで突破する場面が適度に散りばめられていてメリハリがあった。面白かったんだ。
ただ、ここでやはり問題点が出てくる。カメラワークだ。3Dゲームでは必ずといってもいい程出てくるゴミの山。もう3Dアクションもそこそこにやってきているが、未だにこの点で怒らなかったことは無いな。もう皆カメラに関しては諦めたのか?しっかりしろよ!そんで、バンカズはその頂点に君臨している。酷い。マリオ64や時オカと比較ならんぐらい。しかも、全体的に足場が小さいのもあって、予想と全く違う所で着地→落下死が頻発した。さらに、酷いのは固定カメラの部屋である。これはすごい。バイオみたいなカメラの感じでジャンプアクションだぜ?このヤバさ伝わる?見えにくくてしょうがないんだよ!!案の定、何回も落下した。糞がよぉ・・・あと、こんな見にくい所だとアイテムも取りこぼしそうなんだよな。だから、何回もその部屋をぐるぐるして取りこぼしが無いか確認した。何の時間なんじゃ。はぁ。
ステージ2のおたからザクザクビーチをクリアした辺りまではまだ余裕だった。確かに難易度は高い部類だが、まだ分かるレベルだった。ステージ3。クランカーのどうくつに入った時に評価は一変した。
・・・難っ。あと2つのジグソーどこやねん。ここのステージは水中なのだが、水中だとさらにカメラが暴走する。急にバンジョーのドアップ顔面は何度も拝むこととなった。それも相まってここのステージはかなりトラウマだ。この辺りからゼルダのように「探索・謎解きで詰まってどうすればいいのか分からずイライラする」といういつものループに入ってしまった。
結局攻略サイトに頼ることになる。そしたらすぐ近くにあった。これもムカつくんだよな。何で見えなかったんだ?あと、ジグソーもそうだけど、音符100って絶対取りこぼしそうになるって思うから本当に怖い。100個無事に揃った時は心の底から安堵したよ。ふぅ。
4つ目のステージを超えて5つ目。フローズンズンやま。ここでくちばしアタック、というアクションを覚えるのだが、これがまぁ使いにくいしイライラした。このアクションはあるアイテムを使い、空を飛んでる時に前方に向かってマッハで突撃するものなのだが、ここでもウンコカメラが邪魔をしてくる。照準が合わない!よって、当たらない!方向転換をしようとぐるっと回ろうとすると、またまたバンジョーのドアップ!この時間は何なんだよ!それを延々と繰り返す・・・はぁ。
本作はアクションゲームとしてよくできている方だ。しかし、まだまだ粗というか「まだこれを面白いと思っているのか」という要素も孕んでいるゲームだった。カメラはしょうがないとしても水中面ややたら横にながいステージ、残機ですらこの時代だったらもう不必要なものと気づけたはずである。ましてや、デベロッパーとしては一流のレア社である。要は、探索・冒険の側面を押し出したいという意図があると思うのだが、これらの要素がいたずらに難易度を上げ過ぎていると感じるのだ。特に感じたのが、後半のザコ。攻撃が効かない、一部のアクションでしか倒せないキャラ多すぎるだろ。本作はアイテム探し、探索、ジャンプアクションがメインの遊び方であって、敵を倒すことに躍起になるゲームではない。なんなら探索をしつつ、ザコを倒しながら進むことでメリハリをつけていくのが、大衆的に受けが良いはずである。
アクションについて少し愚痴をいったが、探索も相当キている。マリオ64でもそうだが、ヒントが無さすぎる。画面上にあるオブジェクトにあるぐらいしかない。もう後は、今までのゲームに関する記憶を辿っていくしかない。
えーっと砂漠ステージか。
砂漠だから暑い、暑いからオアシスなり水を必要なミッションがあるはずだ。よし、探すか。
・・・お、あった。水を欲しがっているキャラがいるぞ。さて、次に水を探してみるか。
・・・オアシス的な?水を出してくれる井戸的な?あれ?ないな・・・
どこ探してもないやんけ!しゃーない。手あたり次第、ごそごそやってみるか。
そしたら、正解何だと思う?
ラクダをヒップドロップでぶん殴ると水をオエッ!って吐き出して、植物が生き返るんだとよ!!!!!!!楽勝だな!!!!糞が!!!!!!
はぁ。
これはまだ分かりやすい方である。終盤ステージのサビサビみなとはぶっちぎりで難しかった。ジグソーが10個中自力で見つけられたのは2つだけだった。船の小窓をタックルで壊すとか分からないだろ。音符も毎回不安になる数である。
こんな感じで"もの集め"ゲームとしてはかなり骨太である。PS2でやったジャック&ダクスターも同様だが、箱庭ゲーは他のアクションと比べて意気込みが違う。ものを集める楽しさを無理矢理分からせようとしているのか、かなり意地悪というか挑戦状のようなゲーム性になっている。自然とそうなってしまうものなのかもしれない。だから、楽しさもガチなんだよな。単純に難しいければ難しいほど、達成感が倍になって返ってくる。ただ、理不尽になってしまうのは本末転倒なので、緻密な難易度調整が必要なのだが、本作はそれはかなり意識された感じだ。ただ、その適切な難易度調整は人によって変わってくるから正解なんてない。レア社はアクションジャンキーだったんだ。マリオ64ですら生温いと感じた集団が作ったゲームだった。だから、一般ピーポーの中でついていける奴とついていけない奴が二分化したんだな。果たして、これをノーヒントでクリアできたちびっこは何人いたのかは気になる所だが。
ストーリー、というかキャラについて。レア社全開である。下品なジョークやメタネタ、無機物と有機物の境もぐっちゃぐちゃな世界観は本作から始まり、次回作以降に受け継がれている。かなりカートゥーン寄りの世界観であり、アニメーションと比べて"キャラを操作する"ゲーム作品であるので、キャラに投影しやすい状態でのこのノリは正直キツい。元々は洋ゲーなのでしょうがないが、日本とは全くノリが違うので、世界観に入り込むのはできなかった。こんな鬼畜難易度なのに、ポップな会話スタイルでキャラが話すことで、中和しようとしたのだろうか。逆に不気味だがな。
音楽。ドンキーと比べてかなりキャッチーな感じだった。全体を通してエモやノスタルジーを感じることはなく、良くも悪くも"バンカズ"の音楽だった。個人的にはまっどないとマンション辺りでドロッとした音楽が欲しかったな。普通にお気に入りの曲は1,2曲はあったけどね。
グラフィックはまぁ、良くないわな。64時代はもてはやされたのだろうが、今となっては再現できないポリゴンの感じだ。あと、本作で評価したいのは、やたらと暗いステージが無かったことだ。あれは単純に見づらいからな。ドンキー64やバンカズ2では出てくるので、この辺を考慮するととっつきやすいともいえるだろう。
感想は以上。
【まとめ】
ふぅ、攻略に頼ってしまった所もあるが、実績を全て取るまでクリアできた。完全クリアといっていいだろう。少なくとも、私はバンカズ2よりも好きで楽しい作品だった。1も2もほぼ同じようなゲーム性なので、これは好みの問題なのだが、バンカズ2は詰込みすぎだ。ムジュラと同じ、前作を目が腐るほどやりつくした人向けの作品だったと思う。2の最初のステージは、1のラストステージよりも複雑で難しいから、気になっている人は要注意だ。
本作は17時間程度でクリアできたが、体感はもっと長く感じた。私は本作やゼルダのような一度詰まるとどうしようもできないゲームが苦手なのだが、本作はそんな苦手意識をも凌駕するほどの面白さであった。正直、アイテムの位置を覚えた上で、もう一度やりたい。それなら、楽々にストレスフリーでクリアできると思うからな。初見のゲームを一発でクリアできるように頑張れよな。精進します・・・はぁ。
(本作はXbox one,seriesX・Sのダウンロードソフトとして発売されている。64版はNintendo Switch Onlineの月額プランに加入するとプレイできる。気になった方はプレイしてみて欲しい。)