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蔭先生の生誕~今④

蔭先生の生誕秘話の第4回です。

前回までに書いた持ち込み投稿での失敗経験を経て次なる挑戦です。

面白い企画を見つけました。

小学館が運営するマンガワンというアプリで募集している『マンガワン連載トーナメント』というものです。

元より、私の作品は読み切りで完結するつもりはなく連載が目標でした。

しかし、デビューの為に新人賞の規定に合わせた読み切り作品をそれまでは描いていたのです。

その点でこの企画はいきなり自分の描きたい作品の完成系を描いて評価してもらえるのです。

そこで自分の書きたいことを全て詰め込み、且つ、これまでに持ち込みで編集者に指摘された全てをクリアした連載作品をり上げました。

タイトルは「衛生の徒手療法師 蔭」

結果から言えば、トーナメント一回戦は順当に勝ち上がりました。

しかし、続く二回戦での落選となりました。

マンガワンという媒体に画風がまったく合わせられなかったことは致命的でした。

しかしそれ以上に想定外だったのが

「主人公の蔭先生がムカつく」

「共感出来ない」

といった読者の感想が多く見られたことでした。

言い訳をすれば、当時の作品はそもそも1話目から主人公への共感は求めていませんでした。

連載が進むにつれ天才的で比のない主人公と思われていた蔭先生の内面が掘り下げられ、実は普通の一般人である我々と何ら変わりない苦悩が描かれ、徐々に共感を得ていくという構成のつもりでした。

それは今の『神の手なんかじゃない』の蔭先生のイメージと合致すると思います。

そう、つまり当時の作品も今の作品も見せ方が変わっただけで蔭先生というキャラクター性は本質的には変わりないのです。

また、マンガワンでは表向きには隠していたとはいえ、その素性を彷彿とさせる伏線も張っていました。

コメントを見た限りではリテラシーの高い一部の読者はそこに気付いてくれていたようです。

しかし多くの読者にはその意向を読み取ってもらうことは出来なかったようです。

それは素直に自分の力不足を認めます。

他にもほとんどの読者に私の想定外の読み解かれ方をされていました。

それは裏を返せば、読者の予想外の展開が用意されているということでもありますね。

しかし、何にしても自分の見せ方が読者の目線に沿っていなかったことを反省点として学んだのでした。

さて、次回は蔭先生の生誕秘話の最終回になります→

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